*** june typhoon tokyo ***

My Favorite Songs of ICE〈prologue〉


 洗練と洒脱と都会性を兼ね備えた、時流を問わない楽曲性。

 独断と偏見とその時の感情で身勝手に愛すべき楽曲たちを選ぶ拙ブログの企画「マイ・フェイヴァリット」シリーズ。これまでマイケル・ジャクソン、Especia、久保田利伸、CICADAなどで行なってきたこの企画、今回は、以前より企画を温めていたICEをフィーチャー。ICEは宮内和之と国岡真由美のユニットとして1993年に登場。バンド・メンバーとともにICEというユニットを構成し、多くの上質な楽曲を日本の音楽シーンに送り込んできた。そのICEの楽曲のうちで“マイ・フェイヴァリット”を決めてしまおうという、我ながら無謀な企画となる。まずは、そのプロローグをお送りする。

 ICEに関しては、「好きな曲を挙げよ」といってもなかなかまとまらず、いつまでも決めかねずに終わりかねないので、選定の条件をいくつか設定。まず、(1)オリジナル・アルバム11枚の収録曲のみを対象とすること。これによりベスト・アルバムのみ収録の楽曲やシングルのカップリング含むアルバム未収録の楽曲が対象外となる(あの名曲が入らないという事態が……)。次に、(2)楽曲全体から候補を選ぶのではなく、各アルバムから上位2曲を選ぶ方式とする。つまり、アルバム毎に2曲選定、11枚ゆえ、1枚につき2曲×11枚=22曲が〈マイ・フェイヴァリット・ソングス・オブ・ICE〉の候補曲になるということ。要はアルバム毎に代表2曲を決めて、その代表曲から上位を決めていく勝ち抜けシステムとする。やや変則的な“しばり”があるゆえ、純粋な意味でのランキングにはならないが、候補曲選びに悩んでいつまでたっても決め切れず終わることを避けるための措置と考えてもらえると、ありがたい。

 では、リリース順に各オリジナル・アルバムの“フェイヴァリット”候補を2曲ずつ挙げていくことにする。
 
◇◇◇

■ ICE / ICE 1993/4/7 《1st》
INTERLUDE
K.M JAM#1
HEART BEAT VOICE
NON-FIXION
PM7:05
HEAVEN
PRECIOUS LOVE
AM3:35
MISTY
TELL THE TRUTH
KISS YOUR LIPS


 1993年リリースのICEの記念すべき1stアルバム。帯にある「心臓はここだよ。ゾクッ!」のキャッチコピーよろしく、邦楽バンドでもこれだけシャレていて、スタイリッシュなグルーヴを生み出せるのかと驚いた記憶が。冒頭の「INTERLUDE」ほか「PM7:05」「AM3:35」とインスト・トラックを組み込んで、しっかり“アルバム”としてのストーリーを作っているのも好感を覚えた。「MOON CHILD」や「FUTURE」の原型かとも想わせる「MISTY」や夜の高速を駆け抜けるようなクール&エッジィな疾走感が魅力の「K.M JAM#1」も捨てがたいが、ここではそこかしこにソウルやブルースの薫りがちらつくギターのネオンをすり抜けながら、真夜中のラヴアフェアへ繰り出すようなアーバン&スタイリッシュなムードが陶酔させる「PRECIOUS LOVE」と、グルーヴィなギターがグルグル回る(レイ・パーカー・Jr.&レイディオ「イッツ・タイム・トゥ・パーティ・ナウ」のようなグイグイくる推進力が肝の)「TELL THE TRUTH」に。

「PRECIOUS LOVE」
「TELL THE TRUTH」



■ ICE / Wake Up Everybody 1994/1/24 《2nd》
KM JAM #2(Clap Your Hands, Stomp Your Feet)
JUNKFOOD JENNY
MELLOW BLUE
E・S・P
ANALOG QUEEN
TEA 4 TEE
FLOWER
BLACK SUGAR DREAM
MOON CHILD
ANGEL
WAKE UP EVERYBODY

 ICEはロック・バンドという認識が一般的だが、黒系を嗜好する自分がなぜ惹かれるようになったかというと、ソウルやファンク、R&Bなどへの愛を、楽曲の隠し味として忍ばせている心憎い演出なのかもと思うことがある。1st同様、この2ndでもその要素は消えず、冒頭の「KM JAM #2(Clap Your Hands,Stomp Your Feet)」では、ジャクソン・シスターズ「アイ・ビリーヴ・イン・ミラクルズ」のキャッチーなブレイクを引用したり、「ANGEL」では“WOMAN NEEDS LOVE”とレイ・パーカー・Jr.&レイディオの曲名を組み込んでみたりと、好きな音をICEというバンドで鳴らすというシンプルな情熱が潔くていい。

