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カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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精工舎モリス型2題の巻

2018年12月05日 19時20分32秒 | ブログ

う~ん、こういうの自分の所有機なら嫌いではないのですが、工賃を頂いての作業となると「止めましょうよ」と言いたくなっちゃうんですよね。精工舎のモリス型は9型が多いように思いますけど、この個体は一回り大きめの10型になるようです。文字盤にのマークがありますので、すわ戦中に旧帝国海軍で使われた個体かな? と思われますけど、現在では現存する部品を組み合わせてある個体の方が多いですから簡単に信用は出来ません。そもそも、ケースの裏蓋に鶴のマークがありますので、戦後すぐの10型用ケースではないかと思いますけどね。あまり知識はありませんので断定的なことは言えません。

この手の時計で問題は、まず間違いなく天真が摩耗していることです。時計旋盤によって天真を作り出すスキルが無い私としては、ここで摘んでしまうのです。また、耐震装置の無い受け石は、何度も注油によってネジがバカになっているものが多く、一度開けたら最後みたいな場合が多いのです。この個体も・・まぁ、9型に比べて若干大きい分、組立は楽ではありますが。

8型、9型、10型と同じでデザインの設計ですから画像にすると差が分かりません。受けにSEIKOSHAと入っていますので、戦後の個体ではないかと思います。(戦前はSKS)ガンギまでの輪列はホゾ穴の拡大はありますが、まぁまぁです。

 

天真が摩耗していて、画像の姿勢ですと天輪と地板のクリアランスが僅かです。モリス型の天真を製作している方はいないのかな?

 

日ノ裏側。小鉄車にガタがあります。

 

 

文字盤と針を付けますよ。スモールセコンド機の場合、短針と秒針が接触しないような位置関係を微調整しないと6時30分で衝突して時計が止まります。

 

私のところに来るこの時代の時計は決まって機械留めネジが無くなっています。このネジは代用品が無いので、私も手持ちのジャンクから調達していますが、調達出来る数も限られていますので困っています。後年のスーパーとはネジ径が異なり使えません。

文字盤は本物と思いますが、その他は寄せ集めて作られた個体ではないでしょうかね? 私も9型の旧軍用文字盤を探していますが、見つけても高価になるので入手が出来ません。で、左のパリス環式ケースの南京虫は意外にきれいですよ。

 

 

1円玉が直径20mmで、機械はそれより小さく実測19.24mmでした。8型になるのでしょうか? このサイズの組立は苦手です。

香箱のサイズはこんなもの。小さいでしょ。ゼンマイの先端が変形をしていて香箱真に掛かりません。

 

すべて洗浄したら地板が白くなりましたよ。組立は↑の方と一緒ですけど機械台の幅の違いに注意。

 

この個体は、消耗する前に使用を止めて仕舞い込まれていたようで、後年の分解歴や天真も極端な摩耗が無いようです。これは掘り出し物かも?

 

筒カナが強く締められていて、長期に摺動されていなかったこともあって固着気味で運針が出来ない状態でした。注油とエージングで解決しました。

 

ホーローの文字盤は白さも失われずきれいな状態を維持しています。ブルースチールは秒針は錆が出ていますが、長短針はきれいなブルーが残っていますので、このまま使用します。

 

SKSと打刻されていますから精工舎純正のケースです。しかし、それにしては年代を感じないきれいな状態ですね。

 

ケースの厚みの差もありますけど、10型とはずいぶん大きさが違いますね。特に女持ち(婦人用)というわけでもないようですけど、腕時計以前は懐中時計だったことを考えると、ちょっと小さ過ぎやしませんかね。

 

リューズ込みで直径23mmです。現在、パリス環式用のベルトは入手できるのでしょうか?

http://www.tomys800.sakura.ne.jp/


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