竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
初めてのお人でも、それなりのお人でも、楽しめると思います。

万葉集 集歌1183から集歌1187まで

2020年11月23日 | 新訓 万葉集
集歌一一八三 
原文 好去而 亦還見六 大夫乃 手二巻持在 鞆之浦廻乎
試訓 好き往くにまた還(か)へり見む大夫(ますらを)の手に巻き持てる鞆(とも)し浦廻(うらみ)を
試訳 無事に往ってからまた帰りに眺めましょう。立派な男子が手に巻き持つ弓の鞆の、その鞆の入り江を。

集歌一一八四 
原文 鳥自物 海二浮居而奥津浪 驂乎聞者 數悲哭
訓読 鳥じもし海に浮き居(ゐ)に沖つ浪騒(さは)くを聞けばあまた悲しも
私訳 水鳥たちが海に浮き居ている、その沖浪に浮かぶ水鳥が騒がしいのを聞くと、これから浪が立つのかと思うと非常にこころ細い。

集歌一一八五 
原文 朝菜寸二 真梶榜出而 見乍来之 三津乃松原 浪越似所見
訓読 朝凪に真梶(まかぢ)榜(こ)ぎ出に見つつ来し御津(みつ)の松原(まつはら)浪越(なみこ)しにそ見ゆ
私訳 朝の凪に立派な梶を操り船を出して眺めながらやって来た御津の松原よ、今は、はるか、浪越しに見える。

集歌一一八六 
原文 朝入為流 海未通女等之 袖通 沾西衣 雖干跡不乾
訓読 漁(あさり)する海(あま)未通女(をとめ)らし袖通り濡れにし衣(ころも)干(ほ)せど乾(かわ)かず
私訳 漁をする漁師の娘女たちの袖まで飛沫が通り濡れてしまった衣は、日に曝しても乾きません。
注意 「干跡不乾」について、海未通女が衣を脱いで干していますと裸です。ここでは腰巻一つではなく、日に曝すとしました。

集歌一一八七 
原文 網引為 海子哉見 飽浦 清荒磯 見来吾
訓読 網引(あびき)する海子(あま)とか見らむ飽浦(あくうら)し清き荒磯(ありそ)を見に来し吾を
私訳 地引網を引く漁師たちと間違えて見るでしょうか、飽の浦の清らかな荒磯を見に来て浜を通りかかった(薄汚れた衣を纏った)私を。
注意 長船旅で着替えも少なく、洗濯も自由でなければ、薄汚れた風情です。それを踏まえての「粗末な衣を着る漁師と見間違える」と云う表現と思います。
左注 一首、柿本朝臣人麿之謌集出
注訓 右の一首は、柿本朝臣人麿の歌集に出づ。
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