まだ発行にはなっていないが、「数学・物理通信」9巻4号に掲載予定の「ベルヌーイ数とベルヌーイ多項式」で「あまり数学の本ではベルヌーイ数とべき乗和を扱ったものを見たことがなかった」と書いたが、今朝、起きてから「特殊関数の母関数の求め方が説明されていないか」と高木貞治の『解析概論』(岩波書店)をひっぱりだしてみたら、この導出法は見つからなかった。
しかし、なんと第5章「解析関数」p.233-234にちゃんと「自然数のべき和 ベルヌーイの多項式」という項があった。
その前のページにはベルヌーイ数についての記述もある。第5章はあまり読まなかったことは事実だけれど、それでももしか十分に注意深ければ、すでにここで出会っていたのだ。
もっとも、この本を読んだ学生のときには自然数のべき乗和など関心が全くなかったから、この箇所を読んでいても頭に残らなかったであろう。それにしても一度ならず二度、三度とミスをするとは恥ずかしいことである(注)。
はたして、ここのところ書き換えるべきか、それともそのままにして自分の不勉強さの証を残しておくべきか。私はどちらかといえば、後者を選びたいと思っている。
(注)『数学散歩』(国土社)に立体角について書いたとき、「立体角の定義を微分積分の本で読んだことがないと書こうとして、念のために『解析概論』を開いたら、p.383にちゃんと定義があった」と書いたのに続いた失敗である。いかに本を粗雑にしか読んでいないという証拠である。
『解析概論』のべき乗和とベルヌーイ多項式とかベルヌーイ数の記述を解読するという仕事が私にできた。