2019年09月29日
『フォロイング』
『フォロイング』
2017年
アメリカ・タイ
監督:リッチ・ラグズデール
*本記事は、グロテスクな表現を含みます
「ババアが、憑いて来る。」のキャッチ・コピーが、ヤケに心に沁みる。
ジャケ写のババアの表情に注目してほしい。
なんとなく道化。
なんとなくピエロ。
ピエロといえば、最近超有名ファーストフードのアイツを見かけないなぁ。
で、調べてみたら、本国で風評被害にあって活動を自粛していた。
ワールドワイドなアイツに、フロムボトムハートの同情を禁じ得ない。
愛すべきキャラからの転落は、どこか芸能界に通じるものがある。
まあ、ホラー映画にもこのギャップを利用した作品は少なくない。
『サンタが殺しにやってくる』なんて、その極み乙女。
『チャイルドプレイ』だって、本当は可愛い人形が殺人鬼。
対極の幅が大きいほど、得られる効果は絶大なのだ。
このようなことをジャケ写から考えた訳だが、その内容は全く別物だった。
そう、婆さんはピエロではなく、単なる?怨霊だったのである。
タイ・バンコクを訪れたアメリカ人カップル、ジムとジュリー。
異国の雰囲気は彼らにとって新鮮で、バカンスを満喫。
そして、ジムのプロポーズをジュリーは快諾。
二人の幸福度はアゲアゲ・アゲリシャスとなった。
同じホテルに泊まっていた英国人に声を掛けられ、ジムとジュリーは彼らと行動を共にする。
しかし、それはHELLの始まりだった……
今回HELLの根源は、タイ・バンコクに巣食う怨霊。
名前をワタベという。
それを聞いた瞬間、まず頭に浮かんだのは、甘いマスクのお笑い芸人。
グルメにも精通した彼の名前がホワ~イ?
劇中の説明によると、タイ人に嫁いだ日本人女性らしく、何故か名字で呼ばれているっぽい。
裕福な家庭だったが、夫は使用人と浮気。
それを知ったワタベさんが『おのれ~、旦那許すまじっ』となった。
ジャパニーズ怨みの怖さを思いしれっとばかりに、ワタベさんは自ら焼身自殺したという。
作品としては、異国における文化的風習のダークサイドを白人が体験するタイプ。
おそらく製作陣がタイや日本のホラーにインスパイアされて作ったものだろう。
全体的な雰囲気は良く、クライマックスのロケ地などもGOOD。
怨霊に祟られ衰弱していくジュリーと、救おうと躍起になるジムの行動が感情移入を促してくれる。
ラストは、まあお約束の……。
いまいち意味不明のバトルが繰り広げられるが、なんとなく凄いと思わせる描写には仕上がっている。
タイと日本とアメリカの異文化ホラー・コミュニケーション。
ああ、なんとグローバルなHELLコネクション。