遠藤雷太のうろうろブログ

何かを観たら、とにかく400字または1000字以内で感想を書きつづるブログ。

演劇家族スイートホーム『わだちを踏むように』(TGR2019)

2019-11-18 00:25:49 | 演劇を見てきた・TGR2019

2019/11/16

・小さな旅館で、ある家族がそれぞれのわだかまりを解消しようとする話。

・序盤の会話で必要な情報を小出しにしつつ、二組の男女の企てを明らかにする導入がスムーズ。

・二組とも似たような企てをしながら、同じタイミングで同じ空間にいる偶然は変な感じもするけど、会話の自然さと登場人物の人柄で、見る側を味方につけている。あまり気にならない。

・不意に出てくる砕けた言い方や、会話の相手によってそれぞれがちょっとずつ態度を変えていくところが丁寧。

・去年の『裸足でベーラン』は素振りの説得力でごまかされた感じもあったけど、今回はギミックなしでも平気。安心。

・他に、花火大会とか、田舎で他のホテルがあいてないとか、最低限ウソにならないようにいろいろ足している。親子だから似たことを考えたという風にも取れなくはない。

・出産予定日の件は展開的にぎりぎりなんだろうけど、さすがにお父さんボンヤリしすぎ。

・セリフで、うんこと赤ちゃんのくだりとか、「思い出せなくなるだけ」とか、端的で好き。

・他にも電話のツー音、いかにも田舎の旅館っぽい瓶ジュース、花火や写真のときの照明の変化。細かい。

・気まずい関係の義母と息子が、緊急時に一緒にテーブルを運んでいるのも小さないいシーン。

・父親の「最初に他人として仲良くなってから後でネタ晴らしするという作戦」が、そのまんま自分に返ってくる構図がきれい。

・どうでもいいけど、「大きめの花火大会がある」「アナゴが釣れる」「毎週末札幌と行き来するのは大変」「小さな町」だと鹿部町がヒットした。あの意味ありげで特に何もなかった鹿の角も暗号っぽい。

・せっかくの極めて機能的なシチュエーションコメディ的舞台装置だったので、もうちょっと踏み込んだ展開は見たかったかも。

・ずっと子が親になる話を描いておいて、最後の最後に親が子に戻る話でまとめている。

・わだちを踏んでいるし、踏ませているし、踏んでいる。

・演劇家族を名乗る団体で、真正面から家族を描く気恥ずかしさはともかく、細かく丁寧に作られたホームコメディだった。

(201911/16 19:30の回)

隆夫:五島基愉
路子:髙倉綾乃
弥生:竹道光希
皐:本庄一登
直之:菊地健汰
孝輔:山崎拓未
春樹:湯本空
萌:ひらりそあ


■スタッフ
助演出:伊藤萌香、山田雄基
照明:手嶋浩二郎
音響:鈴木千尋(北海学園大学演劇研究会)
舞台美術:岩崎陸來(ウェイビジョン)
制作:山田雄基、松尾佳乃子、森大輝(北海学園大学演劇研究会)
スタッフ:高橋真生、三上智香(RED KING CRAB)、髙姫華(劇団米騒動)

脚本・演出:髙橋正子

※当日パンフ参照(なにぶん手入力なもので誤りがあればご指摘ください)

※見る人が見ればわかる極めて機能的なシチュエーションコメディ的舞台装置。(撮影&ブログ掲載許可いただいております)

 


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