さいふうさいブログ

けんちくのこと、日々のこと、いろんなこと。長野県の建築設計事務所 栖風采プランニングのブログです。

出会いは突然に~新人スタッフが入ります☆

2019年11月17日 | こんな設計事務所です(^^)

ちょうど2ヶ月程前になりますが

栖風采プランニングのスタッフ募集に一人男性から応募がありました。

 

今すぐスタッフが必要、という訳ではなかったのですが

事務所の将来を考えて、いい人がいればいいなと思い、

栖風采のホームページにはリクルートページを用意してありました。

 

ここ1~2年前くらいから、

実は、私も主人も、肉体的な衰えを感じ始めておりまして、

このまま二人だけで仕事(デザインビルド)を進めていくのには、将来的に少し不安もあったところ。

まだ我々の体が動くうちにスタッフを入れて

仕事を教えて、後継者とまではいかなくても

事業の継続を願う年頃になってきました。

(我々はアラフィフ)

  

スタッフの応募には、毎年1~2名くらいは来るのですが、

なかなか、私の希望に叶うような人はおらず

そうやって結局、選り好みばかりして、

応募あっても採用しない事が何年も続いていました。

 

今回の応募者もまたどうせそうなるだろうと思いながら

いつも通り最初の返答には

少々厳しい物の言い方で、スタッフ応募する覚悟を問う返事をしました。

要するに、あなたにはウチは相応しくない、と、暗にお断りの返事をしたのです。

  

普通の人ならば、だいたいそこで引き下がる事が多いのですが、

今回は少し違いました。。。

 

冷たく突き放す様なお断りのお返事をしたのにも関わらず

むしろ志望動機(ラブレター)を更に綴ってくるではありませんか。

 

(あれ?)

   

そして一番ネックとなるお給料にも 従う という返事。

 

(え? 見習い程度のお給料なのに、その年齢で、現行の給与よりも下がるのに、本当にそれでいいの? )

 

あと、唯一条件として合わなかったのは 県外者 だったこと。。。

県外者となれば、わざわざ長野県へ移住してこなければなりません。。。

そこまでして、ウチの事務所の門を叩く価値はあるのか?

一人の人生を掛けさせるだけのものが、ウチにあるのかが、そもそも私には自信が無い・・・

  

しかも彼はアラフォー。

建築業界に12年程、既に身を置いていて、

職歴は建設(大手ゼネコン)と設計(建築家系)と両方経験有り。

建築家系の事務所に在籍している(いた)彼ですが

そこを辞めてまで、何故ウチに転職したいわけ?

学歴、職歴を通してみても、古民家など伝統建築に全く縁がない様子でしたし、どうして?!

 

志望動機には、一応、それなりの事が綴られておりましたけど

他にも色々と気になるところがあったので、

メールで聞くよりも、会って聞いた方が早いや、となりまして

取りあえず面会をしてみる事にしました。はい。

  

 

彼の第一印象は、

とても真面目そうで、細身の体付きからみれば、設計事務職っぽい雰囲気そのもの。

あと、物腰と表情が穏やか。実直な雰囲気。

よく、設計屋ってその見た目や雰囲気だけで現場職人さん達から嫌われがちなんですが、

そんな感じは多分、なさそう。

 

面会では、私の気になるところ(特に経歴)を一通り質問し、

実績図面を沢山見せてもらいました。

これだけで3時間くらい時間を要したのですが

現場に居るうちの旦那にも会ってもらいたくて、

日も暮れかけた頃、更に現場まで彼を連れて行きました。

佐久の古民家再生現場を見てもらい、その反応を見ながら

彼の木造の基礎知識、古民家の知識をさり気なく探り

面接が終わったのは夜の9時頃だったかな

 

 

この面会の意味には、

もちろん相手の事を知る目的もあるのですけど、

逆に

相手にウチの事務所の状況を知って貰う目的もあります。

 

ウチのような夫婦で個人事務所を営んでいるようなところ、

ハッキリ言って、まともなわけがありません。

そんなところに、それなりの経歴の持ち主が門を叩くなんて普通じゃない!

