夏の甲子園 4強出そろう 全校優勝未経験 東北勢、関東勢は姿消す
「全国高校野球選手権・準々決勝」(18日、甲子園球場)
準々決勝4試合が終了。明石商(兵庫)、中京学院大中京(岐阜)、星稜(石川)、履正社(大阪)がそれぞれ勝ち、4強が出そろった。4校全て春夏通じて優勝は未経験。星稜を除く3校は夏初のベスト4となった。
19日の休養日を挟んで行われる準決勝は第1試合で履正社-明石商、第2試合で中京学院大中京-星稜の2カードが行われる。
この日は第1試合では明石商が八戸学院光星(青森)に7-6で勝ち、昨夏初戦で敗れたリベンジ。第2試合では中京学院大中京が16年覇者の作新学院(栃木)に6-3で逆転勝ちした。
第3試合ではエース奥川を温存した星稜が17-1で仙台育英(宮城)に大勝。第4試合は履正社が関東第一(東東京)に7-3で逆転勝ちした。東北勢、関東勢は姿を消した。
グラウンドに敵はいない! 星稜の2年生右腕に仙台育英・小濃が給水
第101回全国高校野球選手権大会第12日第3試合(星稜17-1仙台育英、18日、甲子園)最高気温34度。この日も甲子園球場は猛暑だった。星稜の2年生右腕・荻原吟哉投手は仙台育英戦の七回、酷暑の影響で投球中に右手首をつりかけた。
すると、仙台育英のベンチが動いた。異変に気付き、小濃塁外野手(3年)がコップを持って飛び出したのだ。「相手があって野球ができている。2年生だったし、こんなところでけがをしたら…と思っていきました」。自分で飲もうと用意していたスポーツドリンクを手渡した。
「先は長いんだからしっかり飲めよ」と語りかけると、荻原は「ありがとうございます」と応じ、コップに口をつけた。敵、味方を問わないフェアプレーにスタンドから拍手が起こった。
以前、仙台育英の選手が死球を受けた際、相手チームの選手に冷却スプレーをかけてもらったことがあった。それを見た選手たちは「こういうことが起きたら自分たちも行こう」と話した。須江監督も「グラウンドに敵はいないと生徒に言っている。気づいたら向かっていた」と小濃の自発的な行動であることを強調した。
小濃の名前、塁の由来は「本塁打を打てる強い男になるように」。この試合で大会2本目のアーチを架け「親に恩返しができました」と敗戦の悔しさの中でも小さくほほ笑んだ。