来季ACL出場を目論む上位対決は、終盤にPKを決めた名古屋が豊スタでFC東京に初勝利。
試合消化数が異なるとはいえ、勝ち点1差での4位・FC東京と5位・名古屋との一戦は、スコアレスドローが濃厚な雰囲気を醸し出し始めたなかで、名古屋がPKを獲得。マテウスがしっかりと決めて、名古屋が近年相性が良くなかったFC東京に勝利し、暫定3位とACL圏内へ順位を上げた。
一方、FC東京はやはり19連戦による疲労の蓄積の影響から抜けきらないのか、動きの鈍さも散見され、近5戦で1勝4敗と大幅に勢いが減速。ACLの関係で日程消化が他チームより早く、残り試合が3試合と数少ないため、川崎に続くACL圏内争いにおいても、FC東京より試合消化が3試合少ない2位・G大阪の勝ち点が55、同じく2試合少ない3位に浮上した名古屋の勝ち点が52となり、現時点で勝ち点50のFC東京が2位以内に与えられる天皇杯出場権、そして3位までに与えられるACL出場権に届く可能性はかなり低くなってしまった。
名古屋は金崎や山崎が出場せず、ボールの収め役が不在だったゆえ、阿部とガブリエル・シャビエルという2トップだったが、実際にはそこまでの脅威はなく、寧ろ両ワイドのそれぞれマテウスと前田のスピードを活かした突破を武器に攻撃を組み立てる。ペナルティエリアへと切れ込んでのラストパスから阿部や稲垣、左SBの吉田らがゴールを狙うが、それほど精度がなく、FC東京は助けられた形に。
FC東京はアダイウトンを1トップに、左にレアンドロ、右にディエゴ・オリヴェイラとブラジル人3人を前線に配置。ただ、全体的に連係が悪く、ワンタッチパスで打開したり、スピードに乗ったままアタッキングサードからエリアへの侵入、サイドや中央でのフリーランニングなどという動きもあまり見られないため、推進力に欠け、アルトゥール・シルバを加えた、ブラジル人4名を中心とした個の力による攻撃に終始。幾度かチャレンジはあったものの、右SBの中村帆高の上がりも脅威を与えられず、全体として運動量も欠如。GK波多野の好セーヴで、均衡を保ったが、得意のカウンター攻撃も鳴りを潜め、ファストブレイクには程遠い印象だった。
中盤での争いは激しく、鍔迫り合いの攻防という言い方も出来るが、個人的には両者ともに決定打に欠けるという印象が強かった。特にFC東京は終始押されていたというよりも、シュートを放つまでの過程が遅く、ゴールへの匂いが皆無だったため、チャンスを構築していた名古屋が押し込んでいたような見方をする人もいたかもしれない。
後半はどちらが主導権を握るともなく、中盤でのバトルが続いていたが、FC東京はアダイウトンに代えて古巣相手に強い永井を投入すると、攻撃の形が生まれ始める。67分、FC東京が名古屋陣内へ攻め込むなかで、混戦からディフェンスが弾いたボールに反応した安部がシュート。これをGKランゲラックが好セーヴ。その2分後にはペナルティエリア手前の左でFKを獲得すると、長く時間をかけたレアンドロのカーブをかけたシュートはゴール左へと外れ、枠を捉えられない。
81分、名古屋は右サイドのFC東京陣深くでボールを持った前田がドリブルでエリアへ進入して倒れるが、シミュレーションのダイヴととられてイエローカード。ゴール前のあと一つのアイディアや力が足らずに、時間が経過。その後も両者がゴール前へ進出するも相手の守備に防がれ、押し込みながらもシュートまで持ち込めないという展開を繰り返していく。
アディショナルタイムが5分を掲示。FC東京が先にCKを得るも、エリア内でファールをとられてチャンスを活かせないでいると、右サイドからドリブルでカットインしたマテウスがエリア手前右からシュート。これがブロックに入った高萩の手に当たって、PKの判定。これをマテウスが冷静に流し込んで、アディショナルタイムも僅かとなった時間に、名古屋が先制。そのままタイムアップの笛を聞き、名古屋が豊田スタジアムでは初となるFC東京に勝利。順位も3位へと上げるドラマティックな幕切れとなった。
FC東京は疲労からくる連係の不味さ、思い通りに進まないことへの苛立ちからプレイの精度が低く、特にレアンドロはストレスを溜めてのラフプレーも見られた。米本、丸山、オ・ジェソクら元FC東京に所属していた選手の奮闘ぶりと比べると、疲労以上にリーグ戦へのモチベーションが途切れたような精神面でのストレスが、パフォーマンスの低下にも繋がっているような気がした。
3日後の次節はACL前の最後の試合となるため、出場メンバーは流動的か。だが、ACLでタイトルを狙うためにも、ミッドウィークのアウェイで、前節は好調のG大阪に4得点、久々のホーム勝利と意気込む仙台が相手と簡単な状況ではないが、まずは勝利をもって、ACLへの勢いをつけたいところだ。
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【明治安田生命J1リーグ 第27節】