 もう2枚目にして名曲だらけでセレクトが難しく、企画が成り立たない気がしてならないが、ここでは前曲「E・S・P」にて“アナログクイーン”を登場させてからの繋がりもストーリー性を覚える“シャリラリラー”な「ANALOG QUEEN」と問答無用の名曲「MOON CHILD」で。

「ANALOG QUEEN」
「MOON CHILD」


■ ICE / ICE III 1994/11/23  《3rd》
Peace In 246
Too Much Trouble Town
Kozmic blue
No-No-Boy(Pt 1&2)
Ain't, No Talkin' To Love
Share Little Love
GURUNIPARSHA(Relax)
Isn't It A Shame
Steppin' Out
17
Dreams To Remember


 1994年11月リリースの文字通りの3rdアルバム。同年6月には「SLOW LOVE」というICE最高傑作といってもいいシングルが出されたのだが、本アルバムには収録されず(カップリングの「Isn't It A Shame」は収録)に、シングルの収録は10月発表の「Kozmic blue」のみ。当時やや肩透かしを喰らった気がしたが、それでも聴き始めれば、その杞憂は直ぐに吹っ飛ぶ。前半はやや重厚で、60~70年代コーラス・グループあたりのソウル・マナーを帯びた「Share Little Love」以降は徐々にその重さが取れていくという構成もいい。

 ここでは、腰を揺らすディスコ/ファンクとエッジの効いたロッキンなギターが入り交じり、少し斜に構えたようなクール・ビューティなヴォーカルに一撃な「No-No-Boy(Pt 1&2)」と、R&B調のミディアム・スロー「Dreams To Remember」をピックアップ。

「Dreams To Remember」
「No-No-Boy(Pt 1&2)」




■ ICE / We're in the Mood 1996/2/7 《4th》 
GET DOWN, GET DOWN, GET DOWN
I'M IN THE MOOD
DRIVE
We're In The Mood
STAY
NATURAL HIGH
BABY MAYBE
Dub In The Mood
LA-LA-LA(One Is Born Free)
OVER THE RAINBOW
Voice In The Mood
SHINE
'CAUSE WE KNOW YOUR DREAMS
SWEET INSPIRATION

 モダンでオーバルなサングラスをかけた国岡真由美のアップのジャケットが印象的な4thアルバム。イントロダクション的な楽曲を配していたこれまでの3作とは異なり、冒頭からフロアキラーな「GET DOWN,GET DOWN,GET DOWN」でギアを上げる導入が大胆。ただ、そのままギアを上げっぱなしにするのではなく、「I'M IN THE MOOD」で落ち着かせるところは、大人の所作といったところか。タイトル曲「We're In The Mood」をはじめ、「Dub In The Mood」「Voice In The Mood」と“In The Mood”をテーマにしたインタールードを用いながら、アーバンなサウンドスケープを構築していく。とはいえ、「NATURAL HIGH」のように国岡真由美のセクシー・ロック感溢れる楽曲も。

 正直、本当に選曲が苦になりつつあるが(それだけ良曲の宝庫ということ)、ここではタイトルもナイトクルージングにピッタリな「DRIVE」と、ビター&スウィートなイントロのコーラスからヤラれてしまう「OVER THE RAINBOW」で(「I'M IN THE MOOD」も捨てがたいんだけれども)。

「DRIVE」
「OVER THE RAINBOW」




■ ICE / SOUL DIMENSION  1996/11/27 《5th》
“where is‥?”
Medicine Street
See The Music On The TV
Life Is Blues
Monkey Communication
Take Me Away
Love Makes Me Run
Soul Of Joy
Plastic Hip
Yes,I Do
See The Music On The TV(reprise)


