氏は大正時代を評して、現在と風潮がよく似ていると言います。
「70年前の世相は、今日とはなはだよく似ている。」「世は自由化、国際化、政党政治の華やかな時代で、」「役人の権威は低く、軍人は、軍服を着て街路を歩くのを、嫌がった。」
「今日と同じく、賄賂が横行し、国家道義と社会道徳は落ち、」「エロ・グロ・ナンセンスという言葉が、流行していた。」「大正デモクラシーの、時代である。」
自由精神の横溢した時だったと聞いていますが、そんなひどい時代とは、思っていませんでした。軍人の権威が落ちていたのは、事実らしく、電車の中でも彼らは小さくなっていたと、別の本で読んだことがあります。
「社会主義、共産主義もまた、世に蔓延した。」「今日の社会党、共産党の濫觴(起源)は、この時代に遡る。」「大衆相手の軽薄なジャーナリズム、物書き先生方の登場も、」「この時代からのことで、あったようだ。」「明治時代には、福沢諭吉、徳富蘇峰、福地桜痴などの、」「巨大物書きたちが輩出したが、今日の大衆評論家の源流は、この大正ナンセンス時代に発するであろう。」
歯に衣着せぬ酷評ですが、歴史は繰り返すと言いますから、まんざら嘘でもない気がします。馬野氏の見た大正時代を、しばらく語ってもらいます。
「彼らの生き様は、その時々の外国渡来の新規思想を、」「日本に導入し、その祖師となり、」「名声と地位、社会への影響力を仰望するというものであった。」
なるほど今と同じだと、うなづかされる意見です。マスコミにもてはやされる評論家を見ていますと、覚えたての外国語を並べ、聞く者を惑わせ、その軽薄さがそっくりです。
「ところがアメリカの、対日敵対の態度があらわになり、」「大不況が深まるにつれて、」「自由化、国際化、デモクラシーの風潮は急速に褪せ、」「代わって民族主義、国家主義が登場し、」「軍閥の時代へと移っていく。」
令和の現在は、日本に敵対しているのが米国だけでなく、中国もいます。大正時代と違うのは、日本人の中に、熱烈なアメリカ信奉者と中国信奉者がいて、双方が政権内で覇を競っているところでしょう。私のような庶民は、マスコミの報道に踊らされ、中国を嫌悪したり、米国へ腹を立てたり、その時その時を流されています。しかし大事な話は、次からです。
「前代にときめいた左翼理論家たちは、たちまち転落し、」「その主要な者は獄舎に入り、あるいは転向した。」「代わって、軍閥政府御用の物書きたちが活躍する。」
朝日新聞が、死に物狂いで民族主義の風潮に反対し、過去の日本を取り戻そうとする国民を攻撃する理由が、分かりました。日頃は黙っていても、一旦報道が間違っていたと分かると、国民の意見がまとまります。憲法が改正され、軍が再建されますと、反日・左翼の朝日新聞は真っ先に処分されます。
「軍靴の匂いがする。」「不気味な、戦前回帰の風潮が漂う。」と、スネに傷持つ彼らは、現在の思潮に危機感を覚え、連日騒いでいるのです。「美しい日本」を取り戻されたら、彼らを待つのは、獄舎か転向しかありませんので、「安倍を潰すのが社是」と、言うはずです。
まだ10 ページですが、この辺りは、興味深い意見が続きます。自分には無論のこと、息子たちにも、伝えたい先人の言葉です。そのままでないとしても、確かに、氏の指摘どおり、歴史が繰り返しています。
「前代の左翼理論家は、ユダヤ系思想家の作り出した、マルキシズムに熱中し、」「これを祖述したが、」「今度の右翼評論家たちには、依るべき思想体系がなく、」「哲学論理も見当たらず、」「ただ日本古来の伝統に、頼るほかなかった。」
「それだけに、高度な知性の目から見れば、」「なってないでないか、ということになるが、」「日本人の、生まれつきの感性には、訴えるところが大きかった。」「前代の左翼理論家に比べれば、遥かに強い、」「本源的影響力を持っていたのである。」
その通りで、私があの風采の上がらない、訥弁の学者・田中英道氏に惹かされる理由がここにあります。大切なものは、複雑な理論や詳細な分析でなく、自分の住んでいる国を愛することなのです。
1. ご先祖様を大切にし、敬う。
2. 太陽を中心とする、自然のすべてを神々として敬う。
3. 自然の一部としての人間を知り、すべてを肯定して生きる。
その時々に言葉は違いますが、要するにこれが、田中英道氏に教えられた日本の心です。これから氏の著書が、どの様に展開するのか分かりませんが、何となく親しく感じる意見です。明日も、この続きを報告します。
この、馬野周ニさんというかたが、どういう思想的な視座にたっておられるのか
私には、もうひとつ、よくわかりませんが、、、、、、、?!、、、、、、、、、、、、
基本的には愛国保守の心情のかただと思いますが、かなり反米的な見方をなさっておられるようですね。
ま、自民党政治家や外務省高官からは、『煙たがられる』かも知れません。
ただ、戦後の自民党政権が、終戦直後のアメリカ占領軍司令部の『検閲』の手口を
模倣しているという点は、ある程度、事実だと思います。
自民党政権というのは、アメリカ占領体制での『買弁政権』として発足したわけですから、
それも、無理はないでしょうね。
★★★ただし、自民党の名誉のために言いますと、少なくとも昭和時代のころまでの自民党政治家は、
『アメリカとの協力体制しか選択肢はなかったとしても』、、、【日本人としての矜持】は、持っておられたと思います。★★★
●それから、大正時代の世相が、最近の状況に良く似ていた、という御指摘にも、うなずかされました。
私たちは、学校時代のころ、『大正デモクラシー』の時代は素晴らしかったと、習いましたが、
実際は、必ずしもそうではなかったんですね。
思想的には、ずいぶん放埒な言論が乱れ飛んだ、混沌とした時代だったかも知れません。
●ところで、
私は、国粋派の僧侶・井上日召(いのうえにっしょう)氏の獄中自叙伝を読んだことがありますが、それによりますと
、大正のころは社会主義思想が盛んで、今にもプロレタリア革命を起こしそうな気配だったそうです。
井上日召氏が、そういう事態に危機感を持ち、皇道愛国主義に傾いたのも、無理からぬことだと思いました。
「馬野周ニさんというかたが、どういう思想的な視座にたっておられるのか、私には、もうひとつ、よくわかりませんが・・」
私の疑問もここにあります。視座が分かれば、いろいろなことが判断できます。平成元年に、この様な書を世に出した人物がいた、という発見をしました。
どういうことになるのか、しばらくお付き合いください。