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 こんばんは。


 世間で話題になっているコロナ感染症ですが、先日国から各人宛に10万円を支払うという方針が発表されました。
 これを受けて、本日広島県知事が、県のコロナへの緊急経済対策として、県職員が国から受け取る10万円を財源に充てたいと表明しましたので、取り上げてみました。

 知事は、休業要請の協力金等の対策について財源が足りないことを述べた上で、県職員に給付される10万円に言及したということでした。
 ただ、この具体的な仕組みについてはこれから検討するということで、制度設計を急ぐと述べたということでした。
 県職員が受け取った10万円を積み立てる基金を新たに創設し、事業費に充てるというイメージで考えているそうです。
 記事によれば、知事が任命権を持つ県職員は4451人になるということです。

 このニュースを見ていて、私は率直に大変驚きました。
 確かに、この10万円について、著名人たちが、その給付を受けないとか、給付を受けた上で寄付をすると発表しているとか、そういった形での話はよく出ています。
 しかし、これらの話はあくまで自分が給付を受ける、つまり自分に処分権限があるものについて言及したものであり、今回のように知事という他人が県職員の財産の処分について言及するという形のものは今回が初めてだったように思います。

 今回のような話を進めるのであれば、各県職員から10万円を集める方法について、どのような法的根拠を考えるのでしょうか。
 このために特別な条例を制定するのかもしれませんが、それは平等権(県職員とそれ以外の人の間の不平等)や財産権を侵害する可能性が大いにありうるわけですから、いずれも憲法違反の可能性があるように思います。
 ですから、どのような形でお金を集める条例にするのかがまず大変な問題になると思います。

 憲法との関係を考えると、おそらく県職員に10万円の提供をするように義務づける条例を制定することは困難ではないかと思うのですが、そうなると善意での支払い協力を依頼するという形になるのでしょうか。
 もしも善意での協力という場合、次の問題としては事実上の強制力をかける可能性があるのかという点です。
 例えば、支払い協力をした人の名簿を作るという場合、協力した人とそうでない人が一目瞭然であり、その場合には支払っていない人に対して協力を求める形での事実上の強制力が働く可能性があります。
 このような状況では、場合によってはパワハラ等に当たる可能性もあり、そういった観点から違法の問題が出てくるかもしれません。
 実際問題、協力するにしても匿名での協力というのは困難と思われ、最終的に事実上の強制力が働く状況に陥る危険が高いのではないかと想像します。

 このように、どのようなやり方をとるとしても問題が想定されますが、一体どのようなスキームでこれを実施しようと思っているのか、それとも思いつきでいっただけなのか、非常に気になるところではあります。
 もしかしたら、コロナに対して立ち向かおうという一丸となりつつある雰囲気を利用しようと思ったのかもしれませんが、それにしてもこの方法はどうなのだろうかと疑問に感じるところではあります。

 確かに、今の情勢を見ていると、国民が国や都道府県に対して要望する程度が日を追って高くなっていっているように思われ、それに対応するだけの財源はどんどん追い詰められていくのだろうと想像します。
 それだけに、知事としては、この事態をなんとか打開したいと苦慮して、その解決策を10万円の給付金に見いだそうと思ったことも理解できます。
 特に、このところ、著名人などは給付金をもらわない、寄付をするという話がよく出ていますから、これに乗じることができると考えたのかもしれません。
 ただ、自分に処分権限のないものを利用する前提でものを話すとなれば、相応の批判が出ることも想定しているでしょうし、そのため例えば根回しを十分に行って理解を得ておくなど慎重にことを運ぶべきであろうと思います。
 そのような根回し等がどこまでなされていたのかはわかりませんが、もしもされずに知事の発言がなされたのであれば、今後大きな物議を醸す問題に発展するのだろうと思いました。


 このご時世であるため、いつも取り上げている阪神ネタがほぼ何もありません。
 少し寂しくはありますが、直近でもっとも話題になった阪神ネタはコロナ関係でしたから、それに触れなくていいだけ、いいことなのかもしれません。


 また思いついたら書きます。ではでは。


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三枝康裕 | ニュース | -  | - | 23:16
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