竹取翁と万葉集のお勉強

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万葉集 集歌529から集歌533まで

2020年05月22日 | 新訓 万葉集
又大伴坂上郎女謌一首
標訓 又、大伴坂上郎女の謌一首
集歌五二九 
原文 佐保河乃 涯之官能 小歴木莫苅焉 在乍毛 張之来者 立隠金
訓読 佐保川(さほかわ)の岸しつかさの柴な刈りそね 在(あ)りつつも春し来(き)たらば立ち隠(かく)るがね
私訳 佐保川の岸の高みの柴を刈らないで、そのままにして春がやって来たら、その柴に恋人二人が隠れられるように。

天皇賜海上女王御謌一首  寧樂宮即位天皇也
標訓 天皇(すめらみこと)の海上(うなかみの)女王(おほきみ)に賜へる御謌一首  寧樂宮に即位(あまのしたしらしめ)しし天皇なり
集歌五三〇 
原文 赤駒之 越馬柵乃 緘結師 妹情者 疑毛奈思
訓読 赤駒し越ゆる馬柵(うませ)の結(むす)びてし妹し情(こころ)は疑ひも無し
私訳 赤駒が飛び越えてしまう馬柵のように、しっかり契りを結んだ愛しい貴女の気持ちを疑うことはありません。
注意 標題の「寧樂宮即位天皇也」は長屋王を意味します。歴史解釈の標準解釈とは相当に違います。

海上王奉和謌一首  志貴皇子之女也
標訓 海上王(うなかみのおほきみ)の和(こた)へ奉(たてまつ)れる謌一首  志貴皇子の女(むすめ)なり
集歌五三一 
原文 梓弓 爪引夜音之 遠音尓毛 君之御幸乎 聞之好毛
訓読 梓弓(あずさゆみ)爪引(つまひ)く夜音(よと)し遠音(とほね)にも君し御幸(みゆき)を聞かくし好(よ)しも
私訳 梓弓を爪弾く夜中の弦音が遠くに響いて来るように、その言葉の響ではありませんが、夜に「妻引く」と、妻の許に出向く大君の御出座しの噂を聞くのは嬉しいことです。
注意 この海上王と長屋大王との御子に壱志濃王と尾張女王(内親王相当)がいらして、尾張女王と光仁天皇の御子が薭田親王です。この薭田親王と光仁天皇とが、ほぼ、同時に急病死されて桓武天皇の延暦改元が行われます。歴史解釈の標準解釈とは相当に違います。

大伴宿奈麿宿祢謌二首  佐保大納言第三子也
標訓 大伴宿奈麿(すくなまろ)宿祢の謌二首  佐保大納言の第三子なり
集歌五三二 
原文 打日指 宮尓行兒乎 真悲見 留者苦 聴去者為便無
訓読 うち日さす宮に行く児を真悲(まかな)しみ 留(と)むれば苦し遣(や)れば便(すべ)無し
私訳 日が射し照らす都に行く貴女を愛おしくて、引き留めると心苦しく、都に送り遣るとどうしようもなく切ない。

集歌五三三 
原文 難波方 塩干之名凝 飽左右二 人之見兒乎 吾四乏毛
訓読 難波(なには)潟(かた)潮干(しほひ)し波残(なごり)飽くさへに人し見る児を吾し乏(とも)しも
私訳 難波潟の潮干の名残の水模様を飽きるほどに見るように人が眺める児(=若い女の子)を、私は吾を忘れて見つめてしまう。

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