序破急

片足棺桶に突っ込みながら劇団芝居屋を主宰している爺です。
主に芝居、時々暮らしの中の出来事を書きます。

劇団芝居屋第38回公演「美代松物語」物語紹介5-1

2019-12-14 15:47:53 | 舞台写真
第五場ー1
老松からの帰り寛治は自分が実兄である事明かしたくて、寒風の中小料理屋「美代松」の前で買出しで出かけていた美千代を待ちます。



美千代 「あらあら、珍しい人がいらっしゃる」
寛治 「ヨオ、十年振りだな」
美千代 「どうしたの、札幌で会社立ち上げたって聞いたけど」
寛治 「そうなんだが、オヤジの調子が悪くってな、見舞いがてら帰って来た」
美千代 「あら、金貸し寛十の旦那が。どんな具合なのさ」
寛治 「ああ、大したことじゃねえんだ」
美千代 「そう。ところで寛治さんがこの港町に来るなんてどういう風の吹き回し」
寛治 「あんたにちょっと話があってな」
美千代 「あたしに?・・・あら、ウチは権藤金融に借金があったかしらね」
寛治 「・・・オイ、勘弁してくれよ」
美千代 「ゴメンよ。昔は一緒に遊んだ仲だけど、今じゃオカアサンの影響で権藤に関
係のある人に会うと余計な一言が出ちゃうの」
寛治 「嫌われてるのは分かってるよ、話が終わればすぐ帰る」



寛治に対する嫌悪感を露にする美千代に、自分との本当の関係を離せない寛治は何とか糸口を探ろうと木山商店の事や老松との債権の事を持ち出しますが、うまくは行きません。


寛治 「あのな、実はな・・・・実は俺は・・・(封筒)」
美千代 「何なのさ」
寛治 「いや、いい。・・・何かあったら連絡をくれ」
     名刺を渡し急いで寛治行く。
美千代 「なんだい、変なの」


結局寛治は美千代に何一つ伝えることが出来ずにその場を去ります。
美千代はこれから始まる橋南青年部集まりの準備にかかります。

第五場ー2に続く。
撮影鏡田伸幸


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