*** june typhoon tokyo ***

上海申花 vs FC東京 【ACL】

 リヴェンジマッチに快勝。ACL再開後の初勝利で、グループ2位に浮上。

 グループステージ突破のためには負けが許されないFC東京が、上海申花とのリヴェンジマッチに勝利。グループFの2位に浮上し、決勝トーナメント進出への可能性を高めた。

 3日前に敗れた上海申花との再戦は、序盤からヒートアップ。是が非でも先制点を奪いたいFC東京がゴールへの推進力を高め、決定機を立て続けに演出。3分にディエゴ・オリヴェイラの左サイドの突破からの折り返しをファーサイドの永井が詰めるも、シュートを相手DFに当ててしまう形で防がれると、19分に敵陣ゴール前での森重の落としをエリア中央にカットインしたレアンドロがシュートも枠外、26分にはレアンドロがエリア手前から相手DFを切り返して無回転シュートを放つも、GKリー・シュアイがブレ球に反応し、片手でシュートを弾き出す。29分のエリア左から切り込んだ安部のシュートはGKの正面、37分には東のエリア手前中央から放ったシュートが相手DF、レアンドロと当たってエリア中央のディエゴ・オリヴェイラの前へこぼれると、レアンドロにマイナスのラストパス。レアンドロはやや焦ったか、ショットをミスして枠の左へと外してしまう。

 マンツーマンディフェンスと“タイト”という言葉では少々生温い感じもする身体をぶつけてくる球際での攻防に手こずり、ストレスも蓄積されていたFC東京だったが、41分に前半最大のチャンスが訪れる。縦パスと戻しを繰り返すなかで、自陣センターサークルからの東のスルーパスに反応した永井が、DFの裏への抜け出しに成功。そのままエリアに侵入し、GKと1対1の場面を迎えるが、慎重に行き過ぎたか、シュートを飛び出してきたGKリー・シュアイに当ててしまい、またしてもゴールならず。46分にはレアンドロからの縦パスに永井が反応。エリア内で相手に倒され、一瞬PKかと思ったが、その前に僅かながらオフサイドの判定。得点機を重ねながら、先制出来ないという煮え切らない状況で後半を迎えることとなる。

 すると、FC東京は後半から決定機で決め切れず“ノレてない”永井をアダイウトンにスイッチ。パワフルな個の力でゴールへの推進力を高めていく。

 だが、後半の序盤に敵陣右サイドをディエゴ・オリヴェイラがドリブルで駆け上がるところを、チン・ションが追いつかないとみるや背後からボールとは微塵も関係ない箇所へスライディングを敢行。レッドはおろか数試合出場停止処分が下されてもおかしくないラフを超えたプレーもイエローカードの判定。ディエゴ・オリヴェイラは倒れたまま立ち上がれないままピッチを去り、原が交代で入ることに。

 一触即発の緊張感が漂うなか、上海申花はボールを奪うと前線へロングパスを送るパワープレーを展開。エリア手前左からユー・ハンチャオが鋭いシュートを放つも、GK波多野が弾き出す。FC東京にとっては得点が奪えそうで奪えず、ディエゴ・オリヴェイラの負傷退場と嫌なムードが流れているなかでの波多野のビッグセーヴは、今後の試合展開のスイッチとなった。

 55分頃よりエリア内で何度か得点が生まれそうなチャンスを繰り返すなかで、58分のエリア手前の左からのアダイウトンのミドル・シュートはクロスバーに弾かれるなど、ゴールまであと僅かと迫っていく。そして、61分。自陣エリア内の波多野からのボールを回収した安部が持ち上がり、縦パスを供給すると、エリア手前中央でアダイウトンが胸トラップで収めて東へパス。東が左サイドから走り込んできたレアンドロにスルーパスを出すと、レアンドロが冷静にファーサイドへ流し込み、FC東京がようやく先制点を奪取。

 上海申花は上背のあるモレノやキム・シヌク、さらにジャン・シェンロン、リウ・ルオファンを投入してゴールへの推進力を高めようとするが、かえってFC東京にとってはカウンター攻撃を出しやすくなる展開に。攻め込まれる回数は増えるものの、しっかりと固めてカウンターという、JリーグでのFC東京の戦い方に近い形が生まれると、東を高萩に、中村拓海を中村帆高に代えて、フレッシュな面々を入れてボールを動かしていく。81分にハーフウェイ付近からのレアンドロがドリブルで持ち運んでアダイウトンに縦パスを送るも、これは攻撃が実らなかったが、その1分後に決定機。アダイウトンがペナルティアークから放ったシュートがDFに当たってエリア左にこぼれると、素早く反応した原がファーサイドへ折り返し、中央へ駆け込んできた安部が右脚でゴールへ押し込んで、FC東京が追加点を挙げる。

