イギリス/ストックポート日報 《England/ Daily Stockport》

イギリス北西部の歴史ある街、ストックポート Stockportから(ほぼ)日替わりでお送りする、イギリス生活のあれこれ。

ムリがあるコロナワクチン危険説、それでも私たちのことを心配してくれている?

2024年04月24日 07時00分00秒 | 英国の、生活のひとコマ

平日の午後、マンチェスターに行きました。

ピカディリー・ガーデンズの、ストックポート日報ではすっかりおなじみ、おそろしく評判の悪かった、安藤忠雄デザインの打ちっぱなし壁の、取り壊しを免れてわずかに残った部分が工事用の囲いに覆われていました。(上の写真)

今日の話題は、コービッド19(新型コロナウィルスによる感染症)のワクチン攻撃運動...。

マンチェスター・ピカディリー駅から、ショッピングエリアに向かう途中の工事中の仮囲い板塀に貼り付けられた、見おぼえのある顔写真の数々...

去年、9月の週末に見かけたワクチン攻撃キャンペーンと同じ人たちがやっている「啓蒙活動」です。

その時の記事です。☟

陰謀論この世の終わり宣教人権..主張したい人全員集合、夏日が続くマンチェスターにて

前回の、皮肉を利かせたつもりの「SAFE & EFECTIVE (安全で有効)」という見出しに、今回は「NOT SAFE & NOT EFFECTIVE 」と小さな画数の「NOT」が加えられていました。

ワクチン接種後に死亡、重篤な副作用を発症、障害が現在も残る等の「ワクチン犠牲者」の写真だということです。

前回と同じ疑問が湧いてきました。この人たちの目的はいったい何?

パンデミックは完全に終わっています。たしかにコービット19は撲滅されたわけではなく、いまだに絶えない感染者がごくわずかですが死亡していますが、国家規模の無料接種はとっくの昔に終了しています。

今さら、ワクチンの危険を訴える意義とは?

「陰謀説」とやらと深いところでつながりがあったりして...?

現在もケイト・ミドルトン Kate Middleton と結婚前の名前で呼ばれることが多いケイト皇太子妃 (42歳)の写真がドッカンと特別枠で貼られています。

特別枠を分け合うのは、ファイザー・ワクチン接種後、血栓の症状に見舞われたオーストラリア人のシエナ・ノウルス、馬術競技界のアイドルだそうです(調べました)

ケイト妃は義父のチャールズ国王に続いて、ガンにかかったことを公表、誰しもガンにかかり得ることを国民に認識させ話題になりました。

誰がかかってもおかしくないガン、40歳をすぎればかかる可能性も上がります。

ケイト妃はワクチン接種を完了、2024年3月22日にガン公表、と書かれていますがまさか、ガンにかかったのはワクチン接種のせいだ...なんて言ってませんよね?言っているようなものです!

ワクチン接種シーンの写真まで挿入して、なんともあざとい人心操作!

 

友人との待ち合わせまで時間がありましたので、キャンペーン中の女性2人に議論を吹っかけてやろうかという邪心がふとわいてきました。言い負かしてやったらスッとするでしょう。

カサなしで綿のコートを着て出てきた私は雨に濡れて寒かったのです。雨に濡れながら話の通じなそうな人たちと自分が吹っかけた議論で足止めされながら道行く人々の注目を浴びるのは賢明ではない...ととっさに判断して思いとどまりました。

言い負かすなんて絶対に無理なのは最初っからわかり切っていましたし。

あとで見てみるために写真を撮っていたら、キャンペーンの女性の1人が「ハ~イ♪ これ、もってって読んでね~」と驚くほど軽いノリでA4サイズのちゃちっぽいチラシを手渡してくれました。「陰謀論(?)」の闘士のあまりの感じよさに拍子抜け。私も「ありがとう♪、あとで読むね~」と同レベルの軽いノリで受け取って立ち去りました。

これ☟(一般人編)

食卓の上に置きっぱなししておいたら、翌朝読んだらしい夫と娘が「なんじゃ、これ?」とキタナい言葉を使って反応しました。

 

...帰宅後、検索してみました。注目度の高いケイト妃のガン罹患とワクチン接種には何ら因果関係が見いだせないにもかかわらず(だってワクチン接種は2年以上前でしょ?)、ワクチン攻撃派は二つを無理やり結び付けてワクチンが、危険あるいは殺人生物兵器であるかのような証拠に使おうと必死だ...みたいな英語メディアの記述にガンガンヒットしました!!

