歴史に残る早慶戦、総力戦の末に早稲田が劇的逆転弾で10季ぶりのV。
これぞドラマティックと言わず、何というか。東京六大学野球・秋季リーグの優勝が、早稲田と慶應の直接対決に委ねられた一戦（詳細はこちらの記事→「東京六大学野球 2020秋季リーグ戦 優勝の行方」）。戦前は慶應が勝ち点7、早稲田が6.5と僅か0.5差で慶應が有利だったが、迎えた早慶戦の1回戦。これを落とすと慶應の優勝を許してしまう早稲田は、エース早川（4・木更津総合）の15奪三振の快投で慶應・木澤（4・慶應）とのドラフト1位対決に投げ勝って早慶戦の初戦を獲り、2回戦は引き分け以上で優勝というアドヴァンテージ。
だが、迎えた2回戦は、1回戦同様に白熱する試合を展開するも、慶應が2対1と1点リードしたまま9回へ。早慶ともに8回から前日に投げ合ったエースを投入し、両者ともに勝利への執念を見せるなか、慶應はあと1アウトと迫る。
土壇場に追い込まれた早稲田は、熊田（1・東邦）が木澤からレフト前ヒットを放って粘ると、打席には蛭間（2・浦和学院）。1回戦で木澤が蛭間に本塁打を打たれた残像が消えなかったか、慶應・堀井監督は木澤から左腕の生井（2・慶應）にスイッチ。左対左の勝負となったが、蛭間はそのまま打席へ。なにやら何か起きそうな雰囲気を漂わせていた神宮球場のうずうずとした空気は、生井の初球を捉えた蛭間の打球で一変。どよめきを纏いながら高く上がった打球がセンターバックスクリーンに跳ね返ると、悲鳴と歓声が入り交じった“騒然”ばかりが渦巻くなか、熊田に続いて涙しながら蛭間が本塁を踏む。次打者の早川以下、ベンチを飛び出した早稲田ナインの雄叫びや歓喜の表情に迎えられ、小宮山監督ともハイタッチ。身震いするような興奮が収まらないなかで、外野席の応援団から聴こえてくる「紺碧の空」に呼応して、拍手が鳴り響く神宮球場。慶應にとっては一寸先は闇のごとく、優勝がスルリと手からこぼれ落ちていった瞬間だった。打たれた生井は崩れ落ち、しばらくは立ち上がれなかった。
残された9回裏、慶應も代打・嶋田（4・樹徳）が一塁ベースに当たって跳ねるヒットで出塁。早稲田同様に一発出れば再逆転サヨナラとなる場面を作って執念を見せるも、早川が代打・植田（4・高松商）を空振り三振に切ってとり、3対2で試合終了。早稲田が10シーズンぶり46回目の優勝を成し遂げた。これで法政と並んで、優勝回数がトップとなった。
春季・秋季ともに例年とは異なる変則的な開催のなかで行なわれたシーズンだったが、最後は大学野球史に残るようなドラマティックな展開でクライマックスを迎えた。そして、試合内容もさることながら、小宮山監督が優勝監督インタビューで語ったように、コロナ禍という厳しい状況の中で、選手・監督・コーチ、応援団や審判など関係者を含め、感染者を出さずにリーグをやり終えたことで、コロナに打ち勝てる、やれるんだということを東京六大学野球が証明出来たことに敬意と感謝を示したい。
学生野球の頂点は東京六大学、そして早慶戦にあり、とも思いたくなるような、言葉になに一つの偽りがない「名試合」に、いつまでも感嘆の声と溜息がこだました神宮球場。「都の西北」と「塾歌」のメロディが鳴り終わり、早稲田には歓喜の輪、慶應は無念の涙。その行く末を見届けた悲喜こもごも入り乱れた人たちが神宮を後にし始める夕刻、2020年の秋季リーグは幕を閉じた。
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【東京六大学野球 2020秋季リーグ戦】
早大 - 慶大 2回戦
2020年11月8日（日） 第1試合 明治神宮野球場
試合開始13:04 試合終了15:52 観衆12000人
球審：山口 塁審：深沢、御手洗、青木
早 ００１ ０００ ００２ ３
慶 ００１ １００ ０００ ２
【バッテリー】
（早）今西、西垣、山下、徳山、柴田、早川－岩本
（慶）森田、小林綾、長谷川、長谷部、増居、関根、木澤、生井－福井
（勝）早川（早）
（敗）生井（慶）
【本塁打】
（早）蛭間3号（9回2ラン）
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【東京六大学野球 秋季リーグ順位表】※全日程終了
1位 早大 10／7／0／3／8.5／1.000
2位 慶大 10／6／2／2／7.0／0.750
2位 明大 10／6／2／2／7.0／0.750
4位 立大 10／3／5／2／4.0／0.375
5位 法大 10／2／6／2／3.0／0.250
6位 東大 10／0／9／1／0.5／0.000
※（試合数／勝／敗／分／勝点／勝率）
首位打者： 竹葉（立教／4・龍谷大平安）.429
最優秀防御率： 早川（早稲田／4・木更津総合）0.39
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あらためて見ると、生井の投球練習に力みがあったり、打席前の蛭間に何かやってくれる雰囲気があった。とはいえ、この展開は！ 劇的過ぎるけど。
— *june typhoon tokyo* (@junetyphoontyo) November 9, 2020
一昨年、昨年、そして今年と、秋の早慶戦は最後にドラマが起こるよな……（早稲田が勝ってる）。#早慶戦 #早稲田 #慶應 #蛭間拓哉 pic.twitter.com/KiwhopOgbe
早稲田優勝の瞬間#早慶戦 #早稲田 #慶應 pic.twitter.com/Mj1Eyg4I1I
— *june typhoon tokyo* (@junetyphoontyo) November 8, 2020
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