ミステリーな森の生活

洋書ミステリー、英語学習、洋画レビューなどから始めましたが、今は、種々雑多(山岳小説、落語など)です。

WHERE THE CRAWDADS SING(DELIA OWENS)

2020年08月08日 | 海外ミステリー(洋書)

何とも、不思議な作品だった。

全米で、一位を長くキープした人気作品というのをアマゾンの書評で見て、選んだのだが、
なるほどと思った。

父親の家庭内暴力で、母が逃げ、上の兄弟も皆逃げて、たった一人残された6歳の女の子が、
一人、沼で生活をしながら、生き抜く、悲惨な姿が描かれる。

同時進行で、何年かのちに、ある女たらしの青年が、火の見やぐらから落下して死亡した
のが、事故か、殺人か保安官たちに調査される。

そして、その二つの物語が、結びついていく。女の子は、その死んだ青年に捨てられたのだ。
それを恨みに思って、火の見やぐらから突き落としたのではないかと、確かな証拠もない中で、
「沼で住む少女」という偏見もあり、逮捕され、殺人罪で裁判にかけられる。

この著者は、動物学者で、70歳に初めて書いた小説とのことだが、その自然の描写や、
動植物の描写が卓越している。だが、それだけでなく、裁判シーンも、素晴らしい。
もちろん、ミステリーとしても一級だ。

何度も、涙が出てきてしまうほどの感動も感じた。

久しぶりに読んだ、感動の傑作と言えるのではないかと思う。


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