 

なので、

ウチが決して良好な仕事環境ではないことを知ってもらいたくて

海野宿の事務所&屋敷の全てをお見せし、

更に、今やっている現場も見てもらい

悪い部分(と私は思ってる部分)を曝け出し、それでもウチで本当にいいのかどうか

彼に見てもらいたかったのです。

そうすれば、どうせ諦めるだろう、な、そんな期待もあったのですが・・・

 

諦める様子は

彼には

全くありませんでした

 

(まじか・・・汗)

   

取りあえず、面会を終え、返事を考えさせて欲しいと伝え

その後、面会で聞きそびれた事をメールで再度確認したり

もう一度「志望動機」の核心を探る質問をしたり、

或いは、就職には関係のない内容の事まで聞き出したり

連日、何度もしつこく質問を浴びせたのですが

彼からは毎回、丁寧な返答が必ず返って来る。

その返答を読めば読むほど私の心は揺れ動き、、、

 

ここまで言葉を連ねられると、もうこれは一種のラブレターです。。。

彼の想いが、私の想像を超え、むしろ共鳴を起こし始め気持ちがぐらぐらに・・・

  

いやもう、私が落ちるのは時間の問題でした。

 

こんな小さな事務所にとって、

人を雇うというのは、いわば結婚と同じくらいの覚悟がいるものです。
  
たかがスタッフ、そんな仰々しいことか?!

って思う人もいると思います。
 
代替が簡単に効くような業種なら、たかがスタッフかもしれません。

だけど建築士として社会に役立てられるようになるには、修行といいますか、

まずその前に建築士の資格は必ず取らないといけないし(これがまた何年も掛かる)

更に実践の中で何年も経験を積まなければ一人前にはなれません。 

腰かけ程度で設計事務所に就職したって、いつまでたっても一人前にはなれない。

(最低でも継続して3年以上は一か所で勤めあげられなければダメかな)
 
だから彼が本気でこの世界(古民家再生分野)でやろうと思うのなら、

ほぼ一からの出発なので、6年~くらいはウチにいるくらいじゃないと。

 
 
一方でこちらとしては、スタッフがどんな状況であれ、自分から辞めたいといい出すまで、

余程の事が無い限り、解雇するなんて言い出せない。 

なので、一生ここで面倒みるようになるかもしれない、という覚悟を持って迎え入れる訳です。 

雇用主ってそういうものだし、私の実家も自営業でしたけど、30年勤めた人もいました。
  
門を叩いてきた本人は、多分、そんな先まで考えて門を叩いてはいないと思いますけどね。 


   
個人経営で雇う側にしてみれば

ホント彼の人生を引き受けるようなもの。

彼のご両親に対しても、直接挨拶することはしませんが、心の中では、

こんな事務所に大事な息子さんを な気持ちなんです。

しかもどこの馬の骨かもわからんような零細事務所ですし。

 
組織会社の一駒ならともかく、

私らのような夫婦のところに来るってことは、パートでもない限り、フルタイム≒家族 です。

 
こんな私の重い想いを受けるスタッフは、多分、普通ならシンドイはずなんです。

仕事はもっとドライにしたいじゃないですか。

私が逆の立場だったら絶対こんなアットホームな環境は嫌です。

  
なので、連日、しつこく彼とメールのやりとりをして、

本当にウチで大丈夫かどうかを試してた訳です。

 
  
もう離婚するのは辛いし面倒だしね。
 
過去の離婚歴(笑) ↓
https://blog.goo.ne.jp/s…/e/3c9f423bb070302d0bedb810289b79f1
 
   

最終的な結果として

 

一番決め手となったのはここでした。

 

今まで私らがやってきた仕事内容だけじゃなく、思想環境魅力があると言ってくれた事。

 
  
思想

 
 
結局、ここが核なんです。何をやるにも。

一見、似たようなことやってても、この部分が違えば

似て非なるもの になって、それが身近であればお互いにストレスになる。
 
いわゆる設計思想については、HP、ブログなどでずーっと書き綴ってきて、

それを彼はきちんと読んでいて、門を叩いていたのです。

 

それだけじゃなく、問い合わせする前に、事前にわざわざ遠方から海野宿まで来て

私らの事務所の環境なども下見をしていたというんですから

PC上で、ただポチるような応募では無かった。。。

それだけ真剣に考えた上での彼の行動に、こちらが逆に感動してしまう始末・・・

 

