ヒゲジイのアル中よもやま話

断酒を始めて早7年目。このブログは回復プロセスの記録と脳のリハビリを兼ねて綴っています。やはり、まだチョット変ですかネ?

『パラレル東京』

2019-12-11 16:30:10 | 世相
 先週は、NHKスペシャルで『パラレル東京』が4夜連続放映されました。M 7 . 3規模の首都直下地震が午後4時頃に発生した場合を設定し、その被害想定に基づく架空のドラマがメインでした。

 私は、阪神・淡路大震災でもろに被災した当事者なので、特に地震発生当日を題材にした第1夜(day 1)の内容にいくつか違和感を覚えました。今回はそれらを書いてみます。

 先ず、内閣府が推定した死者数についてです。番組では、この内閣府の推定値に基づいて死者数を最大で約23000人としていました。どうみてもこれは過少評価と思われました。

 地震規模が同じだった阪神・淡路大震災での死者数は6434人でした。神戸・阪神間は首都圏と同様人口過密地域で、被災地だけに限った人口は少なく見積もっても約200万人だったろうと思います。地震発生時刻が昼間だったなら、阪神・淡路大震災での死者数はもっと増えただろうとも言われています。

 一方の首都圏ですが、直下地震のため被災地が限定されるとしても、人口は少なく見積もっても1000万~1500万人だろうと思います。人口比から算出した死者数は3万~4 . 5万人、地震発生時刻が昼間ならこの何倍かに膨らむものと思われました。

 次にドラマの内容についてです。地震当日(day 1)のテーマは、帰宅困難者群衆雪崩、800余ヵ所の火災発生でした。

 これはそれなりに妥当なのですが、地震直後の当日否応なしに経験する事態についてもっと多角的かつ詳細に踏み込むべきと思いました。

 被災当事者だった私の経験からすれば、もう一つ切り込み不足と感じたのは次のことです。

 先ず自宅にいる場合なら、食器棚やタンスなどの大きな家具が倒れること、テレビなどの小さな家具が飛んで元の場所にはないこと、ガラスの破片で足の踏み場がないことです。地震で怪我人や死人が出る原因の多くは、これらによるものです。

 次に、電気、水道、ガスというライフラインの停止に気づかされます。テレビが点きませんし、トイレも使用不能となり、挙げ句に調理もできません。

 通電火災は、ドラマではday 3に起きていましたが、もっと早く起こり得ます。地震発生から数時間後に起こった阪神・淡路大震災での大火災は、ほとんどがこの通電火災によるものでした。肝腎の水が出ないので、初期消火をしようにも何もできなかったと聞いています。

 大災害発生時に頼りになるのは自助・共助です。そんな自助・共助による防災対策を啓蒙するためにも、常日頃からできる家具固定感震ブレーカーの設置などの防災対策をもっと強調してよいと思いました。

 自宅外の街中にいる場合でも、まず当惑するのが大規模停電です。停電のためシステムダウンで信号機が止まり、電車などの交通機関が全面的に止まります。

 他に、電柱や建物の倒壊、液状化による道路の段差によっても大規模交通渋滞は発生します。どこかに移動しようにも、にっちもさっちもいかないのです。

 このため、火災やビル倒壊現場に緊急車両が通常通りには出動できないでしょうし、たとえ現場に着いたとしても人命救助や消火活動が手遅れになるかもしれません。

 こんな状況下にあっての帰宅困難者群衆雪崩の発生なのですが、そこに至る経過や構成がやや弱いと思いました。

 なお液状化は、day 4のテーマのひとつとして中川の堤防決壊が取り上げられていましたが、これなどもday 1に取り上げるべきでした。因みに阪神・淡路大震災では、液状化による岸壁の崩壊・沈下や、防潮堤の大きなコンクリート壁のズレなどが地震直後に判明していました。


 ドラマはこの後day 2からday 4へと続きました。上に挙げた他に、火災旋風(火災による竜巻)、SNSによるデマの拡大広域通信ダウンなど、想定しうる危険の大凡を列挙していました。

 その後の番組でもさらに、被害の全貌を想定して長期にわたる負の連鎖について論じていました。結局、首都直下地震を契機とした日本衰退へのプロローグが真のテーマであり、東京一極集中が一番の問題というのが番組の主張でした。遅きに失したとは言え、直ぐにでも地方分散に取り組むべきなのでしょう。

 以上は、ことさら不安を煽るために書いたのではありません。あくまでも同じ大都市直下地震、阪神・淡路大震災で被災した経験者による正直な感想です。

 長くなりましたが最後にもう一言。
「地震当日に飛び交う現場情報はすべて、真贋入り交じって裏の取れないSNS情報だけだろう」と、ドラマの中で臭わしていたことがとても印象的でした。複数の目撃情報のない、まったく同一画面だけの情報なら偽情報だそうです、ご用心。

 ドラマの舞台は東京にあるTV放送のキー局、それもニュース番組の編集部門でした。被災地にあるキー局ですからすべて機能不全に陥っているはず、あんなふうに報道できるわけがありません。これにも違和感がありました。

 日曜朝にルーターが壊れてしまい、ネットに繋がらなくなりました。投稿が遅れたこと、悪しからずご了承ください。

以下は、阪神・淡路大震災の記憶を元に記事にしたものです。是非、ご参照ください。
大地震へ、日常出来る備え』(2015.2.14投稿)
アルコール依存症へ辿った道筋(その16)阪神大震災、地震の当日』(2015.1.23投稿)



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