ねこ庭の独り言

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日本人と中国人 - 6 ( 中国と台湾の留学生 )

2020-02-18 18:26:37 | 徒然の記

 久しぶりに、汪洋氏の著作『日本人と中国人』に、戻りました。119ページです。

 「20年前、その時、僕は日本に来た。」「そして、台湾の留学生と出会った。」「生まれて初めてだった。」「しかも、台湾生まれの台湾育ちの人々である。」「当時は、中国からの留学生はほとんどおらず、」「同じ民族の留学生と言えば、中国系のマレーシア、」「シンガポール、そして台湾の留学生だった。」

 しばらく、氏の回想文を転記いたします。

 「学生寮で、不安と好奇心の入り混じった気持ちで、」「台湾の留学生と、初対面をした。」「わずかな対話だけで、互いに共通の文化を持つことを、痛感させられた。」「そして、親しみを覚えた。」「警戒心もあった。」「しかしそれは、台湾の留学生に対してではない。」「それは、両方の政権に対してであった。」

 ここからが大切な部分です。私は自分が学生だった頃、このような経験をしたことがありません。同じ民族でも、国が分断されると、目に見えない、厚い壁ができるのだということ・・・。

 「過度の親しさを持てば、台湾当局に利用されはしないか、」「また、台湾に利用されていると、」「中国政府に疑われはしまいか、と言う恐怖感だ。」「確認しているわけではないが、噂では、台湾の留学生も、」「中国の留学生以上に、同様の恐怖感を抑えていたと言う。」「どちらにしても、命がけとまではいかなくとも、」「一歩間違えば、一生を棒に振る。」「いわば、一生がけだ。」

 それ以後、気が合えば、互いの部屋を訪ね、焼酎やウイスキーを飲み、夜遅くまで騒ぐようになったと言います。日大、明大、東大、中大と、異なる大学の学生と同居していた、下宿時代の自分を思い出しました。その時の私たちは、氏のような気遣いはなく、青春そのものの談笑があるだけでした。

 「もちろん、互いに気をつかっていた。」「中国、中華民国と言う言い方を避け、」「台湾、大陸を使っていた。」「政治の話題も、内戦の話も避けていた。」「権力者同士が喧嘩をしているが、僕らとは関係ない、」「そんな気持ちでいた。」「と言うか、そんな気持ちでいたかった。」

 氏の説明によりますと、九州大学には、国際親善会と言う、留学生と日本人のサークルがあったといいます。花見に行ったり、ピクニックに出かけたり、日本のことについて討論したりしていたそうです。

 「留学生同士で口論になる人もいたが、ごく稀なことで、」「互いに敵対意識もなく、楽しく共同の勉強をしていた。」「それができたのは、台湾と中国の留学生の間にいた、」「日本人の先生や学生、そして他の国々の留学生たちの存在が、大きかった。」「そう思う」

 そうしたある日、台湾の友人に、日本在住の台湾人のパーティーに誘われます。ここで初めて氏は、大きな不安を感じます。互いの政府が敵対している国で、個人同士が接触する困難さを、私はこの叙述から教えられました。私たちは無関心でも、中国や北朝鮮、もしかすると在日韓国・北朝鮮人との接触でも、これに似た猜疑心が生じているのかもしれません。

 「これまではすべて、個人的な付き合いだった。」「だから当局に、大目に見られたのであろう。」「しかし今度は、訳が違うのだ。」「他の中国の留学生に知られて、大使館にでも告げ口されたらどうなるか、知れたものでなかった。」

 だから、中国と台湾の留学生たちは、国が主催するパーテイーに、互いを誘わなかったのです。それなのに今度は友人に誘われ、断りきれずに応じます。

 「パーティーが始まるまで、彼が僕を友人に紹介したり、」「一緒に雑談をしたりして、楽しかった。」「が、パーティーが始まると、主催者の挨拶に僕は驚かされた。」「台湾の三民主義を賞賛し、大陸の共産党政権に激しい言葉で、」「非難や攻撃を浴びせたのである。」「そして、人々が挨拶するたびに、皆が皆一様に、」「中国を非難した。」

 友人はすぐに氏の気持ちを察し、こっそりと耳打ちをします。皆は必ずしも、蒋経国や国民党が好きではない。大半は演技だから、気にしないでと小さな声で言います。

 「それでも初めての経験だったせいか、僕はたちまち、」「敵意に包囲された感覚に、陥った。」「まさに針の筵に座るが如く、気が気でなかった。」「そしてその時、僕は彼を疑った。」「僕を、政治的に利用しているのではないかと・・」「以来、どちらともなく、付き合いはプッツリと切れた。」

 話が飛躍しますが、ここで私が思い出したのが、「沖縄独立論」を唱える日本人たちのことです。彼らは同じ日本人である沖縄の住民が、異民族として差別された過去があるといい、もともとは独立国だったのだから、日本から離れると主張します。アメリカの基地を撤廃し、代わりに中国の基地を誘致すると言います。

 ここでも、背後で支援活動をしているのは、次の反日・左翼の日本人たちであることが、分かっています。

   1. 日弁連    ( 会長 菊地裕太郎 )
   2. 人種差別撤廃NGOネットワーク ( 共同代表理事 武者小路公秀 )   
   3. 琉球先住民族協会   ( 会長 宮里護佐丸 )

 開かれた社会には、多様な意見があって良いとは言いますが、国を分断するような暴論まで、肯定すべきなのでしょうか。話が複雑になるので詳しく述べませんが、これらの組織は、先般立法化された「アイヌ新法」の推進団体とも、無関係でありません。アイヌ新法を政府内で進めたのが、菅官房長官ですから、総理への不信感は、ここからも生じています。

 汪洋氏が経験しているような苦しみを、自分の息子や孫たちにさせようと、私は思いません。一つに纏まっている日本の国を、何のために分断させようというのか、何のために騒動の種を撒こうとするのか、私は是非とも、総理と菅官房長官にお聞きしたい。また、周りにいる保守自民党の議員諸氏にも、なぜ反対しないのかと、問うてみたくなります。

 安倍内閣に、問題点が多々あることは理解していますが、どの本を読んでも、政権批判につながるのでは、精神衛生のために良くありません。もう少し書評を続けるつもりでしたが、本日で終わりにしたいと思います。書評は終わりにしても、日本が終わるわけでなく、人生が終わるわけでもありません。日々の暮らしは途切れませんから、やはり、めげずに生き続けなくてなりません。

 可愛い息子や孫たちのためにも、一息入れたら、また頑張るといたしましょう。

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