SSブログ

宝塚月組「WELCOME TO TAKARAZUKA/ピガール狂騒曲」 [観劇感想(宝塚)]

宝塚月組「WELCOME TO TAKARAZUKA/ピガール狂騒曲」
2020年10月2日(金)13時 2階16列センター


月組を見てきました。チョンパの幕開きと、大階段の黒燕尾が見れて満足。2階センターから見たかったので、希望通りの席で嬉しい。日舞も洋舞も本当にフォーメーションが美しい、照明が凝ってる(セットは見れないが)。これは一度2階席から見ることをお勧めする演目。

日本物ショーはまあ豪華で綺麗。ソロ場面はトップ以外は松本先生のみという仕様なので、松本悠里退団公演みたいな雰囲気もある・・
お芝居は、楽しい!基本は「十二夜」だけど、ベル・エポック時代に移すと衣装は可愛いし、セリフも面倒じゃないし楽しい!単純に楽しかった。本当に衣装のセンスが良くて!あー私、原田作品好きだわ。原田先生とは趣味が合いそう。
フィナーレは可愛らしい初舞台生の姿にまるで親のように声援を送り、大階段黒燕尾に「これが見たかった!!!」と涙した。宝塚を堪能できて、心から嬉しかった。


202005月ピガール.jpg

JAPAN TRADITIONAL REVUE
『WELCOME TO TAKARAZUKA -雪と月と花と-』
監修/坂東 玉三郎  作・演出/植田 紳爾

宝塚久しぶりの日本物のショー。チョンパの幕開けは気分が盛り上がります。
ただやっぱりいつものタカラヅカより人数が少ないような気がして、ちょっと残念。宝塚の日本物ショーは人の多さと衣装とセットの豪華さが見ものだと思っているから。
怒られそうだけど、衣装も振り付けも(人数も)なんだかオーソドックスというかOSK風味があって、すごい既視感。OSKの松竹座公演がこんな感じ。宝塚は着物でももっと奇抜な柄が多かった気がしていた。OSKの日本物ショーは植田 紳爾先生のご子息・山本友五郎氏が作・演出の時のイメージが強いので、それでかもしれない(OSK松竹座公演では全公演日本物ショーがあり、チョンパで始まる)。

プロローグの総踊りの後、初舞台生のあいさつ、雪の景、月の景、花の景、そしてプロローグで総踊り。あっというまの45分(初舞台生のあいさつを除くと40分切ってる)この構成は、祇園の「都をどり」みたい。今回のタカラヅカは原点回帰なのかもしれない。

プロローグは圧巻でやはり豪華絢爛。日常を忘れて気分が良くなる。でも誰が誰だか全然分からない。トップコンビですら、衣装があまり派手ではなく、周囲とちょっと色違いくらいの柄同じ。2番手以下スター男役は同じ衣装(月城、鳳月、暁、風間?)スター娘役も同様。そのスター衣装もその他の方々と少し色が違うだけで、柄は同じ。上から見ていると大変綺麗なグラデーョンで、衣装選びのセンスが感じられる。

初舞台生の口上は、初舞台生というより、光月組長の口上だった。組長の話長くて、初舞台生が口を開かないまま終わりかと思った。初舞台生の衣装は、緑の袴じゃなくて、可愛い町娘みたいな着物。月組で初舞台だと、袴じゃなく、まず組長の口上なのか・・。

雪の景は松本悠里さまの場面。あの赤い鳥居が延々と続く背景とセット。盆がとても良い仕事をする。松本先生の日舞を見ていて、『夜明けの序曲』のモルガンお雪を思い出す。愛華みれさんトップお披露目公演だったけど、先生が踊ると時間の流れが一気に変わって睡魔が襲ってきた場面だ。名人だから配慮されているのだと思うが、この方が踊りだすと長いのだ。日舞も宝塚やOSKの洋楽での群舞日舞が好きで、本当の日舞はあまり見ないので、先生の本格日舞にはいまだに慣れていない。音楽はヴィヴァルディの「冬」だそうだが、洋曲の気がしない。この公演で退団されるので、最後に堪能しておこう。でも長くない・・?