2020年11月15日（日）19:03試合開始 豊田スタジアム
入場者数 16,709人
天候 曇 ／ 気温 16.1℃ ／ 湿度 67％
主審 松尾 一 ／ 副審 西橋 勲、数原武志 ／ ４審 植田文平
名古屋 1（0-0 / 1-0）0 FC東京
≪得点≫
（名）： マテウス（90+5分、PK）
（東）：
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【FC東京】
≪スターティングメンバー≫
ＧＫ 13 波多野豪
ＤＦ 37 中村帆高
ＤＦ 04 渡辺 剛
ＤＦ 03 森重真人
ＤＦ 06 小川諒也
ＭＦ 45 アルトゥール・シルバ → 内田宅哉（87分）
ＭＦ 08 高萩洋次郎
ＭＦ 31 安部柊斗
ＦＷ 20 レアンドロ → 原 大智（77分）
ＦＷ 15 アダイウトン → 永井謙佑（65分）
ＦＷ 09 ディエゴ・オリヴェイラ → 三田啓貴（77分）
≪サブスティテューション≫
ＧＫ 01 児玉 剛
ＤＦ 22 中村拓海
ＤＦ 32 ジョアン・オマリ
ＭＦ 28 内田宅哉
ＭＦ 07 三田啓貴
ＦＷ 11 永井謙佑
ＦＷ 24 原 大智
≪監督≫
長谷川健太
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【2020 明治安田生命J1リーグ FC東京 試合日程】※薄赤は日程変更節
第01節 02月23日(日)13:03〇FC東京 3-1 清 水（Ａ・アイスタ）
第02節 07月04日(土)19:00〇FC東京 1-0 柏 （Ａ・三協Ｆ柏）※Remote Match
第03節 07月08日(水)19:30✕FC東京 0-4 川 崎（Ｈ・味スタ）※Remote Match
第04節 07月12日(日)19:30〇FC東京 3-1 横浜FM（Ａ・日産ス）
第05節 07月18日(土)19:00〇FC東京 2-0 浦 和（Ｈ・味スタ）
第06節 07月22日(水)19:05△FC東京 1-1 札 幌（Ａ・札幌ド）
第07節 07月26日(日)18:30△FC東京 2-2 鹿 島（Ａ・カシマ）
第08節 08月01日(土)19:00✕FC東京 2-3 鳥 栖（Ｈ・味スタ）
第09節 08月09日(日)19:00△FC東京 0-0 Ｃ大阪（Ａ・ヤンマー）
第10節 08月15日(土)19:00〇FC東京 1-0 名古屋（Ｈ・味スタ）
第11節 08月19日(水)19:00△FC東京 3-3 広 島（Ａ・Ｅスタ）
第12節 08月23日(日)19:00〇FC東京 3-0 湘 南（Ｈ・味スタ）
第26節 08月26日(水)19:00✕FC東京 1-2 鹿 島（Ｈ・味スタ）
第13節 08月29日(土)19:00〇FC東京 3-1 Ｇ大阪（Ａ・パナスタ）
第14節 09月05日(土)18:30〇FC東京 1-0 大 分（Ａ・昭和電ド）
第15節 09月09日(水)19:00〇FC東京 2-1 横浜FC（Ｈ・味スタ）
第16節 09月12日(土)19:00△FC東京 2-2 神 戸（Ａ・ノエスタ）
第24節 09月16日(水)19:00✕FC東京 2-3 大 分（Ｈ・味スタ）
第17節 09月20日(日)19:00〇FC東京 1-0 仙 台（Ｈ・味スタ）
第18節 09月23日(水)19:00〇FC東京 2-0 Ｃ大阪（Ｈ・味スタ）
第19節 09月27日(日)16:00✕FC東京 0-3 鳥 栖（Ａ・駅スタ）
第29節 09月30日(水)19:30〇FC東京 1-0 浦 和（Ａ・埼 玉）
第20節 10月04日(日)15:00〇FC東京 1-0 湘 南（Ａ・ＢＭＷス）
第21節 10月10日(土)14:00✕FC東京 0-1 Ｇ大阪（Ｈ・味スタ）
第22節 10月14日(水)19:00〇FC東京 3-1 清 水（Ｈ・味スタ）
第23節 10月18日(日)14:00✕FC東京 0-1 横浜FC（Ａ・ニッパツ）
第28節 10月24日(土)15:00✕FC東京 0-4 横浜FM（Ｈ・味スタ）
第30節 10月28日(水)19:00✕FC東京 1-3 柏 （Ｈ・味スタ）
第25節 10月31日(土)18:00✕FC東京 1-2 川 崎（Ａ・等々力）
第33節 11月11日(水)19:00〇FC東京 1-0 札 幌（Ｈ・味スタ）
第27節 11月15日(日)19:00✕FC東京 0-1 名古屋（Ａ・豊田ス）
第32節 11月18日(水)19:00 FC東京✕仙 台（Ａ・ユアスタ）
第31節 12月12日(土)14:00 FC東京✕広 島（Ｈ・味スタ）
第34節 12月19日(土)14:00 FC東京✕神 戸（Ｈ・味スタ）
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