わかったよ

 

なんで俺が紗絵子さんを思うのを止めなかったのか

 

怖かったんだ

 

紗絵子さんを思っていた自分と

 

さよならするのが

 

頭の中をいっぱいに満たしていたものを手放して

 

空っぽになるのが怖かったんだ

 

 

とっくに失恋してた

 

とっくの昔に失恋してたよ

 

それでも

 

離れらんなかったんだ

 

自分が

 

自分から

 

もうずっと前

 

あの雪の夜から

 

紗絵子さんはファンタジーで

 

でもそれが俺のすべてで

 

ただその物語を続けるために

 

恋をしていたんだ

 

ずっと一人で

 

それはただ

 

俺のために

 

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気付いたんだよ

 

どんなに好きでも

 

どんなに欲しくても

 

紗絵子さんは手に入らない

 

その寂しさとか 悔しさとか

 

そういうものを受け止めることから

 

俺ずっと逃げてたんだと思う

 

痛いよね こんな男

 

だから認める

 

俺さ 本当に紗絵子さんが好きなんだ

 

だからここで終わらせて

 

完成させる

 

この恋を

 

滅びの瞬間を 見届けるってことかな

 

それでやっと完成するんだ

 

俺の片想いがね