FC東京 vs 横浜FC ＠味スタ【J1リーグ】

　試練の9月。苦しい内容ながらも、原の値千金の逆転弾で3連勝。

　内容的には課題が多く見られた試合だった。前半は連動性に乏しく、なかなか横浜FC陣内へ攻め込むことが出来ないなかで、皆川に先制弾を決められてしまう。それでも前半のうちに田川が同点弾を決めると、後半からフォーメーションを4-4-2へと変更させて敵陣への推進力を高めると、引き分けの匂いも漂い始めた85分に途中出場の原が値千金のゴールを決めて逆転。3連勝を飾った。

　まず、驚いたのが、FC東京はCBにJ1デビューとなる木村をスタメン起用してきたこと。ディエゴ・オリヴェイラ、森重は2試合連続、前節でも活躍した安部をベンチ外で休ませた。ただ、高萩を中盤の底に配した4-1-2-3というフォーメーションがしっかりと機能したかといえば、首は縦に振れず。高萩の両脇に出来るスペースを、三田とアルトゥール・シルバ、SBの小川と中村帆高が巧く補完し合えず、距離やバランスも微妙で、推進力を生み出せない。
　一方、横浜FCも故障者もあってかDF陣のやりくりに苦心している模様。CBには伊野波、中盤に今季初先発となる安永と齋藤功佑、前線は皆川、瀬沼で2トップを組んだ。直近5試合で4得点と好調の松尾は左に、一美、斉藤光毅のFW陣はベンチスタート。左サイドからの松尾のカットインドリブルなどは大いに気を付けなければならないが、松尾もやや身体が重く見えるなど、横浜FCも攻撃はやや単発に終わる。

　15分に松尾が瀬川とのパス交換でペナルティアーク手前から前方へパスを送ると、このパスをスルーしてエリア内へ走り込む齋藤功佑へ向けて、皆川がダイレクトで浮き球パス。中村帆高が頭でクリアするが、そのこぼれ球に反応した皆川のシュートが小川に当たってコースが変わり、ゴール左隅へと吸い込まれる。

　反撃したいFC東京だったが、追加点を意識したか守備に重心が寄りがちで、横浜FCの連動したプレスをなかなか打開出来ない。それでも、横浜FCの一瞬の隙を突いて、相手陣内中央から高萩が右からペナルティエリアへ走り込む田川に絶妙のスルーパスを供給。これを倒れ込みながらもゴール右に決めて、FC東京が同点に。

　その後、ギアを上げたいFC東京だったが、やはり中盤のバランスが不安定ゆえ、どこか戦術の意図が感じられない急場しのぎ感も見える後手の対応が散見され、横浜FCに攻め込まれる場面も。だが、GK・林の好セーヴもあって、失点とならなかったのが後半に活きてくる。

　FC東京は後半開始から永井をアダイウトンへスイッチし、4-4-2に近いスタイルへ移していくと、攻撃回数も増加。だが、レアンドロが再三の絶好機を外し続けて得点を奪えない。横浜FCも齋藤功、皆川らがFC東京ゴールへ迫るが、決定力に欠く。70分を過ぎて、FC東京は原、中村拓海、内田を投入すると、横浜FCは志知、一美、さらに80分を過ぎてレアンドロ・ドミンゲスをピッチへ送り、膠着した展開を打開しようと動くと、85分にGK林からのキックの流れから横浜FCが跳ね返したボールが小川のもとへ。中央へアーリークロスを入れると、アダイウトンが相手DFと競ったこぼれ球をペナルティエリアで原がピタリとトラップ。すぐさま反転してゴール中央上へ突き刺し、ようやくFC東京が逆転に成功した。

　追いつきたい横浜FCはレアンドロ・ドミンゲスの巧みなドリブルと展開力でゴール前へ進出。FC東京はアディショナルタイムに小川を丹羽に代えて、逃げ切りを図る。レアンドロ・ドミンゲスからパスを受けた一美がダイレクトシュートでゴールを脅かす場面もあったが、GK・林がしっかりと反応。やや長めのアディショナルタイム5分をFC東京が何とか凌ぎ切っての勝利となった。

　前半の内容は決して褒められるものではなかった。直近で3連敗している横浜FCの不調に助けられた部分も大きかったことは否めず、連戦が続き疲労の蓄積が避けられない9月に、4-1-2-3というスタイルは果たして機能するのかという不安は消えないままだ。
　しかしながら、ディエゴ・オリヴェイラ、森重らを休ませての勝利、初先発の木村が安定性あるプレーでフルタイム出場など、今後を考えれば非常に価値のあるものにもなった。木村や決勝点を鮮やかにゲットした原、帆高、拓海の両“中村”SB、内田、田川らの若手が結果を出し続けていることは、チームにとっても成長の速度を高める一つの大きな要素となるだろう。それゆえに油断せず、隙を作らず、課題の克服へ挑みながら、次の一戦へ目を向けていくことが肝要だ。

