牧野邦昭『経済学者たちの日米開戦:秋丸機関「幻の報告書」の謎を解く』 | (元)無気力東大院生の不労生活

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勤労意欲がなく、東京大学の大学院に逃げ込んだ無気力な人間の記録。
学費を捻出するために、不労所得を確保することに奮闘中。
でした。

 牧野邦昭『経済学者たちの日米開戦:秋丸機関「幻の報告書」の謎を解く』を読了。

 

 秋丸機関の「幻の報告書」自体は、当時その機関に関わった者たちが発表した文書などで公開されていた内容を越えるものではない。この点ついての謎の解明は本書でも早々に行われている。本書の核心は、なぜ秋丸機関の報告書をはじめとして、日米間で戦争遂行能力に大きな差があることが明らかとされていながら、開戦に踏み切ったのかという謎の解明の方にある。これを歴史学と行動経済学の知見から説明してみせたところが、本書の卓見だ。