*** june typhoon tokyo ***

FC東京 vs 蔚山現代【ACL】

 先制するも低調なサッカーに終始したFC東京、グループリーグ突破に痛い敗戦。

 グループ首位の蔚山現代に勝利して有利な展開に持ち込みたかったFC東京だったが、試合開始早々1分の永井の先制ゴールを活かせずに逆転負けを喫し、グループリーグ突破に黄信号が灯った。

 1分、右サイド奥で内田が追い込み、こぼれたボールを三田が拾ってマイナスのパスを送ると、安部がチョンと繋いで、ペナルティアーク右から永井が対角線にシュートを放つと、これが左ポストの内側に当たってネットイン。FC東京が電光石火のごとく先制点を挙げる。

 ビルドアップに時間がかかり、なかなかギアが上がらない蔚山現代を尻目に、FC東京は永井を中心とした前線からのハイプレスを繰り出しながら、相手陣内へ圧力をかける。だが、13分にGKへのバックパスが流れたところを永井が回収してレアンドロへ送るも、レアンドロはシュートをゴール前の相手DFと内田に当ててしまったり、16分のエリア中央でのシュートチャンスに永井が打ち切れず、その後もレアンドロがカウンターで攻め込むも内田とのパスが合わなかったりするなど、追加点のムードのあるうちにチャンスを活かしきれないでいると、次第に蔚山のペースへ。蔚山はパスを丁寧に繋ぎながら、前線への浮き球供給で活路を見出していくと、42分にエリア手前の中央でジョアン・オマリがユン・ビッガラムを倒してしまい、FKを与える。これをユン・ビッガラムがGK波多野が反応出来ないほどのコースにシュートを決めて、蔚山が同点に追いつく。前半終了間際だったゆえ、リードして前半を終えたかったFC東京だったが、不用意なファイルから痛い失点をしてしまった。

 後半、それほど出来が悪くないと思った三田を下げて、東を投入したFC東京。序盤は守備に時間を費やされていた前半終盤とは異なり、前からのプレスで敵陣にてボールを奪い、ゴール近くでFKを獲得するなど攻め込んではいた。しかしながら、失点を恐れるばかりか、4-4-2のフォーメーションに戻して全体的に中央の守備を堅固にする一方で、なかなか攻撃が仕掛けられない状態になると、しばらく蔚山がボールを持つ時間帯に。とはいえ、ボールを持って回すものの、堅固な中央を容易に突破することが出来ず、外からのクロスやミドルシュートなどを放つ状況が続く。

 ただ、FC東京もリーグ戦からの疲労の蓄積や、中2日が続くタイトなACLの日程に疲労の色は隠せず、蔚山にボールを回され続けていくうちに、ボールの奪うタイミングを見失い、防戦一方へ。コーナーキックを含むセットプレーの数も多くなっている蔚山は、上背のあるヨハンセンらをターゲットにすべく投入し、ボールを動かして揺さぶり続けながら高さのある前線にボールを供給していくが、それでもFC東京が中央を固めて突破を許さない。

 83分に蔚山はイ・グノ、ウォン・ドゥジェをピッチに送ると、84分にFC東京はサイドからの上がりを期待して中村帆高を中村拓海にスイッチするも、85分にエリアに侵入するもFC東京の寄せが甘くなったところを、ユン・ビッガラムがニアにシュート。これがネットに突き刺さって、蔚山が逆転に成功する。

 FC東京は63分に永井に代えてアダイウトン、内田に代えて高萩を入れていたが、なかなか連動性は生まれず。前線のレアンドロやアダイウトンへボールが渡る機会も少なく、それぞれが単騎突破を試みるもサポートもあまりなく、蔚山DFに引っ掛けられるなど、攻撃の糸口が掴めないままアディショナルタイムへ。小川に代えて送り込まれた原も大きな役割は果たせず、後半のFC東京は攻撃の形をほとんど生み出せないまま、試合終了。蔚山が勝利してグループリーグ突破が決定。FC東京は勝ち点を積み上げられず、2位通過も危ない状況に陥ってしまった。

 リーグでの連戦、ACLでの慣れない生活と連戦で疲労と向き合わなければならない状況が続いているのは当然。だが、それならば、疲労からくる瞬時の判断ミスなどをケアするようなプレースタイルを心掛けなければならない。相手が勢いよくプレスにくる前に素早くボールを動かす、パスの強度や速度を中途半端にしない、打てるタイミングで素早くシュートを積極的に打っていくなど、ACLでの戦いとは何かをもう一度確かめて、ピッチでの共通認識を十分にしておく必要がある。この試合でも安部は運動量豊富に好守にわたって奮闘したが、それ以外の連係はあまり目立たず。森重のアンカーもボールの配球には長けたものがあるが、脇のスペースを狙われ、守備に奔走。ボールをキープしようとすると蔚山がアタックを仕掛けるので、やや判断が遅くなるとパスコースを消され、ボールを奪われるというシーンも散見。サイドや狭い地域でパスを出すのに足元でワンフェイク入れることが多い小川も、パスを出すタイミングが遅く、ボールの出どころで引っ掛けられてしまう。内田は周囲との距離感や受け渡しの部分で精神的余裕を得られず、ボールロストに繋がるプレーもあった。