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【明治安田生命J1リーグ第15節】
2020年09月09日（水）19:03試合開始　味の素スタジアム
入場者数　4,941人
天候　晴／気温　28.6℃ ／湿度　60％
主審　福島孝一郎／副審　山内宏志、木川田博信／４審　松澤慶和

　FC東京　2（1-1 / 1-0）1　横浜FC

≪得点≫
（東）：田川亨介（30分）、原　大智（85分）
（横）：皆川佑介（17分）

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【FC東京】
≪スターティングメンバー≫
ＧＫ　33　林　彰洋
ＤＦ　37　中村帆高　 → 中村拓海（71分）
ＤＦ　04　渡辺　剛
ＤＦ　47　木村誠二
ＤＦ　06　小川諒也　 → 丹羽大輝（90+1分）
ＭＦ　45　アルトゥール・シルバ
ＭＦ　08　高萩洋次郎
ＭＦ　07　三田啓貴　 → 内田宅哉（71分）
ＦＷ　27　田川亨介　 → 原　大智（71分）
ＦＷ　11　永井謙佑　→ アダイウトン（46分*）
ＦＷ　20　レアンドロ

≪サブスティテューション≫
ＧＫ　13　波多野豪
ＤＦ　22　中村拓海
ＤＦ　05　丹羽大輝
ＭＦ　28　内田宅哉
ＭＦ　44　品田愛斗
ＦＷ　15　アダイウトン
ＦＷ　24　原　大智

≪監督≫
長谷川健太

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【2020 明治安田生命J1リーグ FC東京試合日程】
第01節　02月23日(日)13:03〇FC東京 3-1 清　水（Ａ・アイスタ）
第02節　07月04日(土)19:00〇FC東京 1-0 　柏　（Ａ・三協Ｆ柏）※Remote Match
第03節　07月08日(水)19:30✕FC東京 0-4 川　崎（Ｈ・味スタ）※Remote Match
第04節　07月12日(日)19:30〇FC東京 3-1 横浜FM（Ａ・日産ス）
第05節　07月18日(土)19:00〇FC東京 2-0 浦　和（Ｈ・味スタ）
第06節　07月22日(水)19:05△FC東京 1-1 札　幌（Ａ・札幌ド）
第07節　07月26日(日)18:30△FC東京 2-2 鹿　島（Ａ・カシマ）
第08節　08月01日(土)19:00✕FC東京 2-3 鳥　栖（Ｈ・味スタ）
第09節　08月09日(日)19:00△FC東京 0-0 Ｃ大阪（Ａ・ヤンマー）
第10節　08月15日(土)19:00〇FC東京 1-0 名古屋（Ｈ・味スタ）
第11節　08月19日(水)19:00△FC東京 3-3 広　島（Ａ・Ｅスタ）
第12節　08月23日(日)19:00〇FC東京 3-0 湘　南（Ｈ・味スタ）
第26節　08月26日(水)19:00✕FC東京 1-2 鹿　島（Ｈ・味スタ）
第13節　08月29日(土)19:00〇FC東京 3-1 Ｇ大阪（Ａ・パナスタ）
第14節　09月05日(土)18:30〇FC東京 1-0 大　分（Ａ・昭和電ド）
第15節　09月09日(水)19:00〇FC東京 2-1 横浜FC（Ｈ・味スタ）

第16節　09月12日(土)19:00　FC東京✕神　戸（Ａ・ノエスタ）
第24節　09月16日(水)19:00　FC東京✕大　分（Ｈ・味スタ）
第17節　09月20日(日)19:00　FC東京✕仙　台（Ｈ・味スタ）
第18節　09月23日(水)19:00　FC東京✕Ｃ大阪（Ｈ・味スタ）
第19節　09月27日(日)16:00　FC東京✕鳥　栖（Ａ・駅スタ）
第29節　09月30日(水)19:30　FC東京✕浦　和（Ａ・埼　玉）
第20節　10月04日(日)15:00　FC東京✕湘　南（Ａ・ＢＭＷス）
第21節　10月10日(土)14:00　FC東京✕Ｇ大阪（Ｈ・味スタ）
第22節　10月14日(水)19:00　FC東京✕清　水（Ｈ・味スタ）
第23節　10月18日(日)14:00　FC東京✕横浜FC（Ａ・ニッパツ）
第25節　11月11日(水)　　　 FC東京✕川　崎（Ａ・未　定）
第27節　11月14日(土)・15日(日)　FC東京✕名古屋（Ａ・未　定）
第28節　11月21日(土)・22日(日)　FC東京✕横浜FM（Ｈ・未　定）
第30節　11月28日(土)・29日(日)　FC東京✕　柏　（Ｈ・未　定）※1
第31節　12月05日(土)・06日(日)　FC東京✕広　島（Ｈ・未　定）※2
第32節　12月12日(土)　　　　　　FC東京✕仙　台（Ａ・未　定）
第33節　12月16日(水)　　　　　　FC東京✕札　幌（Ｈ・未　定）
第34節　12月19日(土)　　　　　　FC東京✕神　戸（Ｈ・未　定）