 5枚目のアルバムで“DIMENSION”というワードを使うのはもう、60年代半ばから活躍するソウル・コーラス・グループ“フィフス・ディメンション”を意識してのことだろう(日本のフュージョン・グループのDIMENSIONやももいろクローバーZにはそのまんまの『5TH DIMENSION』というアルバムもある)。シングル曲は当時ICEを表現する代表的な装飾といえるアーバンなイメージを投影した「Love Makes Me Run」のみだが、宮内和之のアジテーション風のヴォイスとグルーヴィなトラックの重なりが斬新な「Medicine Street」や粘着性あるワウギター使いとディスコ/ファンクなボトムが肝の「See The Music On The TV」、しっとりと落ち着いた「Life Is Blues」、ボッサ・テイストの「Take Me Away」、ウォーミングな肌あたりのソウル・ポップ「Yes,I Do」など、アーバンのイメージで片付けられないヴァラエティに富んだ楽曲群。

 ライヴだと最高潮に盛り上がる「Love Makes Me Run」と「Plastic Hip」は鉄板なのだが……楽曲ということで考えると、セクシーとキュートを行き交うヴォーカルもグッとくる「Medicine Street」と、やっぱり「Love Makes Me Run」を(苦渋の決断……少し大人にならなきゃね)。

「Love Makes Me Run」
「Medicine Street」




■ ICE / MIDNIGHT SKYWAY 1998/3/25 《6th》
MIDNIGHT SKYWAY
CAN'T STOP THE MUSIC
WERE YOU THERE
HOW DO YOU LIKE IT?
BLUES VIBRATION
WHISPER
LIVIN' IN THE CITY
FUNKY MUSIC SHO NUFF ON
COME TONIGHT
PEOPLE,RIDE ON
SONGBIRD


 このアルバムの第一印象は……ブックレットの文字が読みづらい、というか読めない! だったか(笑)。タイトル曲を冒頭に配して、真夜中の航空路/ハイウェイというテーマを完遂。曲中に発する“MUSIC IS OUR MASSAGE”の声を受けてシングル曲「CAN'T STOP THE MUSIC」へ繋げるという展開もスムーズで巧妙だ。本作は「LIVIN' IN THE CITY」を除くと、派手さのある楽曲は多くないが、ジワジワと沁みる浸透性の高い楽曲が豊富ゆえ、アルバム完成度は非常に高いと思われる。

 甘酸っぱい余韻溢れる「WERE YOU THERE」、ブラン・ニュー・ヘヴィーズあたりが演奏しそうなアシッド・ジャズ/ジャズ・ファンクの要素を採り入れた「FUNKY MUSIC SHO NUFF ON」や「HOW DO YOU LIKE IT?」、ICEのアンセムといってもいい「PEOPLE, RIDE ON」など悩ましいことこの上ないが、ここはセクシーなヴォーカルとアダルトなムードが美味な「COME TONIGHT」と「LIVIN' IN THE CITY」を。「LIVIN' IN THE CITY」は何となくだけれども自分が好きなCOSA NOSTRA「LIVING FOR TOMORROW」(フジテレビ系深夜ドラマ『東京SEX』のオープニング・テーマだった)に似ている感じもするので(「PEOPLE, RIDE ON」選ばなくていいのか、というね……)。

「COME TONIGHT」
「LIVIN' IN THE CITY」


■ ICE / TRUTH 1999/4/28 《7th》
Truth
Brandnew Day
WHEN THE EAGLE FLY
Mr.CATMAN
SWEETNESS
LOWRIDE
Rock‘n’Roll Believer
Tonight Is The Night
Love Is Such A Beautiful Thing
BIG BEAT FROM THE CITY
IT'S ALL RIGHT
HAPPY


 ベスト盤『ICE TRACKS Vol.01 THE BEST OF ICE IN THE PERIOD OF 1993 TO 1998』を挟んでからの、99年の7作目。シングルは直前にリリースした「IT'S ALL RIGHT」のみ。ファンク、ラテン、レゲエ、ジャズと多彩な装飾による懐の広さを持ったアルバムといった印象。テンション高めで刺激的なファンク・サウンドの「Mr.CATMAN」では“ピー音”(いわゆる4レターワード=NGワード)があったりも。一区切りつけたベスト盤の後ゆえ、楽曲構成をみると、やや実験的な試みもあったのかと思わせる節々も散見される。衒いなくポップなのは華やかで麗しいストリングスを添えた「Brandnew Day」くらいか。

 ここではスウィング・ジャズな「BIG BEAT FROM THE CITY」もジャジィでミッドスローな「SWEETNESS」も粋だが、タイトル曲「Truth」と、晴れやかなヴォーカルと爽快なギター・カッティングを携えた「Tonight Is The Night」で。