月の景は打って変わって集団戦術。これぞ宝塚!だがかなり異色。月なので夜、暗い。着物も黒ベースで光物がさり気なく、だし。組子のほとんどは黒子?という。ほぼ全員が出ているのでは?という場面。曲はベートーヴェンの「月光の曲」。「月光のボレロ」ですね。すごく良かった。これ見ただけで、満足できる。月の景が一番好き。

花の景は、よくある「鏡の三番叟」かと思ったら、鏡1個しかないし、あっという間に鏡終わり。若衆が月城さん、鏡が風間さん。ちょっとだけコミカルに明るい場面。花娘さんも出てきて盛り上げる。音楽はチャイコフスキーの「花のワルツ」。
芸術的には関係ないが、月城さんと風間さんの衣装が同じで(鏡だし当然かもしれぬが)その後鏡から出てきたときも同じ衣装で、同じ舞で二人舞。とっても驚いた。風間さん堂々たるスターさんですね。

そのままエピローグ(というのか、終幕?)で最初と同じ衣装に同じ歌。途中また一度、松本悠里様の舞があって、総踊りで終わり。ラストが、全員が踊りながら珠城さんを銀橋に残して、踊りつつ去っていくという終わり方。また斬新ですな。
とっても短く感じて時計を見たら、本当に短かった。


ミュージカル
『ピガール狂騒曲』
〜シェイクスピア原作「十二夜」より〜
作・演出/原田 諒


えっと、珠城さんは女役ってことでよいのでしょうか。退団発表しているトップコンビ使って何がしたかったのかよくわからない。脚本演出衣装はとてもよかった。とくに芝居は上手い役者さんが何人かいて全体を締めてくれていたので、とてもよかった。
だが珠城さんの魅力を引き出した作品とはとても思えない(珠城さんのファンにはごめんなさい)。こういう「女が男装して頑張っている」作品の主人公は、下級生時代から娘役が回ってくるような中性的な男役向きではないだろうか?もともと女性が男役をして成立している世界、そこでさらに「女性が男装をしている」という役は難易度が高い。 『All for One』でのルイ14世の愛希さんですら、娘役が長いのに男装の男役が様になっていたくらい、女性が男役を演じる宝塚という脆い虚構の世界では難しい役だ。それを大変男らしい体格の珠城さんが演じるって・・・誰が止めなかったの? 個人的には、安蘭けいさん(アイーダ)、音月桂さん(青い鳥)、早霧せいなさん(シャルウィダンス)とか、本公演で女役が回ってくるような女顔な容姿と華奢めの体格の方なら嵌ると思う。珠城ジャンヌは声は可愛くしていたけど、2階後方から見ていると体格が「男」で、まわりにいる「男」より男らしい男で、とても男装の麗人に見えなかった。ヴィクトール(男)役で出てくる方がよほど似合っている。この公演の企画書をみたら、私なら月組ではなく花か星に回せっていう。最大のミスキャストだと思う。これ以外は良かったので、誠に残念。

ジャック・ヴァレット/ジャンヌ 珠城 りょう
母子家庭の母を失い、パリに働きに出る。夢と希望を与えてくれたムーランルージュで内勤希望の押しかけ社員。ガブリエルを口説いたら秘書に雇ってやるとシャルルに言われて、頑張る。彼女の心を支えたムーランルージュの在り方、その根底にあるシャルルの経営姿勢というか創業理念に惚れたみたいだ。セリフやら感情は可愛いのだが、男装が付焼刃に見えない。幼いころから男の子として育てられたオスカルも真っ青な男っぷり。自分から告白するまで、誰もジャックが女だと気づかないもんねえ。
2階後方からオペラグラス無しで見ると、男装の麗人に見えないので苦しかった。体格が良すぎてさ。近くで見るとまた違うのかもしれない。
珠城さんは大変頑張ってお芝居していて、声も動きも変えて可愛くしていたけど、でもやっぱり体格が男らしいので、無理があると私は思う。根本的にこの役が合ってないのでは・・・。宝塚の「十二夜」なら主演は、公爵役(今回で言えばシャルル)だよねえ。今回もそうだと思い込んでいた。大和悠河さんはそうだった。絵麻緒さんのは双子の男役のほうが主演で、伯爵令嬢役(今回ならガブリエル)とハッピーエンドだったな。大劇場公演で、双子の女の子が主役とは斬新すぎる。それも珠城さんでとは。

