遠藤雷太のうろうろブログ

何かを観たら、とにかく400字または1000字以内で感想を書きつづるブログ。

埼玉県立川越高等学校『いてふノ精蟲』

2020-09-03 22:25:00 | 動画で演劇を見た(観劇三昧以外)

埼玉県立川越高等学校『いてふノ精蟲』


2020/8/28

東京帝大に画工として赴任した平瀬が、世界ではじめてイチョウの精子を発見する話。

実在の研究者を扱い、登場実物は大学の研究者ばかり。

いわゆる「高校生らしさ」のない作品。

逆に言えば、高校生であることの強みに頼らず、完成度の高い作品を作ったということ。

立体感のある舞台装置、とりあえず観ている人の感情に働きかけるツカミ部分、話の分割によるテンポアップ、わかりやすい人物造形、観客が見やすくなりそうなことは大体取り込んでいる。

平瀬、池野、牧野の主要三人も、日頃の訓練をうかがわせる、地に足のついた演技で魅力がある。

大学の研究と言っても、その瞬間を逃さないために、木の上で寝起きしたり、研究室を銀杏臭まみれにしたり、その過程は大変泥臭い。地味で地道な調査を積み重ねていく。

不遇だった偉大な功労者を、冗長な笑いや奇抜なことなしに、地道な積み重ねを以て讃える話が、きちんと評価されていることに感動する。審査員はいい仕事をしている。

(WEB SOUBUN)

コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 宇高演劇部『されど、ブヨは... | トップ | 梨うまい『悔しみノート』 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

動画で演劇を見た(観劇三昧以外)」カテゴリの最新記事