文豪たちの口説き本のレビューです。
皆の情熱の嵐に巻き込まれた一冊は、結構な疲労感残す
昔の日本人はイタリア人か?ってなくらい、ものすごい情熱的な手紙を書いている。
ひと昔前の日本人は恋愛においてここまで情熱的だったのか?それとも物書きにこういった傾向があったのかは定かではないが、とにかくこってりしたお手紙。
決して文字がびっしり詰まった本ではないのですが、一人の文豪の章を読み終わると、お腹いっぱいになり、続けて次を読む気にはなれない。なので、チビチビと毎日少しずつ読みました。
「はじめに」には、
「自分が口説かれた気持ちで読んでいただくと、一層、文豪やその作品を、身近に感じることができるかもしれません。」
とあったので、もし自分が口説かれるなら....のていで読んでみようと試みたのですが、途中で消化不良を起こしました(笑)そのくらい、どの内容も濃厚なのです。
恋愛のパターンも人それぞれでかなり個性的です。
ちょっとハンサムな萩原朔太郎。北原白秋への想いは初耳でビックリしました。
芥川龍之介のラブレターは甘~~~い。
斎藤茂吉のお相手は25歳でものすごく美しい人。
まだか、まだかと楽しみにしていたマイ文豪アイドルのおっちゃんこと谷崎。もうほんと、谷崎は期待を裏切りません。お手紙から見えるマゾっぷりが激しくて、分かっちゃいたけど、爆笑してしまいました。←失礼 今回もおっちゃん、ありがとう(笑)
人間として最低っ!って感じたのは、石川啄木。手紙を読んで再確認した次第です。
文通相手に熱烈な手紙を送りつけ続け、相手に「写真」を要求。そして、送られてきた写真を見た途端、自分の好みと違ったので、一気に気持ちが冷めた。その後の彼の態度の変化たるやあまりに露骨でお粗末。日記にはこう記されてる。
「目のつり上がった口の大きめな、美しくない人だ」
まっ、なんて嫌な奴!しかも、文通で女性を口説いているけど、あなた、既婚者でしょ!と、鼻息荒くなってしまいましたが、本書はこのままでは終わりません。その話が滑稽で、今までモヤっていた気持ちが晴れました。ぷっ、啄木、ダサいぞ!
.....とかなんとか、ツッコミどころ満載な文豪たちの裏の顔にニヤニヤ。
しかしこのように公になっているとは言え、やっぱり人の手紙を読むという行為はどうも後ろめたく居心地が悪い。
それにしても、本当に昔の日本男子ってラテン系なのかな?って思うほど恥ずかし気もなく、かなりストレートな表現で相手にアプローチしています。そこに妙に美しい文章が挟み込まれたりするもんだから、自ずとすごい仕上がりになっちゃうんですよね。
みなさん狂おしいほどの想いをぶつけて来ます。
ということで、ごちそうさまでした(笑)←かなり満腹。