シャルル・ジドレール 月城 かなと
ムーランルージュの創業経営者にして総支配人。傾いた劇場を立て直すため、画期的なアイディアとして、流行小説のモデルを舞台に!を思いつきガブリエルに目をつける。その説得を押しかけ従業員のジャックに依頼。その交渉で、ガブリエルはジャックに惚れ、ジャック(ジャンヌ)はシャルルに惚れると。この辺は『十二夜』のストーリー通りなので分かりやすい。かなり省略されているけど、「『十二夜』だからわかるよな?」ってことなのでしょう。
シャルルがムーランルージュに寄せる思いが、良い。心情を語り歌うシーンがあるけど、ここが深くて、これはジャンヌも惚れるね、と分かる。私も惚れた。月城さんの芝居は深いので、彼がシリアスに語りだすと一気に場面が引き締まり、ただのドタバタコメディではなく格調高くなるような気がした。(私が役者・月城かなとが好きだからかもしれぬ。)
お鬚も似合い、派手だがシックな衣装も着こなし、貫禄あり背中に哀愁も背負えるなかなかダンディなオジサマだ。主演がジャンヌだから、シャルルが相手役だね。

ガブリエル・コレット 美園 さくら
ウィリーの妻だったが、彼のベストセラー本は彼女が書いたという才女。女性の地位が低い時代に、自立を目指した才能と勇気のある女性。男と肩を並べ、威勢を張ってではなく。あくまで女性の強みを生かし可愛らしく自立していくのがいい。ポスターのドレスがとっても素敵で、似合う。こういう衣装いいねえ。スタイル良くて、新時代を生きる女性の強さと可愛らしさ感じられて、美園さんにピッタリ。彼女がヒロインでないのがもったいない。
今まで見た美園さんで一番似合ってたように思う。

ヴィクトール・バーレンベルグ 珠城 りょう(影武者は誰?)
ブリュッセルから来たベルギー貴族。異母妹を探しに来たといっていたが、あてもなく探してる?という気がしないでもない。今回大変偶然に見つかってよかったね。気前もいいし豪快だし、男前な好青年。ガブリエルは彼の顔が好きだったのか?最初にジャックに好意を持ったのは、自分の小説や生き方に理解と共感を示してくれたからだよね。ヴィクトールが夫と同じタイプの男だったらどうするんだ!?と心配になった。でもヴィクトールも短い出番で、他人を束縛しそうにない柔軟なところが見え、そこに好意を持ったのかもしれない。平民の母を持つ異母妹に財産の半分を上げるという平等な思想にも惚れたのかな?と思ったり。(元夫なら、そんな異母妹には一円も分けてやりそうにない)
ところで、母が違うのに顔そっくりって、やっぱり二人とも父親似なのだな。だからジャンヌも男顔なのか!(と妙に納得した)。
ラストシーンに出てきたヴィクトールは誰なのかな。珠城さんにお化粧顔がそっくりで、おお!と思いました。体格もよくて男役らしい男役ですね。

<ムーラン・ルージュ関係者>
レオ 暁 千星
ムーランルージュのトップダンサー。かっこいいけど特に何もしない。ダンスシーンが多くて、暁さんのダンスが堪能できる。ただ、最後の新作レビュー場面では、潜入ダンサー・ボリスに目が行き、見損なってしまうので要注意。

ミスタンゲット(ミス) 天紫 珠李
ムーランルージュのダンサー。彼女がシャルルとジャックの話を立ち聞き(盗み聞き)していて、いろいろ話が展開するので、功労者。新作のお披露目でも体調を崩して休演したため、ボリスが舞台に上がるきっかけを作るという重役も果たす。ボリスの潜入がばれなければその後の展開も異なるので、大事な役だ。ダンサーの中で一番目立つ役でした。天紫さんは大柄な美人でドレスが似合いますね。

ラ・グリュ 海乃 美月
ムーランルージュのダンサーで、古参のお姉さんかな。急遽代役で舞台に立ったボリスを蹴り飛ばしたり迷惑かけられている。それ以外には役目無し。珍しい。

ミシェル 光月 るう
振付師。シャルルとは長い付き合いっぽい。シャルルのわがままをきいて、難しい振り付けをしてあげる。今回とても出番が多い。彼は男の容姿と声でありながら、言葉遣い女性だ。ややこしい存在であるが、大変上手くて印象に残る。スタッフでは彼しか覚えてない。


<パリの方々>
アンリ・ゴーティエ=ヴィラール(ウィリー) 鳳月 杏
ガブリエルの元夫で作家。ゴーストライターをしてくれている妻を怒らせ、出ていかれてしまい焦って連れ戻そうとする。弁護士を雇い、妻を取り戻そうとするが・・・全く裏目に出てしまい、離婚されてしまった。男とは!をはき違えている傲慢男を見事に演じてらっしゃいました。さすが鳳月さん。この方も髭似合いますね。(この人も本公演で女役が回ってきてましたが、・・髭のオジサマで見たい役者さんです)