 その後、レアンドロ、波多野にイエローカードが出され、その判定からスパっと切り替えられないところを突かれたか、86分に右サイド敵陣深くからリウ・ルオファンのマイナスのクロスを受けたモレノがシュートを決めて、1点差に。ロングボールを繰り出す上海申花の攻撃をしっかりと跳ね返し続けたFC東京が、アディショナルタイム4分を守り切り、ACL再開後に初勝利。上海申花へのリヴェンジを果たすとともにグループ2位へ浮上し、グループリーグ突破への可能性を高めた。

 しかしながら、残念なことに上海申花のチン・ションのラフプレーによりディエゴ・オリヴェイラが負傷。どうやら軽傷ではない模様で、ACLはおろか、年始のルヴァンカップ決勝の出場も危ぶまれる状況に。元中国代表のチン・ション(秦昇)は2017年に中国リーグでベルギー代表のアクセル・ヴィツェルを踏みつけて6か月出場停止、約194万円の罰金を受けている“前科”があり、中国においても常時ラフプレーを繰り出しているという認識があるようだ。主審の能力の低さには嘆くことばかりだが、試合後でも意見書を提出して追加懲罰の対象を考慮してもらうよう働きかけるべきだ。

 それとは別に、こういった大会を乗り切るためには、相手との接触を出来るだけ避けるプレースタイルも駆使していく必要がある。ジョアン・オマリや渡辺は強固なフィジカルでしっかりと対応したが、エリア内では一転してファウルをとられる可能性もあるゆえ、不用意に手を出したり、身体をぶつける前に、対応していきたい。中盤でも身体ごとぶつかって来る(チェ・ガンヒらしいといえばらしい)スタイルで崩しに来るが、なるべく球離れを早くして、ボールを動かすセーフティなプレイが求められる。小川や森重はボールをキープするテクニックはあるが、この大会ではクリーンなプレーはほぼないと考えて、あまり足元にボールを置いて相手を呼び込んで交わすようなプレーは避けたいところだ。

 永井は不調だったものの、レアンドロが躍動。波多野のセーヴも良かった。そして、何よりも安部が運動量豊富にあらゆる場面に顔を出し、チームに活力を与え、さらに自らゴールを決めたことは、今後の大きな飛躍につながるだろう。ただ、次からは執拗に安部が狙われることも考えられ、そのあたりのケアを含めて戦術を見つめなおしたいところだ。

◇◇◇

【AFCチャンピオンズリーグ2020 グループステージ MD4】
2020年11月27日(金)22:00試合開始 エデュケーションシティ スタジアム
入場者数 無観客
天候 曇 / 気温 27℃ / 湿度 51%
主審 モハナド・サレー / 副審 ヘイダー・アブドゥルハサン・アリ・ウバイディー、アリ・アフマド / 4審 アリ・サバ・アルカイシ

 上海申花 1(0-0 / 1-2)2 FC東京

≪得点≫
(上): ジオバンニ・モレーノ(86分)
(東): レアンドロ(61分)、安部柊斗(82分)

◇◇◇

【FC東京】
≪スターティングメンバー≫
GK 13 波多野豪
DF 03 森重真人
DF 04 渡辺 剛
DF 06 小川諒也
DF 22 中村拓海  → 中村帆高(78分)
DF 32 ジョアン・オマリ
MF 10 東 慶悟  → 高萩洋次郎(78分)
MF 31 安部柊斗
FW 09 ディエゴ・オリヴェイラ → 原 大智(48分)
FW 11 永井謙佑  → アダイウトン(46分)→ 田川亨介(89分)
FW 20 レアンドロ

≪サブスティテューション≫
GK 01 児玉 剛
DF 37 中村帆高
DF 05 丹羽大輝
MF 28 内田宅哉
MF 07 三田啓貴
MF 08 高萩洋次郎
FW 15 アダイウトン
FW 24 原 大智
FW 27 田川亨介
FW 38 紺野和也

≪監督≫
長谷川健太

◇◇◇

【AFCチャンピオンズリーグ2020 FC東京 試合日程】
PO  01月28日(火)19:00〇FC東京 2-0 セレス・ネグロス(フィリピン)(H・東スタ)

≪グループステージ グループF≫
第01節 02月11日(火)19:30△FC東京 1-1 蔚山現代(韓国)(A・蔚山文殊)
第02節 02月18日(火)19:00〇FC東京 1-0 パース・グローリー(豪州)(H・東スタ)
第03節 11月24日(火)19:00✕FC東京 0-1 上海申花(中国)(H・エデュケーションシティ・スタ)
第04節 11月27日(金)22:00〇FC東京 2-1 上海申花(中国)(A・エデュケーションシティ・スタ)

第05節 11月30日(月)19:00 FC東京✕蔚山現代(韓国)(H・エデュケーションシティ・スタ)
第06節 12月03日(木)19:00 FC東京✕パース・グローリー(豪州)(A・エデュケーションシティ・スタ)

【グループF 順位表】※11/27現在
1 蔚山現代 10/4/3/1/0/8/3/+5
2 FC東京 07/4/2/1/1/4/3/+1
3 上海申花 06/4/2/0/2/5/6/-1
4 パースG 00/4/0/0/4/2/7/-5
(※勝点/試合数/勝/分/負/得点/失点/得失点)

◇◇◇


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