職場での立場、私は三年更新の庶務です。
ということは、三年前にもその三年前にも同じ仕事をしていた人がいます。
仕事はそんなんですからマニュアルがあります。
私も引継ぎの際は、先輩からマニュアルを渡されて習いました。
同じ立場のひとは現在私を含めて三人。非常勤と呼ばれています。
非常勤はそれぞれに役割がありますが、当番制の仕事があります。
給湯室まわりと新聞とか郵便とか日々の雑事です。
これ、とても細かいマニュアルがあります。
考えなくていいようにできている。
当番の日
何時にどこに行って、何をする。というのが、
全部書いてある。
やることが多いので、最初は覚えるまで大変でした。
でも慣れると勝手に体が動く。
しかし、ある時気がつきました。
これ、やる意味あるのか?って。
例えば給湯室のポットのお湯の量です。
退勤前に、三つあるポットのうち一つのポットの湯をほかの二つに移し替えてパンパンにして帰る。
とマニュアルには書いてある。
先輩にも丁寧に教わりました。
でも、朝、そのパンパンのまま、お湯を捨てる。無駄だろ、絶対。
深夜まで働く人がもしかしたらいたのかもしれない。
しかし、今は五人ほどの人が我々非常勤より後に残っているが、全員で10リットルのお湯を飲み干すとは思えない。
ある時、部署異動を含め五年勤めていた先輩が
ご主人の転勤で、退職されました。
それを期に、非常勤同士で相談し
お湯パンパンマニュアルを削除しました。
削除するのに、けっこう時間がかかりました。
まず本当にパンパンにしなくても、お湯は足りるのか。実験。
どれほどの湯量がポットに残っているか、ちゃんと見ておいて、次の朝、使用量を確認する。
そのうち、午後に残っている湯量だけで、余裕で足りるということが判明し、
無事に削除完了。
そんな変なルールほかにもあります。
コピー用紙を巻いていた包装紙を折って、器のようにし、お茶のパックやゴミを入れる容器を作る(毎日1個)というもの。
器をつくるために、新人は保存されているファイルから動画を見て折り方を覚えなくてはなりません。
ほかには、おしぼりを毎日ふたつ作って、つけおき、漂白して干して帰る、というのもあります。
思いついた時、とても親切な気持ちだったと思うんです。
気の利くことを思いついた、と。
でもマニュアルに加え、代々受け継がれるとなると、呪縛じゃね?
その人が永遠に勤めるなら構わないけど、人が入れ替わるんだよ。その人、まったく、気が利かない!
お湯パンパンも、ごみ入れも、おしぼりも、平気で少なくても五年はやっているはず。
なんでやっているのか聞かれて、前の先輩は「そういうものだから」と答えたらしいです。
ゴミ入れのために、用紙をコピー機に詰めすぎて、紙が湿気てしまって機械につまって保守工事呼んでいた。
ゴミ入れもおしぼりも、なくすことにしました。
使っている人もいたけど、なくてもなんとかなると結論し、正社員さんに許可を取るため説明に行きました。
それで正社員さんに、これこれこういうマニュアルがあって、、、といったら、
「なんだそりゃ」だって。
全然なくていいよー。って言ってくれた。
誰も頼んでないのに、誰かがやり始めた。
取り外す時の苦労を考えもしないで。
で、コピー用紙の包装紙、出たら出たで体が勝手にゴミ箱追ってしまいそうだけど、来週からスッキリ!やらないぞ!
あと、おしぼりないと、めちゃくちゃ助かる。
おしぼり洗濯のために、わざわざ洗剤を買ってるからな。書類をいくつもつくって許可とってさ。
無駄な仕事を削除するのは、こうやって書いていると、すごく簡単に感じる。
でも実際、その場で、毎日のルーティンを変えていくって、けっこう大変よな。