 

ただ単に

古民家再生やりたい、

では無かった。

 

そこが私にとっては最大の決め手でもありました。

 

古民家やってみたい~

古民家再生、興味がある~

そんな応募は今まで沢山ありました。

 

ただ、そんな誰もが口にする言葉が、

実は私の中ではNGワード

  

何故NGなのかは、敢えてここでは書きませんけどね。

気になる方は、是非よく考えて見て下さい。

 

ちなみに彼の志望動機の中にはNGワード、一つもありませんでした。 

むしろ、

自分の働きによって誰に向けてどうしてあげたいのか 

が書かれていました。

この視点が大概の就職希望者には抜けているものなのですが

彼は自分の立ち位置、役割をきちんと理解していたのです。

 

やっと、私が望んでいた人が来た! かも。

 

一番最初に志望動機に綴られる言葉には

実はかなり重要な視点や姿勢が現れます。

ネットで面接対策の要領など調べれば模範的なものは出てきますけど

そんな小手先で書かれる動機なんかは、すぐ見透かされます。

 

個人経営のこんな小さな事務所では

就職のミスマッチはお互いに命取りになりかねませんから

私も慎重に慎重に見極めたいところ。

 

そんな訳で、9月中旬から凡そ2週間程、あれこれ悩み検討し

晴れて10月4日に彼を採用することに決めました

 

あ~ 疲れました(笑)

 

さて、じゃ、いつから栖風采に来てくれるのかと訊きましたら

彼の現在進行中の現場を最後までやってから、こちらに来るというお話で

来年の春頃~来てくれるそうです。

 

の、はずだったのが

 

急展開!

 

なんと、11月12日に辞職することになったと連絡が!

 

え?!

 

どーゆーこと?!!!

 

まぁ、いろんな会社があるものです。。。

事情を聞くと、

んー

色々あるみたいです。

 

それなら、こちらも遠慮なく、そして迷う事なく、

 

直ぐにでもこっちにいらっしゃい!

 

な展開に

 

こちらだって、来年の春までにやらなければならない案件が数件あるので

お給料は何とか工面してでも

今直ぐ人手は欲しいところでした

 

 

なので10月中に彼はこちらへ移住してくることとなりまして

私も保証人として、一緒にアパート決めるのを手伝ったりバタバタ

  

ま、これも運命というか

仕方ありません。

 

彼の椅子とデスクを用意する時間も無いまま

取りあえず

12月から栖風采の一員として迎えます

これでこれまで滞りがちだった複数抱えていた計画も、少し早められそうです

  

何だか急な展開に、私もまだ気持ちがついていってませんが

ただ、こういう巡り合わせの機会を頂き

私達もここへ来て、

もう少し頑張れよ!と言われている気がしています。

 

年齢的にも、あと10~15年くらいは、まだ仕事をする訳ですから

そんな時に、新人スタッフを迎えることが出来、

今ならまだスタッフを育てる時間が我々に残されてる。

我々の建築人生もいよいよ第3ステージに突入?

そんな感じがしています。

  

新人スタッフ君も、建築人生13年目くらいに入るので

彼にとっても第2ステージという感じでしょうか。

 

お互いに転機を迎えているような気がしています!

 

 

そんなことで

彼には大いに頑張ってもらおうと思ってますので

関係者皆さま、宜しくお願い致します

 

 

さて、肝心の彼は、この分野では遅まきデビュー

急いで学んでもらわないと実務に間に合いませんので

ビシバシしごいていこうと思ってます(笑)

 

取りあえず、こちらへ来るまでの間に民家の勉強してくるようにと、

既に課題宿題を出しているのですが

本当に何て言うんでしょうか・・・

無垢すぎるといいますか・・・

一つ何かテーマを振ると、ものすごく響く彼。

こんなに響く人、初めてかも。

もしかして、私の建築人生におけるソウルメイトじゃないの?!

と思わせるくらい・・・

 

これから彼と一緒に仕事をしていくのが

ちょっと楽しみです

これで、彼がうちの事務所で長続きすれば、

最終的には3方良しに繋がって一番いいのですけどね。

まだそこまで考えるのは気が早いですかね

 

 

 

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