何とも、不思議な作品だった。
全米で、一位を長くキープした人気作品というのをアマゾンの書評で見て、選んだのだが、
なるほどと思った。
父親の家庭内暴力で、母が逃げ、上の兄弟も皆逃げて、たった一人残された6歳の女の子が、
一人、沼で生活をしながら、生き抜く、悲惨な姿が描かれる。
同時進行で、何年かのちに、ある女たらしの青年が、火の見やぐらから落下して死亡した
のが、事故か、殺人か保安官たちに調査される。
そして、その二つの物語が、結びついていく。女の子は、その死んだ青年に捨てられたのだ。
それを恨みに思って、火の見やぐらから突き落としたのではないかと、確かな証拠もない中で、
「沼で住む少女」という偏見もあり、逮捕され、殺人罪で裁判にかけられる。
この著者は、動物学者で、70歳に初めて書いた小説とのことだが、その自然の描写や、
動植物の描写が卓越している。だが、それだけでなく、裁判シーンも、素晴らしい。
もちろん、ミステリーとしても一級だ。
何度も、涙が出てきてしまうほどの感動も感じた。
久しぶりに読んだ、感動の傑作と言えるのではないかと思う。