よく「春は別れの季節」と言われる。これは卒業シーズンが大きく関わっているからだろうが、筆者的には「春」よりも「冬」の方が「別れの季節」と感じるのだ。そう思うのは、間違い無くこの「移籍市場」のせいだろう。そう「ぜんぶ移籍市場のせいだ」。
 そんな筆者的別れの季節の中で、今年も多くの選手がチームから離れ、新天地で活躍する決断をした。そんな離れ離れになってしまう選手たちに感謝の言葉を送っていこうと思う。

 本当は全選手の契約が出てから書こうと思ったが、それまで待っていると新チームが始動してしまうため、今から書くことを決めた。後から退団選手が出た場合は加筆していくのでお楽しみに。

昨シーズンのはコチラから↓


GK

21 新井章太(ジェフユナイテッド千葉に完全移籍)
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サッカーダイジェストより引用

 ルヴァンカップMVPに輝いた男がチームを去る決断をした。
 加入した2013年の新体制発表会の際、「東京ヴェルディをクビに...あ、やっべぇ」というブラックジョークで会場を沸かしたことを筆者は鮮明に覚えている。実際、章太はヴェルディから契約満了を告げられトライアウトから這い上がってきた苦労人だったのだ。

 加入から2年後の2015年にようやくプロデビューすると、そのシーズンは正守護神として君臨。しかし、2016年に元韓国代表のチョン ソンリョンが加入し、今度は第2GKとしてチームを支える立場となる。そんな状況に置かれても常に努力を怠ること無く最善を尽くす。そのため、どんな窮地を救ってくれる頼もしい存在だった。

 その頼もしさはピッチ内だけでは無い。ピッチ外でも良い兄貴分として若手選手の面倒見たり、キャプテン小林悠を常に支えてくれたいたのだ。そんな人情溢れる選手が、最後に「ルヴァンカップ優勝」というクラブの長年の夢を叶えてくれたことには本当に感謝したい。

 デビュー戦は、ガチガチに緊張していてDF陣との連携ミスから失点を許した章太が、チームを優勝に導く魂のPKストップを止める選手までに成長したことは、感動と感謝の言葉しか出てこない。章太の「プロとしての姿勢」は、どこでも通ずるものがあるはず。千葉でも頑張れ。7年間本当にありがとう。



DF

3 奈良竜樹(鹿島アントラーズに完全移籍)
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リンク先より引用

 誰よりも勝負に拘るCB。2016年に加入すると即スタメンの座を掴む。当時の指揮官、風間八宏からも信頼され、コンスタントに出場を重ねた。しかし、12節の神戸戦で、相手選手と接触した際に脛を骨折。一度は回復したものの、同年9月にもう一度再発してしまった。

 大きな怪我を乗り越えた2017年は、不動のレギュラーとしてピッチに帰還。スピードとフィジカルを活かした対人守備でピンチを防ぐ姿には何度も拍手を送った。チームが最小失点に輝いたのは、間違い無く奈良ちゃんのお陰だろう。
 また、攻撃面でも、質の高い楔のパスを供給し、後方からアクセントを加えられるのも彼の強みだった。今思えは、リーグ2連覇は奈良ちゃん無しじゃ成し遂げることは出来なかっただろう。 

 そして、今シーズンは再び怪我との戦いだった。4月末に左膝を負傷。怪我で離脱してる際に、今シーズン加入したジェジエウと山村和也がCBで高いパフォーマンスを発揮。そのため、復帰後もなかなかメンバーに入れなくなってしまったのだ。そんな中、出場機会を求め、鹿島アントラーズに移籍する決断をした。

 2018年に優秀選手賞に選ばれた際は「僕は汚いプレーが多くて。影でもいろいろ言ったり、陰でも汚いこともしますが、こうやって選んでいただけ光栄です」とコメントしていた。相手からしてみれば、とても嫌がられる存在だが、味方としては「頼もしい」の一言だった。特に、相手と1対1になった際、先に体を入れたファウルを貰うようなシーンはとても「賢い」と感心した覚えがある。
 そんな頼りがいのある存在だった奈良ちゃんが敵となると頭が痛くなる。「奈良ロス」は続くと思うけど、鹿島でも頑張って欲しい(対戦するとき以外は)。4年間ありがとう。


17 馬渡和彰(湘南ベルマーレに期限付き移籍)

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 今シーズン、サンフレッチェ広島から加入した。大外をダイナミックに走り抜けるプレーと、両足で蹴られるのが彼の最大の武器。さらに、両サイドを務められるという部分から、かなり期待値の高い選手だった。実際出た試合では高いパフォーマンスを見せ、神戸戦ではGKの意表を突く直接FKを叩き込んでみせた。