ボリス・デュポン 風間 柚乃
ウィリーの弁護士。とても一生懸命に仕事している弁護士、有能かどうかは別にして。仕事のためには、女装して掃除婦として劇場に潜入し、結果休演ダンサーの代わりに舞台にも立つ。なんと精力的な弁護士だ。彼がダンサーの衣装を着る際に、誰も男だとわからなかったのだろうか?ジャンヌのこともわからないし、この店の人たち、鈍い?
『十二夜』の道化師役とのこと、かなり出番も役割も多い。さすがの風間さん、きっちり笑かしてくれました。シリアスも上手いしコメディも上手いし、本当に演技力のある方。新人公演内とは思えない実力だ。

フィリップ 夢奈 瑠音
ウィリーの召使。ずっとウィリーのそばについていろいろお世話している。ウィリーは妻がいなくなっても困らないけど、フィリップがいなくなったら生活できないと思う。傲慢でわがままで気まぐれな旦那様と、気が強くて自立する奥様に囲まれ、大変な召使生活ですね。
旦那様に振りまわされてオタオタしながら面倒を見てあげるフィリップ、可愛い。さり気ないけど、芝居の間がいいんです。

アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック 千海 華蘭
有名画家。ムーランルージュの客、ヴィクトールの友人。なんか常に酔っぱらっている。ヴィクトールをムーランルージュに連れていくという大役を果たす。いろいろ解説してくれていたような気もする。いい仕事していた。

マルセル 輝月 ゆうま
女衒の元締め。ジャンヌの母の借金(返済済みらしい)のカタに、娘ジャンヌを売り飛ばそうと計画。頑張って追いかけるも逃げられる。ジャンヌとヴィクトールを見間違えて、騒動を起こしてくれる方々。常に部下3人を引き連れてる。普通に間抜けな悪党役ですね。彼ももっと出番があれば(ジャンヌ母との因縁とか過去とか)、深みが付いたかもしれない、輝月さんだもの。今回は単純な悪役で残念。

新聞売り 蘭 尚樹
とても見事な声で新聞を売っていたので気にかかった。新聞売りなのに見せ場がある。宝塚では、「新聞売り」や「瓦版屋」は良い役なのだ。


こんな感じ。ヴィクトールとガブリエルのお話で見たかった気もする。『十二夜』的には今回のストーリーのほうが正しいけど。

【フィナーレ】
赤いキラキラ衣装の暁さん登場!小池先生なら二番手の役目だ。スター登場って感じで素敵。暁さんは芝居よりショーで目立つ人なので、これは正解。とってもかっこいい。
続いて初舞台生のラインダンス。くすんだピンクと水色の衣装、ベルエポック風の襞がついていて品が良くて可愛い。
娘役に囲まれる珠城さん。そうよ、やっぱり彼は男役が良い。こういう方が良い。大階段に並ぶ、黒燕尾の男役を見るとテンションが上がった。「これこれ、これが見たかったの!!」と心の中で大騒ぎした。コンサートも楽しかったけど、大階段の黒燕尾、これに飢えていたのだ。かっこよくてすごくテンションが上がった。デュエットダンスも、さくらさんのドレスが綺麗で、とっても素敵だった。(だからヴィクトールとガブリエル編が見たいって)。
フィナーレは全員真っ白。初舞台生はラインダンスの衣装、その同じくすんだピンクが月城さん、くすんだ水色が美園さん。珠城さんはキラキラ白。色彩センスがとても素敵だった。
フィナーレ見てまた飢えが満たされた思い。久々のタカラヅカに感動でした。



私は全体のフォーメーションや照明が堪能できる2階のセンターブロックの席が大好きなのですが(もちろんSS席も大好きよ!)、確実に2階で見ようと思ったらB席しかない(抽選の話)。本当は2階1列センターとかで見たい。でも友の会抽選S席で2階1列が当たったことない。SS席なら確実に1階前方、B席なら確実に2階、くらいしか選択肢がないのが残念。だから先行で席が選べるときに買いたいのだけど難しい。大昔こんなにチケットが取りにくくない頃は、ふらりと出かけて当日2階1列サブセンターとか買えたのになあ。
今回はB席センターだけど後方だったので、両隣前後が開いたままだった。みると1階や2階前方センターはびっしり詰まっていた。最後の(多分)四方空席を堪能しておいた。



書き上げたのに望海さんコンサートに熱中したあまり、下書きのままなのを忘れてました。遅くなってしまった。。

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:演劇

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。