*** june typhoon tokyo ***

神戸 vs FC東京【J1リーグ】


 終了間際に同点被弾、突き放すチャンスを決め切れずに痛手のドロー。

 アディショナルタイム5分も半分が過ぎた時に、小川慶治朗へのファールでFKを与えてしまったFC東京。キッカーのアンドレス・イニエスタが送った浮き球パスにダンクレーがドンピシャのタイミングでヘディングシュートを決めて、土壇場で神戸が同点に追いついた。後半半ばから疲労の色が見えていた両者だったが、神戸とすれば前半に多くのチャンスを決めて逃げ切りたかった、FC東京にとっては3点目を決めて突き放しておきたかったという、どちらも勝ち点2を落とした印象が強い痛み分けとなった。

 前半はまったくの神戸ペース。セカンドボールが奪えずに神戸の攻撃を凌ぎながらカウンターを窺うのみ。そのカウンターもシュートまで完結出来ずに途中でボールを奪われるなど、ストレスがかかる展開が続く。一方、神戸は左は酒井高徳、右は西のサイドからの攻め上がりのクロスや、後方からのロングボールに、1トップの藤本、2列目の古橋と初瀬らがポジションを変えながら攻勢を仕掛けるものの、シュートチャンス前にボールロストする場面もあるなど、それほど脅威を与えられない。

 すると、21分に右サイドからディエゴ・オリヴェイラがドリブルを仕掛け、酒井をかわしてエリアに侵入してグラウンダーのクロスを送ると、中央に駆け込んできたアダイウトンがスライディングしながらシュート。決定機だったが、GK・飯倉のファインセーヴに阻まれてしまう。

 その3分後、FC東京が不用意にボールを奪われた流れから、神戸が速攻を仕掛け、古橋のシュートが右ポストに弾かれると、サンペールが収めて、再度古橋へパス。古橋はエリア右から中央に駆け込んでくる安井にタイミングを合わせてグラウンダーのクロスを送ると、安井がしっかり合わせてゴールを決めて、神戸が先制した。

 前半はほとんど攻撃の形を作れなかったFC東京だったが、後半に入るとディエゴ・オリヴェイラのキープからのドリブルなどで次第に神戸陣内へ攻め入る回数も増え、50分にそのディエゴ・オリヴェイラが巧みなターンからドリブルで進み、エリア右の田川へスルーパス。田川がエリア右奥ライン直前で切り返して山口蛍をかわすと、シュート性のボールを中央へ。反応したアダイウトンがGK飯倉が触る前にコースを変えてゴール左へ突き刺し、FC東京が同点に追いつく。

 神戸の攻撃を跳ね返しながら、攻勢へ出たFC東京は、58分、アルトゥール・シルバが安井にプレスを掛けてパスミスを誘うと、これを高萩が高い位置で奪ってカウンター発動。エリア右へクロスして侵入するアダイウトンへスルーパスを送ると、アダイウトンはヒールで高萩へ戻し、エリア中央から左を駆け上がってきたディエゴ・オリヴェイラへラストパス。相手DF2人が迫って来るところをディエゴ・オリヴェイラが狭い角度ながら的確にニアへシュートを突き刺して、一気に逆転に成功した。

 ここで神戸は安井に代えてイニエスタを投入し、試合の流れを引き戻しにかかるが、FC東京はアクシデントがあった高萩をレアンドロに、田川を内田に代えて、システムを品田を中盤の底に配した4-1-2-3から品田、アルトゥール・シルバのダブルボランチによる4-4-2へ変更。連係面が奏功し始めたFC東京は、カウンターから何度もゴール前でチャンスを構築。さらに、アダイウトンを原にスイッチし、ディエゴ・オリヴェイラ、レアンドロのブラジル人を中心に攻め入るが、ややシュートへの潔さがなかったか、数的優位で油断したか、ラストパスの精度を欠いて試合を決める3点目を奪うことが出来ない。神戸はイニエスタへボールを集めながら反撃を試み、時折“らしい”パスも出るが、FC東京は品田を中心にしっかりと対応し、それほど思ったプレーをさせない。むしろ、攻め上がろうとしたイニエスタからボールを奪ってからのカウンターと、イニエスタへボールを預ける神戸の攻めを読み、絶好機まで至らせない。

 アディショナルタイム5分が表示されると、FC東京はディエゴ・オリヴェイラに代えて平川を投入。平川は前から追ってプレスを掛け、神戸の攻めを遅らせる。それでも4試合未勝利のなか、ホームで負けられない神戸はFC東京陣内へ攻め込むと、アディショナルタイムが半分過ぎたところで、小川慶治朗がファールを受けると、イニエスタのFKをダンクレーが合わせて同点弾を叩き込んだ。

 滑りやすいピッチに苦しんだこともあるが、7分と早い時間にアルトゥール・シルバがイエローカードを受けたことで、アルトゥール・シルバが強く当たれなくなり、中盤の競り合いで後手を踏んで、セカンドボールがとれなかったことを考えると、むしろ前半はよく1点で凌げたというところ。それが、後半の反撃のモチベーションにもなったはずだ。FC東京は同点弾、そして逆転弾を決めてからはしっかりと中をブロックしてのカウンターを幾度も発動したが、このカウンターが決め切れない甘さが、神戸の気持ちを折れさせられず、反撃を許す結果に繋がった。神戸は安井が初ゴールを決めるなど躍動していたが、失点に繫がるミスパスも。古橋はさすがのポテンシャルだが、やや疲れもあったか。それは山口や西、酒井らにも見受けられた。