「Tonight Is The Night」
「Truth」




■ ICE / SPECTRUM 2001/1/31 《8th》
Age Of Spectrum
SLIDER
HIGH ON LOVE
SO INTO YOU
ECHOES(Emotional Mix)
Sausalito Callin’(Lovers Rock Version)
Theme Of Gyro(Snake Hip Mix)
TOKYO DAY・TOKYO NIGHT
PEAK
GROOVE ON!
Far Side Of The Moon
RED MOON


 ライヴ・アルバム『ALIVE』を経ての、2000年代に突入しての最初のアルバム。前作『TRUTH』がヴァラエティ豊かな楽曲群を揃えた音楽的振幅を拡げた作品だとすれば、本作は『MIDNIGHT SKYWAY』のじっくりと嗜むようなアダルトなムードを継承した深度を高めた作品ともいえそう。「HIGH ON LOVE」「TOKYO DAY・TOKYO NIGHT」が全英詞、「SO INTO YOU」「Theme Of Gyro(Snake Hip Mix)」「Far Side Of The Moon」がインスト曲という構成にもそれは表われているといえる。しかしながら、宮内和之がヴォーカルを執る「PEAK」ではしっかりと皮肉を歌い散らす“らしい”ところも。このアルバムは結構繰り返し聴いた記憶があって、ICEのなかでも強い印象を残している。年齢を重ねて次の段階に入ったと実感したことと偶然にも楽曲のテイストやムードがリンクしたこともあるのかもしれない。

 名に違わぬグルーヴが横溢する、色香漂うジャズ・グルーヴァー「GROOVE ON!」は非常に佳曲で、「HIGH ON LOVE」の上質感も捨てがたいのだが、ここはやはり重低音なグルーヴと風を切るような疾走感とのシンクロが身体を揺らす(畳み掛けるようなアウトロも素晴らしい)「SLIDER」と、ライヴで宮内和之が“30代の歌”と言っていたように黄昏と希望が往来する“青春”チューン「ECHOES(Emotional Mix)」を選んでおきたい。

「ECHOES(Emotional Mix)」
「SLIDER」




■ ICE / Formula 21 2003/2/26  《9th》
C'est La Vie
SOUL LOVERS
(Going To The)LIGHT OF THE WORLD
Formula 21
TIME OUT!
Circle 6th Sidewalk
I saw the light
TANGERINE
spirit
GOOD NIGHT
LOVE IS EVERYTHING
Sunshine Woman
ROCK'N'ROLL(Life goes on)


 ミニ・アルバム『SPIRIT』シリーズ2枚、ベスト盤『REFLECTION -The Sounds Of ICE-』の後、ユニバーサル移籍後初のアルバム。タイトルに“21”を掲げた真意は分からないが、21世紀の意だとすれば、21世紀に入ろうともICEサウンドは不変だということだろうか。トピックは斉藤和義を迎えた「(Going To The)LIGHT OF THE WORLD」と、「spirit」「I saw the light」「C'est La Vie」(「C'est La Vie」はスパンダー・バレエ「トゥルー」をサンプリングしたことでも話題に)のシングル3曲といったところだが、宮内和之が「本当は直球で名付けたかったけれど、照れて“Life goes on”という副題を最後に付けてしまった」と語った「ROCK'N'ROLL(Life goes on)」(サイモン&ガーファンクル「冬の散歩道」のリフも登場)や、ウェットなファンク・サウンドが耳を惹く「TANGERINE」、ビートルズ・マナーのギター・リフほかさまざまなモチーフが脳裏をかすめる快活アップ「Sunshine Woman」など、喉越しならぬ耳越しに喜ぶ楽曲の波が途絶えない。

 ここではICE王道のソフィスティケートなアーバン・ソウル「SOUL LOVERS」やスキャットによるフレンチ・ポップの小品「Circle 6th Sidewalk」もかなり気に入っているのだが、ベタながら「spirit」と音からも夜明けの光景が目に浮かぶセンチメンタルなミディアム「I saw the light」にしておくことにする。

「I saw the light」
「spirit」



■ ICE / RIGHT NOW! 2006/5/24 《10th》
Quiet Dawn
Morning Dew
Hummingbird '68
Daydreamin'
EAR
BABY BLUE
WENDY(Namely You)
Straight Ahead(Go! Shinji, Go!)
Skyscrapers ~摩天楼~
GET IT ON(真夜中を駆け抜けろ!)
ロック・キャンドル
INTO THE SUN
AKATSUKI ~暁~
Quiet Dawn(Dub's Eazy Remix)


