本カテゴリ「今からすぐに始められる普通の私たちの自己実現」
カテゴリ 04 自己実現の「場」
(本カテ第32号記事)
カテゴリ 04 自己実現の「場」
(本カテ第32号記事)
自己実現の場は以下の3つでした。
①仕事
②家庭生活
③趣味・趣向の活動
もちろん、全ての場において自己実現が叶うなら、そんな素晴らしいことはないでしょう。
しかしそれは求めすぎというもの。
生活のあらゆるシーンで自己実現してしまうと、大抵の人間は返ってつまづき始めます。いわゆる「調子に乗り過ぎて」しまい、自覚のないまま落とし穴にはまっていってしまうのです。
古い話で恐縮ですが、巨人軍の黄金時代を率いた名将 川上哲治 元監督はこう語っています。「スランプというのは、好調なときにその原因がつくられている。だから、好調なときが一番心配です」と。
どれもこれもうまくいきすぎると、快感中枢が麻痺してきて、一つひとつの喜びの味わいが薄まってしまい、強欲になったりします。或いは鈍い快感が持続することで危機感が麻痺していったりもします。だから知らず知らずのうちに基本をおろそかにし、基本から逸脱していくのでしょう。結果、日々たくさんある選択の場面で、少しずつ、そして着実に誤った選択を繰り返していくようになるのです。
秦の始皇帝が大願成就を果たした後に早世し、帝国が崩壊したのも然り。ユリウス・カエサル(シーザー) や ナポレオン・ボナパルト の暗殺、失脚然り。平家の奢れる者も久しからぬ滅亡も然り。鎌倉幕府や江戸幕府の衰退でも同様なことが言えるでしょう。
然るにあまり欲張らず、どれか1つのシーンで自己実現或いはそれに近い満足感を得ることを良しとし、準じて他の2つのシーンのいずれかで、しかもいずれであっても限定的な局面でよろしいので、時々自己実現或いはそれに近い満足感をふわっと得る・・・それくらいでちょうどよいのではないでしょうか。
その方が、ある観点では自信を深めることが適いながら、トータルとしては驕り高ぶりを抑え、謙虚な自分を維持しやすくなりそうです。周囲から反感を買う確率も減るでしょう。またなにより、うまくいくところもあれば、ままならぬ分野もある。胸を張って語れる切り口もあれば、悩み尽きぬところもある。そのような人生の方が味わいが深いというものです。
では、3つの場全てにおいての自己実現は求め過ぎだとして、どれか1つ或いは欲張って2つを選ぶということであるなら、皆さんならどの場を或いはどの場とどの場を選ぶでしょうか。
ちなみに②の家庭生活ですが、結婚を選択せず生涯を独身で過ごす場合で、且つ親や兄弟、親族とも同居せず係る世話(介護等)についてもさほどの労力が要らないような場合ですが、そのような家庭生活とは、つまりは純粋な単身の私生活となります。
このような場合、ある程度の健康さえ維持できていれば、日常の私生活のほとんどが自分自身の自由になります。もちろん経済的、物理的な制限は人それぞれの事情があるでしょうが、そうした制限の中でという条件付きなら、単身者は自由自在なのです。誰に相談する必要もありません。誰に気兼ねすることもありません。好きなことを好きなようにすることができます。
食べたいものを食べたいときに食べたいだけ食べ、観たいテレビを観たいときに観たいだけ観て、眠ければ好きな時に眠ることもできます。自分以外のことを心配する必要も、自分のしたいことについてを自分以外の都合と調整する必要も極端に少なくて済むのです。
従って身軽です。気楽です。ですから、現代のように利便性が高じた社会になってくると、単身の生活でもさほどの不自由がありませんので、生涯を通して単身を選択する人々が急増してくるのです。
こうした単身の私生活シーンにおいては、家庭生活の場としての自己実現は必然性がありません。
簡単に言えば、ほぼ自分の思う通りに暮らせるわけですから、それは荒っぽい表現をするなら、ある意味自己実現していると言ってもいいのです。だから殊更自己実現を考える必要がないのです。
また厳密に言うなら、次のようにも説明できます。
