評価 (3点/5点満点)
千田琢哉さんの最新刊は、「一流の人たちはなぜ、人前で努力や準備を見せないのか?」という問いに向き合い、実際に他人の見ていない時にやっていることを語ります。
この問いは結構、巷にあふれていますが、本書は答えがほかとは違います。
「他人の見ていない時にやるのは、そのほうが邪魔されないから」
つまり他人のためにやるのではなく、あくまで自分のためにやって最終的に結果を出すということ。
また、本気で一流の結果を出すためには、ただ闇雲に努力することだけを考えるのではなく、マイナス要因を徹底排除して努力が報われやすい環境を構築するほうが大切なんですよね。
秘密の特訓をしている自分を好きになり、快感を覚え、本物の自信がみなぎってくる。おもてでは涼しい顔をして結果を出し続けている一流の人は、確実にうらで正しい方向での努力をしています。
【my pick-up】
◎人前で誰でもできる仕事をしない
特に誰でもできる仕事をやっている姿を人に見せてはいけない。そういう姿を見ると周囲はあなたのことを凡人であると見なすし、あなたもそう扱われているうちに気づいたら凡人になっている。
出張精算や雑用は極力誰もいない時間帯や場所でさっさと処理してしまい、人前ではクリエイティブな仕事ばかりをしていた。そうすると周囲が私を見る目は変わり、次第に先輩社員や上司から雑用を与えられなくなるし、同僚からも一目置かれるようになる。
部長クラスで誰でもできる仕事をせっせとやっていると自然に自分と同格と思えてこないだろうか。中小企業なら社長が誰でもできる仕事を不器用にやっている姿を社員たちに見せてしまうことで、すっかり威厳がなくなってしまうのだ。
特に何かひとつに秀でているものの、全体としては不器用な人はこの生き方で出世が望める。
◎仕事に〝友だち〟は要らない。
少なくとも「永遠の仲間」を仕事上では求めるべきではなく、人間関係にはすべて賞味期限があると割り切るべきである。何やらとても冷たいことを述べているようだが、そう考えることであなたは必ず一歩前に踏み出せるようになるのだ。
勘違いしてはならないが賞味期限は相手にだけあるのではなく、あなたにも賞味期限があるという事実だ。通常は仕事上のスキルにおいて自分と相手の格差が、宇宙の拡張現象の如く広がり続けている事実を、どちらか一方が気づいた瞬間が賞味期限である。
格下は嫉妬して足を引っ張るようになり、格上はそれを阻止しようと格下を左遷する闘いが我々人類の歴史のパターンである。畢竟、人は誰もが孤独である。プロは孤独を受容し、孤独をこよなく愛するものだ。
◎結局、人の価値は「出口」より「入口」で決まる。
公務員でもキャリア組とノンキャリア組はそもそも「入口」がまるで違う。由緒正しい大企業でも総合職と一般職はそもそも「入口」がまるで違う。いずれも両者は似ていないのはもちろんのこと、何ら接点すらない。むしろ対極である。なぜ「入口」がそこまで大切なのか。それは「入口」を獲得するのはそれだけ難易度が高いからである。
一流企業の就職活動では「入学大学」が重要視されるのは、生まれてから18歳までのその人の生き様をいちばんわかりやすく顕在化した象徴だからである。綺麗事を抜きにすると採用担当者は時間を割く価値のない相手と会いたくないのだ。
人生の勝負の土俵で報われるためには、「入口」を華麗に決めておくことが必須だ。一度の人生で花開きたければ、「入口」から勝ち組に入れる土俵で勝負しよう。