 そんな馬渡だったが、今シーズンは怪我がとても多かった。チーム内でリリースがある中では2つの捻挫と左膝の靭帯の怪我。それ以外でもピッチから離れる時間が多かったと感じる。

 筆者としては、フル稼働出来れば間違いなくスタメン候補だったと思う。恐らく、鬼木監督の構想の中では、今シーズンも戦力として数えていたと思うが、今回馬渡が選んだ道はベルマーレへの期限付き移籍であった。

 近年のSBは、内側に絞ってプレーすることがトレンドになっているが、馬渡は大外を走り抜けるようなプレーヤーだ。将棋の駒で言えば、香車だろう。そういう大外で無双するプレーは湘南で活きると思うし、そこで得た経験をフロンターレに還元してもらいたい。


26 マギーニョ(横浜FCに期限付き移籍)

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 昨シーズン、ブラジル2部から獲得したスピード溢れるSB。「ブラジル人の抜けた穴はブラジル人で!」と言った感じで起用していたが、エウシーニョと比べるのはかなり酷だったと感じる。

 ゼロックスと開幕戦では、スタメン出場を果たしたが、指揮官からの信頼を得られず、気がつくとベンチに入れない日々が続いてしまった。それでも出た試合では結果を残していたことは確かである。アウェイ大分戦のゴールや、アウェイ仙台戦のアシスト。そして、ホーム広島戦の自作自演の決勝ゴール。僕らはマギーニョ1人で色々な感情を味わっただろう。

 昨年加入したブラジル人の中では、1番日本語を勉強していたし、異国の地に馴染もうとしていたのは確かである。ファンサービスの時は、覚えたての日本語とチャーミングな笑顔でサポーターに接し、筆者もその丁寧な対応を受けた一人だ。本当に憎めない存在である。

 移籍先である横浜FCだが、昨年までスタメンを務めていた北爪が柏レイソルに移籍となったため、マギーニョがスタメンとなりそうだ。力強さが求められるポジションだが、マギーニョの推進力なら輝けると思う。頑張って欲しい。



MF

8 阿部浩之(名古屋グランパスに完全移籍)

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 「鬼木フロンターレとは阿部浩之である」と言わしめる程、欠かせない存在だった阿部ちゃんがチームを離れる決断をした。

 攻守に渡って走り続ける運動量と試合を読む力。そして、両足から放たれる精度の高いシュート。DAZNで実況を務める下田さんも「シュートの名手」と表現するように、多彩な得点パターンを持っていた。

 2017年にガンバ大阪から加入。これまで「フロンターレキラー」として牙を剥いてきた天敵が、チームに加入したのはとても心強かった。
 そんな1年目のシーズンは、阿部ちゃんを1トップに置く「ネガトラ特化型」の布陣が見事にハマり、夏場の快進撃を支えた。
 阿部ちゃん自身もプロ入り初となる2桁得点をマーク。その記念すべき10点目は、チームを初タイトルに導く豪快なミドルシュートであったのも忘れてはならないエピソードだ。初優勝が決まった試合後に、現在ベルギーで活躍する三好康児が「阿部のおかげ!」と言ったように、初タイトルを取れたのは間違いなく阿部ちゃんのおかげだったと言える。

 筆者が1番記憶に残ってるのは、2018年のアウェイ鹿島戦。0-0で迎えた試合終了間際、鹿島のカウンターをファウルで止めたシーンである。その際、鹿島はリスタートしようとしたが、村上主審に声をかけ、この日2枚目のイエローカードが提示され退場となった。だが、これにより試合を止まり、鹿島のカウンターは防がれたのだ。
 このような、「試合の流れを読む力」というのは、阿部ちゃんの優れた能力だ。こういう「賢い選手」を手放すのはチームとして痛手であろう。

 今シーズンもルヴァンカップ決勝の舞台で「4大会無得点」というジンクスを打ち破ったのはこの男だった。タイトルとは無縁だったクラブの歴史を塗り替え続けてくれたことには感謝しなければならない。

 3つのタイトルをもたらしてくれてありがとう。


27 鈴木雄斗(松本山雅FCに期限付き移籍)

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 2018年にモンテディオ山形から完全移籍で加入。当時は、武岡優斗との「ゆうと被り問題」が物議を起こした。すると、突如登里が「お前もうラルフでええんちゃうん?」と言い、最終的には「ラルフ」の愛称で親しまれるようになった。

