今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

ローライフレックス2.8Fのメンテナンスの巻

2024年04月25日 09時00分00秒 | ブログ

基本的に二眼レフはUPしませんが、しばらく作業が続きそうですのでUP間隔が開くと思います。ローライフレックスの象徴的なモデル2.8Fを作業していますので簡単にUPします。さすがに完成形の貫禄で迫力がありますね。裏蓋の四つ脚がギッタンバッコンになっていますが、原因はおそらく合わない三脚座に強引に締め付けたために中央部分が盛り上がってしまったもの。ではないかと思います。に隙間が空いてしまいます。これを修正していきます。

次の不良個所は露出計が作動しないこと。メーター単体をテスターで調べると生きています。では、セレンを分離して調べます。

 

起電力の良否は分かりませんが、起電はしています。では、回路を点検して修理していきます。

 

感度は低めですが作動はするようになりました。

 

 

次の問題は巻き上げが完全に異常の状態に重いです。巻き上げ系は過去に分解を受けていますが、なんでここにウェーブワッシャーが入っているの ?  組み間違いのうえに大量のグリスを塗布されています。

クラッチ部分を脱脂洗浄をして組みます。

 

 

正しく組み直しました。

 

 

の他、レンズとシャッターのメンテナンスをしておきます。

 

 

その他、フィルムを装填しオートマットの作動などを確認して終了です。

 

 

トミーのリペイント (tomys800.sakura.ne.jp)

 

 


ミノルタrepoのメンテナンスの巻

2024年04月22日 09時00分00秒 | ブログ

ミノルタのレポのメンテナンスをします。過去にメンテナンスを受けていて、モルトも貼り替えられていますがモルトが厚くて裏蓋が開かない状態ですので完全に清掃の上交換します。また、裏蓋の蝶番部分の劣化したモルトが悪さをして塗装を変質させ鉄材を激しく腐食させていたものをナイフのようなもので削り取った形跡があります。

「なるべくきれいにして」とのご希望ですので補修塗装をすることにします。但し、シボ革が貼ってあるので焼付塗装は出来ないので通常塗料で塗ります。

 

補修塗装も素材の研磨、マスキング、塗装と工程がありますので意外に工数が掛かります。本体はモルトの交換をしています。

 

レポのシボ革の糊はあまり良くありません。裏蓋は殆どはがれかかっています。補修接着をしておきます。

 

セレンは不良のものが多いですが、この個体の場合は元気です。同時期に生産されたセレンでも、ダウンしているものもあって、良否の違いは何が影響しているのでしょう? ファインダーの清掃をしておきます。

シチズン製のLシャッターをメンテナンスしておきます。レポのプログラムシャッターは他のシャッターと違い、同じEV値のとき高速側のシャッターが切れるようにプログラムされていて手ブレを防止しています。

レンズの状態も良好で良いコンデションのレポになりました。

 

 

トミーのリペイント (tomys800.sakura.ne.jp)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


DD13のメンテナンスの巻

2024年04月20日 09時00分00秒 | ブログ

DD13ですが走行が少し重い感じもあるのでギヤボックスのメンテナンスをしておきます。モーターとギヤボックスをジョインとしているゴムチューブが硬化して滑りが出ているのでシリコンチューブに交換をしておきます。

ギヤボックスのカバーを外します。車軸に繊維が絡みついているので洗浄をします。

 

意外に内部はきれいでギヤや軸の摩耗も軽微です。洗浄をして新しいグリスを詰めておきます。

 

逆側の台車も同じようにメンテナンスをしておきます。

 

 

組立を終了して作動テストと調整をしていきます。

 

 

古い設計のモデルのため、現代のモデルのようにフライホイールなども装備していませんのでスムーズな発進というわけには行きませんが、走りだせば安定した走行を見せました。次回の運転会ではヤードの貨車入れ替え作業をします。

 

トミーのリペイント (tomys800.sakura.ne.jp)

 

 

 

 


溶剤だめよローライ35Bの巻

2024年04月18日 19時00分00秒 | ブログ

通常のメンテナンスなのでUP予定はなかったローライ35Bですが、厄介なことになっていたので画像少なめですが書きますね。ドイツ製の個体で外観は良いのですがレンズにカビが多く、それもかなり古いカビです。観察すると各レンズ面にカビがあることが分かります。

沈胴本体からシャッターユニットを分離します。かなりホコリの混入があってスプリングにも錆が出ています。この後、シャッターを分解してレンズを清掃しましたが画像がありません。

 

ファインダーの汚れも目立ちます。フレーム枠を分離してレンズを清掃します。

 

巻き上げレバーアテが欠落していましたので取り付けておきます。

 

 

清掃をしたシャッターユニットを本体に取り付けて無限調整をします。

 

 

ピントリングを清掃して取り付けようとしましたが・・あれ、距離の文字が消えていて樹脂も溶けています。これはローライ35系を良く知らない方の仕業で、このリングの正確な樹脂名は知りませんが、非常に溶剤に弱いのです。おそらく、赤のft表示を消したかったのでしょう。シンナーで拭いたら、あらら、樹脂が溶けてしまって慌てて止めたということでしょう。余計なことはしなくてよろしい。