生涯を独身で通す選択をし、且つ親、兄弟、親族とも同居せず加えてその世話にも労を要さないような人は、「個人と全体(社会)が表裏一体となってより良く成長、進化」しようと思っても、社会との接点である隣人、中でも最も身近で基本的な隣人である家族に対して、影響を与えたり与えられたりするような濃い立場にありません。つまり生涯を通じて純粋な単身私生活者は、その単身私生活において「個人と全体(社会)が表裏一体」になりようがないのです。個人として自己完結してしまいがちなのです。
純粋な単身の私生活では、ほぼ誰とも競合しません。だからほぼ協調もしません。もちろんほぼ調整もしませんし、ほぼ気遣いもしません。だからと言って誰かといがみ合うかというと、純粋な私生活ではそうしたこともほぼありません。ご近所トラブルがあるではないかという声も聞こえてきそうですが、それは社会生活というカテゴリでの問題です。純粋な私生活においては対象外です。
一見、自由でうらやましい限りですが、そいういう単身私生活において、普通の人はどうなるでしょうか。
生涯に亘って追い求めるような確固たるなにかをもっている人で、且つかなり持戒的な性格の人でない限り、或いはよほどの不便な生活を強いられていない限り、ただただ気楽に安穏とした日々を送ることになるでしょう。
そして単身生活の気楽さ、気軽さが乗じて、やがては「自分さえよければそれでよい」という感覚が常態化し、結果、社会性が希薄となりがちなのです。
もちろんそうした暮らしは、精神衛生上ストレスが少ないので、唯一この観点では極めて上質と言えるかも知れません。
しかしノンストレスということは、そいういう環境下では癒しとくつろぎはあっても成長が見込めません。成長が見込めないなら、それを企図することもありません。当然、「より良く成長、進化するために行われるなんらかの生産活動」ではなくなります。これでは自己実現の前提が崩れてしまいます。
色々な出会いや巡り合わせによって、そこから嬉しいなにかが生じるかも知れませんが、どれだけ好感が持てることがらが生じるとしても、一切は自己実現の定義を満たすものではありません。単に「たまたまいいことが起こった」というだけの話です。従って自己実現を考えるうえで、このシーンの選択はナンセンスになってしまうのです。
色々な出会いや巡り合わせによって、そこから嬉しいなにかが生じるかも知れませんが、どれだけ好感が持てることがらが生じるとしても、一切は自己実現の定義を満たすものではありません。単に「たまたまいいことが起こった」というだけの話です。従って自己実現を考えるうえで、このシーンの選択はナンセンスになってしまうのです。
このことは、大雑把な一般論によっても当然のように帰結されます。「自分自身が成長せず、それ以外の要素のみで自己実現が可能か」というと、たまたまの巡り合わせで一瞬或いは短い期間ならそうした錯覚を覚えることもあるでしょうが、当然それは長続きしません。つまり真の意味では自己実現しないという結論です。
このようなことから、純粋な単身の私生活を生涯を通じて選択し続けるような場合、自己実現を考えるうえで、端からシーン選択としての②「家庭生活」を考える必要はないのです。自己実現の必然性も、可能性もかなり低いシーンとなるのですから。
しかし誤解のないように願いたいところです。そうした純粋な単身私生活をされている方々の暮らしや人生を否定する気も、批判する気もありません。そうした選択や環境が間違っているとも思いません。人それぞれです。ただし、それに付随した危惧については心しておかなくてはならないということです。そしてだからこそ、なんらかの対策を講じておく、或いはしっかりとした心構えをもっておくことが必要であると申し上げたいところです。
それでは話を戻します。
自己実現のシーンを①~③のどこに選ぶべきでしょうか。
自由なのですが、しかし一番オーソドックスで得な選び方をするなら、主軸は①の「仕事」でありましょう。
そして縁あって所帯を持つよう場合、或いはそれを理想とするような場合は準じて②の「家庭生活」を補助軸として選択すべきでしょう。
或いは生涯独身で親、兄弟、親族と同居も、その世話もしないような場合は①の「仕事」を主軸とし、③の「趣味・趣向の活動」を補助軸として据えるとよろしいでしょう。
余計なお世話かも知れませんが、お勧めするのは上記2つのいずれかのパターンです。
[次の記事へ続く]
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