 入団してからは、なかなか試合に絡めない日々が続いたが、突然転機が訪れる。連敗中で迎えたアウェイ柏戦で後半から途中出場。すると1-1で訪れた後半アディショナルタイムに、長谷川のクロスを頭で押し込み逆転。このゴールが決勝ゴールとなり、チームを救ったのだ。今思えばあそこでゴールを決めなければ、あのシーズンの優勝は無かったように感じる。あのラルフのゴールでチームは再び上昇気流に乗ったのだ。

 そして昨シーズンはエウシーニョの移籍に伴い右サイドバックで出場。高い身体能力と持ち味である推進力を武器に頑張れるかと思ったが、上手くフィットせずにスタメンの座から転落。徐々に出場機会が無くなり、7月にガンバ大阪への期限付き移籍が決まった。

 ガンバでも小野瀬や福田などのサイドアタッカーの牙城を崩せず、スタメンに入れない日々が続き、シーズンが終了。今後の去就が危ぶまれたが、籍は川崎フロンターレに残し、J2の松本山雅FCに期限付き移籍を発表した。

 本人のコメントに
松本のチームの勝利に貢献しながら、自分のこれで勝負できるという武器をつかみ取って、川崎に戻ってきたと思います。再び等々力のピッチで躍動するために、頑張ってきます。これからもよろしくお願い致します
 と書いてあるように、フロンターレでも通じるラルフの「武器」を手にして帰ってきて欲しい。頑張れラルフ。



FW 

赤﨑秀平(ベガルタ仙台に完全移籍)

 ラルフ、下田と共に、2018年に鹿島アントラーズから完全移籍で加入。筑波大学育ちのゴールゲッターということで期待されていたが、殆ど出場機会が与えられなかった。キャプテンの小林悠と成長著しかった知念慶に台頭できずにいると、ブラジルからロンドン五輪得点王のレアンドロ・ダミアンまで加入。押し出されるような形で期限付き移籍となった。
 新天地となった名古屋グランパスでは恩師風間八宏の元でホーム開幕戦からゴールを決めるも、その後はスーパーサブのような立ち位置になった。
 それでも21試合で5ゴールという数字は、前年度の出場が1試合のみと考えれば上出来だと言える。

 しかし、今シーズンも、小林、ダミアン、宮代、旗手などのタレントがいるためフロンターレで居場所を見つけるは難しい。そんな中、チームを離れベガルタ仙台に完全移籍する形となった。
 木山監督の下では赤﨑のスピードと決定力は大きく光ると思う。短い間だったけどありがとう。

 
20 知念慶(大分トリニータに期限付き移籍)

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 2017年に加入した大卒ストライカー。抜群の裏抜けと身体能力を活かした競り合いとボールキープが持ち味。そして、パンチのあるシュートを打てるのが彼の武器である。

 よく、小林悠やレアンドロ・ダミアンに目が行きがちだが、知念も高いポテンシャルの持ち主であることは確かだ。加入した1年目からスーパーサブとして起用されると、2年目には27試合に出場し4ゴールをマーク。
 そして、昨シーズンは小林がスランプに陥いり、ダミアンもフィットできていなかった時期にスタメンで出場。そこで圧巻の4試合連続ゴールを奪った。得意であるヘディングや裏抜けなど、多彩な得点パターンでサポーターを魅了。「知念慶」では無く「知念ゲー」といった風に「エース知念」がチームを引っ張った。だが、小林悠がスランプから脱出し、得点を奪うようになると、徐々に出場機会を失うこととなる。
 途中からの出場だと「クローザー」のような役割を任されるため、彼の良さはなかなか活きない。正直不遇だったと感じる。

 フロンターレの和製エースである我那覇和樹に続く沖縄出身ストライカーだったため、筆者としては、このチームで育ち、代表入りして欲しいと願っていた。だが、今シーズンからは、活躍の舞台を大分トリニータに移すことが決まった。
 それでも、大分という特殊なサッカーをするチームには、知念は大きくフィットすると思う。役割も至ってシンプルなため、ゴールを奪うことに集中できる環境となるはずだ。

 まだ25歳と成長が見込める年齢だ。将来の「フロンターレのエース」として輝くために、大分で頑張って欲しい。


最後に

 筆者の大好きな声優ユニットの曲に
 君が向くその先に未来が待っている いつもの僕らのまま手を振ろう

 TrySail-またね、

 という歌詞がある。
 今回移籍を決断した選手たちには、彼らなりの未来が待っている。それは尊重すべき物であり、その未来に向かって進んで欲しいと筆者は思う。

 本当にありがとう。そして期限付き組は戻ってくる日を心から待っている。

 それと、何枚かのお写真はお譲り頂いたものです。選手の活躍が見られるステキなお写真をありがとうございました!






では、

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