評価 (3点/5点満点)
経営手法・フレームワークを丸暗記する必要はありませんが、「そういったものがある」ことは知っている方が効率的ですよね。
しかし企業で使われる経営手法・フレームワークは、使い方によって両刃の剣であり、誤った使われ方によって意思決定が歪むこともあります。また、作成者の主観や意志が入り込んでいることを知らずに意思決定していると、大きなミスをしてしまうこともあります。
そんな、「正しさ」と「危うさ」が共存している経営手法・フレームワークを本書では解説しています。
フレームワークの限界や客観性の欠如(作成者の意図が潜り込んでいる)に触れ、近時のフレームワーク偏重のビジネス対応に一石を投じる内容です。
【my pick-up】
◎SWOT分析-やりたい人の主観を、客観的に見せるためのフレームワーク
SWOT分析の落とし穴は「主語のないSWOT分析は作れない」「強みは弱み、機械は脅威と裏腹」である。
実際にはやりたい戦略が先にあって、上司やトップ・マネジメントを説得するために作られるのがSWOT分析である。ソニーの場合、ゲーム機の時とパソコンの時では、全く異なるSWOT分析が行われるのであり、主語のない「ソニーのSWOT分析」というものは、存在しないのである。
セブン銀行のATM網は、現在は強みであるが、もし日本のキャッシュレス化がスウェーデンや韓国並みに進めば、現金を引き出す機械としては、持つことが弱みになってしまうかも知れない。また、日本の銀行にとって、フィンテックの到来は、一般には脅威ととらえられている。銀行の既存事業が侵されているからである。しかしながら、フィンテックの契機に、銀行が今までリーチしにくかった顧客層にアプローチできるようにもなってきた。このように機会と脅威、強みと弱みは裏腹の関係にあり、絶対的なモノサシはないのである。