通常、材質が真鍮(金属)の場合、彫刻機で彫った文字の溝に塗料を入れて文字を浮き上がらせるのですが、このモデルはホットスタンプのような製法で文字を印刷しているため、彫刻機で彫ったような深い溝はなく、そこに塗料を入れることは殆ど無理なのです。

距離表示が無いのは商品としては困るので、なんとか判読できる程度にしておきます。また、溶けた樹脂表面が光っているので水研ぎをして艶を消しておきます。

 

ローライ35や35Bのこの部分は溶剤厳禁ですよ。(35Sは大丈夫です) 思わぬ苦労のローライ35Bでした。

 

トミーのリペイント (tomys800.sakura.ne.jp)

 

 

 


分解歴あり2台のPEN-Fの巻

2024年04月13日 10時00分00秒 | ブログ

2台のPEN-Fが来ましたけど、どちらも分解歴があると分かるネジ頭の痛みが目立ちます。特にこの#2632XX(1966年3月製)はアンダーカバーのネジが両方ともコンパクト系PENのトップカバー横に使われているような頭が盛り上がった化粧ネジです。レリーズボタンが固着してシャッターが切れません。

トップ面に目立つ打痕があって修正ご希望ですが、鋭角の硬いものが当たったようですので修正は難しいです。

 

当たった部分は材料が陥没していますので修正は出来ません。目立たなくする程度です。

 

PEN-Fはとにかく古いので各部の潤滑はカラカラの状態が普通です。本体を洗浄後モルト貼りや洗浄した巻き上げ系部品を組み立てて行きます。

 

作業の脇でそろそろ来月の運転会で走らせる車両を準備しなくてはいけません。今回は戦時中に地元「青梅線」の前進「奥多摩電気鉄道」によって発注された「東芝製40t標準電気機関車」(ED2911)とディーゼル機関車DD13を走らせる予定です。物資の乏しい戦時仕様の凸型電機は私にとって魅力的なのです。

シャッターユニットのメンテナンスをしています。問題のブレーキが利いていない。ブレーキのナット部分を観察すると過去に分解されています。緩み止めのポンチが強く打たれていてナットが変形し分離できない状態です。

ブレーキのOリングを確認してみると・・あぁ、Oリングが削られています。Oリングが接触しているOリングホルダーは激しく錆びて膨張しますが、するとOリングが持ち上げられてブレーキが利き過ぎる状態になります。それをキャンセルするためにOリングを削ってしまうというのが定番の対策らしいです。(私はしません)

Oリングホルダーとナットの変形を修正して研磨をしたところ。新しいOリングを調整して組み立てます。

 

ブレーキを組み込んだところ。ナットに緩み止めのポンチを打ちます。

 

 

すみません。地元の病院に健康診断に行ってましてUPが出来ませんでした。PEN-FとPEN-FTではフレネルレンズ部分の設計が異なります。PEN-Fはフレネルの後ろのプリズムがピント面(PEN-FTはフレネルの後ろ面)です。表面に細かな傷が多く、傷の中に汚れが入って清掃出来ずファインダーから見えます。

プリズムに1点黒い腐食がありますがFとしては良い方です。古いモルトカスなどを清掃して組み立てます。

 

全反射ミラーは使えない状態ではありませんが、反射率は低下していますので「10年使えるようにして」とのご依頼なので新品と交換することにします。

 

これは2台目の#2640XXで1台目よりシリアルは少し後ですが、製造は1966年1月と2ヵ月早いようです。シリアル№はある範囲で前後するのは珍しくありません。で、巻き戻しダイヤルを引き上げても裏蓋ラッチが完全に上昇しない。

これはラッチの強度不足で、強く巻き戻しダイヤルを引き上げるとラッチが上方に曲がってしまい正規のストロークを取れなくなってしまうもの。画像は正規の90度に修正してあります。

では、後は同じですので・・本体を組み立てて行きます。

 

 

ブレーキは僅かには利いていましたがやり直します。オーリングホルダーの状態は良い方です。ほとんどの個体はフランジ内は完全に錆びているのが普通ですが、この個体は錆びている部分は少ないです。

ブレーキを調整して組み込んだところ。しかし、未整備でフリクションの大きいレンズを絞り最大で1秒を切ると稀にミラーUPしてしまう現象あり。

 

出来るだけ工場で調整をされたシャッターバネのテンションはいじりたくないのですが、メカのフリクションを低減しての場合は仕方がありません。テンションを1段上げます。

 

光学系を組み立てて行きます。過去に分解された個体でのマスクの位置が間違ってフレネルの後ろに組まれているものを見ます。正規はこの位置です。

 

前板関係を組み立てて本体に取り付けます。

 

 

こちらも全反射ミラーは新品と交換しました。メカの組み立て終了。

 

 

ヒンジ部のモルトが悪さをして裏蓋を錆びさせているものがあります。錆びを除去してタッチアップしておきます。

 

オーナーさんは余程PEN-Fがお好きなのでしょう。2台のPEN-F は完成しました。

 

トミーのリペイント (tomys800.sakura.ne.jp)