『緒形拳からの手紙』(監修 小池邦夫、文化出版局) | 近鉄八尾駅前にある鍼灸整骨院 東洋医学の事なら、いど鍼灸整骨院。

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鍼灸師だから…、という訳でもないのですが藤枝梅安を演じた緒形拳さんは大好きな俳優の一人です。

 

今日はその緒形拳さんの手紙に書かれた(描かれた)書や絵、そして語ったことをまとめた本を紹介します。

 

 

 

『緒形拳からの手紙』 (監修:小池邦夫、文化出版局)

緒形拳からの手紙 緒形拳からの手紙
1,760円
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以前、40年間に亘って日本人の美意識をテーマに、読み応えのある記事と見応えのある写真で読者を魅了し続けてきた季刊誌『銀花』について少し触れました。(『“手”をめぐる四百字』)

 

『銀花』は昭和45年(1970)年に創刊、平成22年(2010)に第161号をもって休刊した季刊誌なのですが、緒形さんはこの雑誌の愛読者で、創刊号からすべて大切に所蔵していました。

 

さらに、この雑誌の愛読者カードに絵や書を書いて編集部に送っていたのです。それに気がついた編集部では、驚き、喜び、そして誇りに思い、その一枚一枚を大切に、ひそかな宝物としていたそうです。

 

 

 

ある行き違いの後、編集長・萩原薫さんに届いた読者カード(左)

拳さんのダンディズムと優しさ、誠実さが感じられます。

 

 

 

本書の監修者で手紙作家の小池邦夫さんと緒形さんは、会ったことはあるが話をしたことはなく、手紙のやり取りだけの付き合いだったといいます。

その小池さんのもとには、「前略」も「拝啓」も時候の挨拶も省かれた、直球のような一枚が、折々に送られてきました。

そして、愛する家族には、てらいのない、素顔のままのつぶやきが……。

 

生前、書の展覧会も催し、〝墨童〟と自らを称した稀代の俳優から届けられた肉声を編集・紹介したのが本書です。

 

目次は、次のとおりです。 

 

その1 粗末な紙に記された、宝石手紙
     ――季刊「銀花」に寄せられた愛読者カード
 緒形拳・ひとり語り
 座辺師友/人皆直行 我独横行/不羨富 不憂貧/今日感会/巴里の屋根の下/つくばい/始めたら続けよう/輾転反側/大半生涯在釣舟
 “天心無心”でかかれた一枚 小池邦夫


その2 馴れ合わなかった、交流
     ――手紙作家、小池邦夫さんに送り続けた短い手紙
 こぶしの書 小池邦夫


その3 知られざる、拳さんの素顔
     ――家族に届けた、柔らかな心
 “人間書道”の一生 小池邦夫


あとがきにかえて
 三回忌を迎えて 緒形典江

 

 

この本には、緒形さんの素敵な書や絵が収録されているのですが、それらはぜひ本書を手に取ってご覧いただくとして、つぎに『銀花』に4回にわたって連載されたロングインタビュー「墨童・緒形拳ひとりがたり」から再録された文章をいくつか紹介したいと思います。

 

◎僕は一生、読めない字は書かないと決めています。

 

◎〝座辺師友〟って言葉が、あるんですね。身の回りにあるものが友であり、師であると。それから触発されるようなもの

 

◎子供らにしつけたのはね、僕が自分でいいと思ったものを、じっと見ろって言ってたんです。五分間じっと見ろ、感じろって。物をね、じっと見るようになるといいと思いますよ。人間でも何でも、じっと見ると見え方が違ってくる。

 

◎いっつも、二者択一だと思うんですよ、人間ってね。どっちをとるか。こっちはわかりやすくて、電気もついていて、遠くもよく見える。だけどこっちのほうはぐしゃぐしゃで、ぬかるみで、なんだかわけがわからない──すると、わけがわからなくておもしろそうだなあって、そっちのほうへ行っちゃう癖があるんですね。

 

◎気魄だったり、こだわりだったり、墨との闘いだったりするわけですけれど、貫きたいのは、卑しくなりたくないってことなんです。言葉にするのは難しいんですけど。

 

◎この壺に書いた「今日感會」って言葉、すごく好きなんです。今日、会ったことを大事にしようという、ほんとうはもう少し長くて、「今日感會 今日臨終」。今日会って、お互いにとてもよかったが、明日はもうないかもしれないっていうんですね。一期一会と似てるんですが、一期一会はつかわれすぎてますし、元々は厳しい言葉なんですけど。

 

◎つくばいっていう形が好きなんですね。俺たちは仕事をやらないときはつくばっていると思うんです。そうしてないと飛び上れないですから。

 

◎一所懸命書くから、一所懸命って言葉は嫌いなんですね。そんなことあたりまえじゃないかっって。本気な人には本気で関わる。だから書にしたりはしない。

 

◎小さいことをロシア語で、マーリンカヤっていうんですね。その語感がすごくいい。世界地図見ると、日本って、すごく小さい、しかしってなもんですよ。小さいところ住んでても、できるだけ、でっかく生きてみたいって思うんですよね。

 

そして、中でも印象的だったのがこれ。

 

◎死ぬってことはね、残った人の中で生きるってことなんですよ。僕の中で生きるってことなんですよ。

 

〝墨童〟緒形拳さん…本気で生きてこられたんだなぁと感じる一冊、あの奥の深い笑顔のわけがわかるような気がします。

 

ぜひご一読ください。

 

 

 

先日紹介した『“手”をめぐる四百字』の中の原稿

 

 

 

…メールの文字は何かが伝わらない…そう感じるのは私だけでしょうか。

 

 

 

絵手紙に興味のある方は下記の本もおすすめします。

『芸術家・文士の絵手紙』(小池邦夫 編、二玄社)…洋画家、日本画家、陶芸家、彫刻家、版画家、小説家、詩人、歌人など四十八人の絵手紙が載っています。中でも、夏目漱石の寺田寅彦宛ての絵手紙はぜひ!

『棟方志功の絵手紙』(小池邦夫・石井頼子 共編、二玄社)…これはもう素晴らしいの一言!

 

 

 

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