 試合内容としては収められるディエゴ・オリヴェイラの不在を痛感した、低調のFC東京時のそれに疲労蓄積が加わった形で、この状態からのV字回復は、相当なテコ入れやアイディア、ラッキーボーイ的な存在の出現などがなければ、難しい状況だ。また、完全に敗退が決まっている訳でもないので、主力を休ませてフレッシュな面々に経験を積ませるという訳にもいかない。この試合後、2位争いのライヴァルとなる上海申花は、これまで勝ち点を挙げていなかったパース・グローリーと3対3と引き分けたことで、蔚山に敗れたFC東京にとって5節を終えて最悪の展開で最終節を迎えるという状況は回避。蔚山現代と上海申花との試合の動向にも拠るが、パース・グローリーから複数得点を奪って勝利すれば、グループ突破の可能性も高まってくる。中2日で体調の大幅な回復は見込めないなかで、どのような手を打ってくるか、思案のしどころとなる。次節は守備の要でアンカー起用もされた森重が累積警告で出場停止となるが、ピンチや逆境を変えられるチャンスでもある。積極的な意識を持って、最後まで貪欲に闘い抜いてもらいたい。

◇◇◇

【AFCチャンピオンズリーグ2020 グループステージ MD5】
2020年11月30日(月)19:00試合開始 エデュケーションシティ スタジアム
入場者数 無観客
天候 晴 / 気温 28℃ / 湿度 54%
主審 ハミス・アルマッリ / 副審 ユスフ・アルシャマリ、ザヒー・アルシャマリ / 4審 サウード・アルアドバ

 FC東京 1(1-1 / 0-1)2 蔚山現代

≪得点≫
(東): 永井謙佑(1分)
(蔚): ユン・ビッガラム(44分)、ユン・ビッガラム(85分)

◇◇◇

【FC東京】
≪スターティングメンバー≫
GK 13 波多野豪
DF 03 森重真人
DF 04 渡辺 剛
DF 06 小川諒也  → 原 大智(89分)
DF 32 ジョアン・オマリ
DF 37 中村帆高  → 中村拓海(84分)
MF 07 三田啓貴  → 東 慶悟(46分)
MF 20 レアンドロ
MF 28 内田宅哉  → 高萩洋次郎(63分)
MF 31 安部柊斗
FW 11 永井謙佑  → アダイウトン(63分)

≪サブスティテューション≫
GK 01 児玉 剛
DF 22 中村拓海
DF 05 丹羽大輝
MF 10 東 慶悟
MF 15 アダイウトン
MF 38 紺野和也
MF 44 品田愛斗
MF 08 高萩洋次郎
FW 24 原 大智
FW 27 田川亨介

≪監督≫
長谷川健太

◇◇◇

【AFCチャンピオンズリーグ2020 FC東京 試合日程】
PO  01月28日(火)19:00〇FC東京 2-0 セレス・ネグロス(フィリピン)(H・東スタ)

≪グループステージ グループF≫
第01節 02月11日(火)19:30△FC東京 1-1 蔚山現代(韓国)(A・蔚山文殊)
第02節 02月18日(火)19:00〇FC東京 1-0 パース・グローリー(豪州)(H・東スタ)
第03節 11月24日(火)19:00✕FC東京 0-1 上海申花(中国)(H・エデュケーションシティ・スタ)
第04節 11月27日(金)22:00〇FC東京 2-1 上海申花(中国)(A・エデュケーションシティ・スタ)
第05節 11月30日(月)19:00✕FC東京 1-2 蔚山現代(韓国)(H・エデュケーションシティ・スタ)

第06節 12月03日(木)19:00 FC東京✕パース・グローリー(豪州)(A・エデュケーションシティ・スタ)

【グループF 順位表】※11/30現在
1 蔚山現代 13/5/4/1/0/10/04/+6
2 FC東京 07/5/2/1/2/05/05/+0
3 上海申花 07/5/2/1/2/08/09/-1
4 パースG 01/5/0/1/4/05/10/-5
(※勝点/試合数/勝/分/負/得点/失点/得失点)

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