前回でのブログ記事は「水彩画入門」というNHKテキストの内容に紹介でしたが、今日は実際どんな番組だったのかということを思い出しながら書いていきたいと思います。
NHKの趣味百科は今もそうなんですが、30分番組で、1つの課題を行うっていう番組です。
(水彩画だったら、素早く描いてみるとか、編み物だったら、ベストを編んでみるとか)
だいたいこういう絵の講座って先生とその生徒役の人(芸能人の方)との2人が登場人物で生徒が先生からの課題を聞いて、描いて先生に講評してもらう。そのあと、先生のお手本の絵を見るっていうパターンが多いんです。
でもこの絹谷幸二の水彩画入門は違っていて、
進行役の方がいて、(その方は芸能人だったのかアナウンサーだったのかは記憶にない)
絹谷先生がいて、東京芸大の院生(先生の生徒)2人が出ていたんです。
そして、すごく印象的だったのは、その日の課題(たとえば、瞬間を捉えるとか、じっくり観察するとか)を先生とその院生2人が同時に描き始めるんです。
先生のも院生のも描く過程を見せてくれるんですよ。
だから同じ課題の水彩画、3パターンを見ることが出来るんです
院生の方も素晴らしくて、いい絵を描くんですよ
もちろん絹谷先生も独特な感性を魅せてくれます
3人の描いている過程とか、出来上がりとか、見ていてすごく面白かったんですよ。
家族でこの番組見ていたんですが、おお〜この人はこういう風に仕上げてくるのか〜っ!変わっているなとか話しながら観てましたね。
で、描き終わるとみんなで一作品ごとにみんなで見ていくっていう形なんです。
描いた本人が簡単に自分の絵を解説して、絹谷先生がその絵を見た感想をいうっていう感じなんですが、上から目線っていう感じじゃないんですよね。
先生自身が院生の方をすごくリスペクトしていて、「ああ、こういう風に描くんですね〜。なるほど〜。」みたいな感じ。
先生の絵は進行役の方がメインに感想を述べてましたね。
課題を出すのは先生なんですが、自分の描き方を強要するところが一切なかったところがすごくめずらしい講座だなと思ったんです。(課題の流れはちゃんと水彩画を描く上で必要な筋肉をちょっとずつ鍛えられるようになっています。)
たぶんですけど、こういう風な形で進行することは先生の絵に対する考え方が反映されてのことだと思うんですね。
後にも先にも院生を連れてくるっていう絵画の講座は見たことがないですね・・・。
普通、生徒とはいえ、芸大の院生ってすごく実力者なので、先生自身の絵と比べられるって嫌だと思う先生も多いんですよ。
先生の講評の仕方もお互いの優劣を感じさせるようなセリフは全く出てこなかったんです。
・・・・すごいなと思いました。
そして、ああ、美術ってこうあるべきだなとも思いました。
水彩画入門なのに、描く人、観る人のあり方までも教えてくれた本当にいい番組でした
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