 

顔面マヒの写真が痛々しいジャスティン・ビーバー(カナダ人のポップシンガー)と、 同じく接種後に脳内うっ血を発症したビーバーの妻のように、自分たちの悲惨な体験からワクチンの危険性を説法してまわる人たちの気持ちはよくわかります。

(☟著名人編;顔面マヒのジャステイン・ビーバーは下段左から2番目)

でも、ケイト妃本人がワクチン接種と自身のガン罹患について何も言っていないのに、この決めつけは迷惑以外の何物でもありません。それだから、ワクチン攻撃派の主張に信ぴょう性が見えないのですっ!(ちなみに、となりのノウルスのワクチン接種との因果関係に関しては専門家の意見が二分、因果関係を支持する専門家も多数いるそうです)

 

私は、ワクチン接種がなければパンデミックが長引き、より多くの人々が亡くなっていたはずだと確信しています。少なくとも、ここ英国では。なぜか感染者数が極端に低く、オリンピックまでやってのけた日本では理解してもらえないかもしれません。

世界中でワクチンを接種した何億もの人の中には、接種後、ごくわずかですがこの仮囲い塀に写真が貼られた人たちのように、何らかの命に係わる重篤な健康障害を引き起こすか死亡するかしているらしいのは理解しています(因果関係についてはすべてが証明されているわけではありません)。

コービット19に限らず、すべてのワクチン接種にはごくまれに重篤な副作用の発症や死亡する可能性があることは周知の事実です。

少なくともここ英国では、国家規模の無料接種が始まる前に、何らかの副作用が ほぼ すべての人に出る可能性が指摘されていましたし、接種会場での確認もありました。多くの人は「重篤な副作用の出るごく稀な可能性」についても納得したうえで接種を受けたはずです。

ちなみに、これも日本の人にはピンとこないらしいのですが、接種会場で手渡されたリーフレットには「ワクチン接種の目的はあくまでも重症化する可能性を大幅に下げることであり、感染を防ぐことではない(接種後も3分の1の人は感染する)」と明記されていました。(実際は3分の1以上のワクチン接種者が感染しました)

...くりかえしますが、それでもあの時はやるしかなかったのがワクチン接種です。

「ワクチンは不要だ」とうったえる、比較的穏健な反ワクチン派の人たちは「感染が拡大しすぎた結果、ウィルスは弱体化していくはずなのでそれまで待てばよい」と言っていました。実際その通りになりましたが...

ここ英国ではそれを待てなかったのです!私の夫や個人的に知っている既往症のあるあの人この人...それに高齢者の多くはワクチン接種を受けていなければ現在、命を落としていた可能性も大ありだったのです。

インドやイランなどワクチン接種が普及しなかった発展途上国、ワクチン拒否者が多かったというアメリカ合衆国では多大な犠牲が出ています。

一方、中国はたしかにワクチン接種に頼らずに死者数を抑えることに成功していますが、あのめーっちゃくちゃ厳しい行動規制が自由主義諸国で受け入れられるとは絶対に思えません。

 

60歳を過ぎた私たち夫婦に、NHS(国家医療サービス)から「無料でコロナワクチンの接種が受けられますよ」という案内メールが来ています。職務上、感染すると危険な人たちと接触する機会のある医療、介護職などの人たちも無料で受けられるとのこと(強制ではないようです)。

私たちは、受けません。

「ワクチンが危険だから」ではなく、今、コービッドにかかっても重症化する可能性は低そうだからです。ほとんどの人に起こるあの副作用(発熱、倦怠感 etc.)はもうこりごりです...

 

小雨の中、小さな折り畳み傘を二人で分け合って「啓蒙活動」をがんばっていたあのフレンドリーな女性2人は(陰謀論者かもしれませんが)私たち道行く人々のことを本気で心配してくれていたのかも...という気がちょっとしてきました。

軽いノリで、質問ぐらいしてみてもよかったかもしれません。(想定問答集など暗記して議論武装している可能性もありますが)

...もらったチラシに連絡先が書かれていました。連絡してまで議論/質問攻めする気は...ちょっとありません。

 

コメント (2)
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