 勝利寸前で同点弾を喰らい、勝ち点2を失ったという印象は拭えないが、FC東京は連戦が続くアウェイで勝ち点1を積み上げられたと考えれば、最悪の結果ではないだろう。永井、安部、三田を休ませられることも出来た。ただし、これからは大分、仙台、C大阪を相手にホーム3連戦となる。上位に踏み止まり、優勝戦線に残るためにも、ここでは特に大分、仙台の2戦の勝ち点3はマストだ。怪我で途中退いた高萩の状態が気になるところだが、僅かながら出場した平川含め、若手を巧く組み込みながら、タイトな連戦を乗り切りたい。

◇◇◇

【明治安田生命J1リーグ 第16節】
2020年09月12日(土)19:03試合開始 ノエビアスタジアム神戸
入場者数 4,102人
天候 晴 / 気温 27.5℃ / 湿度 67%
主審 飯田淳平 / 副審 中野 卓、竹田明弘 / 4審 松本 大

 神 戸 2(1-0 / 1-2)2 FC東京

≪得点≫
(神): 安井拓也(24分)、ダンクレー(90+3分)
(東): アダイウトン(50分)、ディエゴ・オリヴェイラ(58分)

◇◇◇

【FC東京】
≪スターティングメンバー≫
GK 33 林 彰洋
DF 22 中村拓海
DF 04 渡辺 剛
DF 03 森重真人
DF 37 中村帆高
MF 08 高萩洋次郎 → 内田宅哉(63分)
MF 44 品田愛斗
MF 45 アルトゥール・シルバ
FW 09 ディエゴ・オリヴェイラ → 平川 怜(90分)
FW 15 アダイウトン → 原 大智(75分)
FW 27 田川亨介  → レアンドロ(63分)

≪サブスティテューション≫
GK 13 波多野豪
DF 47 木村誠二
DF 06 小川諒也
MF 28 内田宅哉
MF 40 平川 怜
FW 20 レアンドロ
FW 24 原 大智

≪監督≫
長谷川健太

◇◇◇

【2020 明治安田生命J1リーグ FC東京 試合日程】
第01節 02月23日(日)13:03〇FC東京 3-1 清 水(A・アイスタ)
第02節 07月04日(土)19:00〇FC東京 1-0  柏 (A・三協F柏)※Remote Match
第03節 07月08日(水)19:30✕FC東京 0-4 川 崎(H・味スタ)※Remote Match
第04節 07月12日(日)19:30〇FC東京 3-1 横浜FM(A・日産ス)
第05節 07月18日(土)19:00〇FC東京 2-0 浦 和(H・味スタ)
第06節 07月22日(水)19:05△FC東京 1-1 札 幌(A・札幌ド)
第07節 07月26日(日)18:30△FC東京 2-2 鹿 島(A・カシマ)
第08節 08月01日(土)19:00✕FC東京 2-3 鳥 栖(H・味スタ)
第09節 08月09日(日)19:00△FC東京 0-0 C大阪(A・ヤンマー)
第10節 08月15日(土)19:00〇FC東京 1-0 名古屋(H・味スタ)
第11節 08月19日(水)19:00△FC東京 3-3 広 島(A・Eスタ)
第12節 08月23日(日)19:00〇FC東京 3-0 湘 南(H・味スタ)
第26節 08月26日(水)19:00✕FC東京 1-2 鹿 島(H・味スタ)
第13節 08月29日(土)19:00〇FC東京 3-1 G大阪(A・パナスタ)
第14節 09月05日(土)18:30〇FC東京 1-0 大 分(A・昭和電ド)
第15節 09月09日(水)19:00〇FC東京 2-1 横浜FC(H・味スタ)
第16節 09月12日(土)19:00△FC東京 2-2 神 戸(A・ノエスタ)

第24節 09月16日(水)19:00 FC東京✕大 分(H・味スタ)
第17節 09月20日(日)19:00 FC東京✕仙 台(H・味スタ)
第18節 09月23日(水)19:00 FC東京✕C大阪(H・味スタ)
第19節 09月27日(日)16:00 FC東京✕鳥 栖(A・駅スタ)
第29節 09月30日(水)19:30 FC東京✕浦 和(A・埼 玉)
第20節 10月04日(日)15:00 FC東京✕湘 南(A・BMWス)
第21節 10月10日(土)14:00 FC東京✕G大阪(H・味スタ)
第22節 10月14日(水)19:00 FC東京✕清 水(H・味スタ)
第23節 10月18日(日)14:00 FC東京✕横浜FC(A・ニッパツ)
第25節 11月11日(水)    FC東京✕川 崎(A・未 定)
第27節 11月14日(土)・15日(日) FC東京✕名古屋(A・未 定)
第28節 11月21日(土)・22日(日) FC東京✕横浜FM(H・未 定)
第30節 11月28日(土)・29日(日) FC東京✕ 柏 (H・未 定)※1
第31節 12月05日(土)・06日(日) FC東京✕広 島(H・未 定)※2
第32節 12月12日(土)      FC東京✕仙 台(A・未 定)
第33節 12月16日(水)      FC東京✕札 幌(H・未 定)
第34節 12月19日(土)      FC東京✕神 戸(H・未 定)

※第14節以降の日程詳細は、8月初旬・10月初旬に分割して発表予定
※1 ACL準々決勝進出の場合、11月18日(水)へ変更の可能性あり
※2 ACL準々決勝進出の場合、別日へ変更の可能性あり

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