 ユニバーサルに移籍して『Formula 21』を出したものの、ベスト盤『Greatest Hits!』をもって離れ、オリジナルとしては6年ぶりとなった10枚目。ICEフリークにとっては、2004年のライヴ会場限定で発売された「BABY BLUE」が収録されていることは、まさに“歓喜”だろう。宮内和之がメインヴォーカルを執り、(毎回演奏する訳ではないが)ライヴで披露すれば盛り上がり必至のロック・チューンだ。バンドのベースを務める小川真司の速弾きベースをフィーチャーした小品「Straight Ahead(Go! Shinji, Go!)」なども含め、ICEのバンドとしての一体感と完成度の高いICEサウンドを提示している一枚だ。

 ここでのセレクトは、もどかしさや葛藤を負いながらおぼろげな未来に僅かながらの希望を求める心情を綴ったロック・チューン「Morning Dew」と、やはり「BABY BLUE」となるだろうか。

「BABY BLUE」
「Morning Dew」




■ ICE / Speak Low 2007/10/24 《11th》
SPEAK LOW:mystique
BLUE MOON
ラヴァーズ・ロック(Yeah! Yeah! Yeah!)
Fire(Fy-Ah)
ALONE
SPEAK LOW : ocean
FOOLS
ビューティフル・ソング
EYES OF YOUR MIND
SONG BIRD(Flyin')
SPEAK LOW


 残念ながらリリースの約2ヵ月後に43歳の若さでこの世を旅立った宮内和之の遺作となる11作目。“小声で(優しく)話して”という言葉を冠した本作だが、正直なところリリース当時はそれほど聴けなかった。まろやかさ、テンダーネスが満ち溢れた人生謳歌ソング「ラヴァーズ・ロック(Yeah! Yeah! Yeah!)」の瑞々しさは、これぞICEの爽やかなポップといった感じだが、どこか哀愁も感じてしまうのは宮内の死が少なからず影響しているからだと思う。

 青い海と港を映したジャケットは、これまでの夜やクールな配色などスタイリッシュなアートワークとは一線を画していて、楽曲もクールネスや走るようなビートを抑えた、ナチュラルで優しく、穏やかなムードが広がっていく。「SONG BIRD (Flyin')」はバックビートを用いたゆったりとしたレゲエ・テイストが全編に続き、インタールード的な「SPEAK LOW : ocean」では波の音とトロピカルな音色のギターで大らかな南の国の海辺を想起させるなど、宮内が死を覚悟して制作したのか、美しいメロディラインの楽曲が揃っている。

 そのなかでも、グルーヴィなギターリフと艶あるヴォーカルが映える「BLUE MOON」と清々しい広がりとポジティヴなエナジーを感じる「EYES OF YOUR MIND」をピックアップしておく。

「BLUE MOON」
「EYES OF YOUR MIND」

◇◇◇

 これらを踏まえて、各アルバムから候補曲2曲をセレクトした〈My Favorite Songs of ICE〉ノミネート曲は、次の22曲に決定(順不同)。

「PRECIOUS LOVE」
「TELL THE TRUTH」
「ANALOG QUEEN」
「MOON CHILD」
「Dreams To Remember」
「No-No-Boy(Pt 1&2)」
「DRIVE」
「OVER THE RAINBOW」
「Love Makes Me Run」
「Medicine Street」
「COME TONIGHT」
「LIVIN' IN THE CITY」
「Tonight Is The Night」
「Truth」
「ECHOES(Emotional Mix)」
「SLIDER」
「I saw the light」
「spirit」
「BABY BLUE」
「Morning Dew」
「BLUE MOON」
「EYES OF YOUR MIND」

 あの曲がない、この曲も選ばれてない……そんな声が聞こえなくもないが、あくまで独断と偏見、オリジナル・アルバム収録曲以外を無視するという暴挙にもにた変則的な選出方法なので、そこは了承いただきたい。この22曲のなかから〈My Favorite Songs of ICE〉が決定するが、それは次の記事「My Favorite Songs of ICE〈epilogue〉」にて。しばしお待ちを。

◇◇◇

【ICEに関する記事】
・2013/10/04 ICE@下北沢GARDEN
・2015/03/19 ICE@BLUES ALLEY
・2019/01/26 ICE@横浜Bay Hall
・2019/10/12 My Favorite Songs of ICE〈prologue〉(本記事)



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