SSブログ

初心(2) [中庸]

ここ数年は元旦の夜になると、毎年のように初夢はどうなるのかと意識するようになりました。
今回はわりと鮮明でしたが、短くて意味がよくわからないものでした。
例の如く私はいい気になって中国の人たちの企画に参加して、昼間の光が天井から差し込む明るくて広いホールの舞台の上で歌を歌うという設定になっていました。
私は3番目でそろそろ順番が来るので、前の人が終わるのを舞台の左後ろで、列に紛れて待っていました。
舞台は象牙色の木製で横に長く、客席よりの真ん中になぜか醤油入れのような四角い陶器が置いてあって、中に水が入っているということをなぜか知っていて、歌い終えたらそれを次の人に渡すことになっていました。
ところがどうしたことか、前の人が歌い終えたとき、周りの人たちがその四角い陶器を指し示し、そのうちの一人が持って私のところに来て、
「これ、1番の人が渡すんですよ」
と言ったのです。
私は少し困惑して、
「えっ、1番?」
「いまさら?」
「もう関係ないじゃん?」
と心の中で呟いて夢が閉じました。

もちろん夢なので、支離滅裂です。
これが何を意味するのかは後で考えることにして、正月なのでいつものように初心に帰るべく自分の活動を確かめようと思います。
もう一つの理由として、今回初めてここに訪れる人たちが何人かいると想像できるからです。
なので、もう何度も聞いたという人はスルーしてください。

〔本題〕
かなり昔のこと、学生の頃だったか、幼少の頃からの友人が漏らした一言をふと思い出しました。(一度言ったかどうか?)

【哲学者の行きつくところは、見かけの行動は素朴な人間と変わらないんだってさ】
【でも、それまでの過程があるかないかが肝心で大違いなんだって】

もっとも友人はある哲学者の表面的な言葉を再生しただけで、本当の意味を身に染みて知ったわけではないはずです。

と言うのも、これは哲学を実践している人が体感することであって、理論ではないからです。
しかもこれは、なぜわざわざこの世に生まれてきて地上経験をするのかというスピリチュアリズムにも通じるからです。

あるいきさつで、私のプロフィールのところに〈死ぬまで少年〉とあるのを見て面白がる若者が何人か現れました。
彼らに対して私は、
少年というのは肉体のことじゃなくて、純粋無垢でいるということ、いわゆるクソ真面目だということ。
そしてそれが「人間が生きる」ことだということ。
「生きる」と「生活」は違うんだということ。
またそのために方便として学業や芸術が必要なんだ(生活には無駄だが人間が生きるには必要)。
と伝えました。

ここで理解のない人は「少年みたいな行動」を「幼稚」とはき違えます。
しかしこれはむしろ逆です。
小学校教師のいじめの動画が流れたことは記憶に新しいと思いますが、大人になって少年でいられない人が(ご立派な人間になろうとすることに疲れて)そういう幼稚な行動に走るのです。
実は私が専任教師時代にも、それに近い思考回路の人が何人もいました。
「いい時代」はそうではなかった人たちが、雰囲気が悪くなってくると、追い詰められて周囲の者にはけ口を求め、獲物を見つけては数人でその人を吊るし上げたりピントのずれた非生産的なネタで攻撃したりして、「今日はこのぐらいにしておこう」と言って自身の溜飲を下げるのです。
それは損得抜きの自己完結する自分の世界(必要無駄)がないからです。
自分のやっていることすら見えなくなってしまうのです。
〔そういう人は死んでも幽界の下層に留まり永遠に同じことを繰り返します。霊的に向上しません。なので、地上時代が肝心なのです〕
方便としての必要無駄は、損得勘定の渦に巻き込まれずに一歩引いて冷静に見るためでもあります。

誰でも子供の頃は純粋無垢です。
ところが大人になるに従って擦れてきます。
ともすればそのまま自己保身だけの「地上の住人」になってしまいます。
それでは霊的に言って人生経験の意味はほとんどないに等しいわけで、なんとか「地上の旅人」でいられるようにしなければなりません。
それは大人になっても純粋無垢を保つことができるかどうかにかかっています。

最初に戻ります。
田舎の素朴な人間と都会の素朴な人間は、見かけは同じでも過程が違います。
山奥で観想的生活をするのではなく、都会の喧騒の中で道を行くのが本物なのです。
親鸞会流に言えば、「渋柿が熟して樽柿」になるのです。
スピリチュアル的に言えば、「愛」を学び、あるいは「愛」を一層強固なものにするために汚れた地上に生まれてくるというわけです。
なお、世間ではいまだに哲学に対する偏見が強いようで、「思想」と混同している人がたくさんいます。
くどいようですが、哲学は「道」です。
先頭で友人が言った哲学者とは求道者のことです。

私の活動がどういうものか多少なりとも解っていただけたと思います。
難解なことではありません。
単純なことです。

nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。