僕が長年、一度観てみたいと願っていたドラマがつい先日、CSの東映チャンネルで放送されたので、今日はその感想を書いておきます。

 

それは、1971年から1976年にかけて、TBSの『ブラザー劇場』(毎週月曜日の19:30〜20:00)で放送されていたテレビドラマ『刑事くん』です。

 

『柔道一直線』で一躍人気俳優になられた桜木健一さんが熱血漢の新米刑事を演じたコメディタッチの刑事ドラマです。

 

桜木さんは当時23歳と若かったこともあり、新米刑事ものにし、それらしくタイトルに「くん」を付けることになったんだそうです。

 

殉職した父の無念を胸に、晴れて父と同じ刑事になった主人公・三神鉄男(桜木健一さん)が、人々の善意を信じ、様々な現実に直面しながらも事件解決にあたり、成長していく様を描いた熱血根性物語で〜す(笑)。

 

どうして僕がこのドラマを観たかったのかと言いますと、桜木健一さんが主演した『刑事くん』は第1部から第3部まであるのですが、第2部の25話に僕の大好きな西城秀樹さんがゲスト出演されているからなんです〜。

 

桜木健一さんも素敵な俳優さんだと思いますよ、でも第2部の25話だけどうしても観てみたかったんですよ〜(笑)。

 

第2部には、桜木さんの同僚刑事、宗方惇司役で、若き日の三浦友和さんも出演されています。25話には三浦さんの出番は最初のワンシーンだけだったのが残念でしたけど。

 

『刑事くん』が放送されていた『ブラザー劇場』は、1964年8月3日から1979年9月24日までTBS系列局が編成していたTBS製作のテレビドラマ放送枠で、ブラザー工業の一社提供です。

 

今は減りましたけど、昔は30分のTVドラマってありましたよね〜。ナショナル(現・パナソニック)や東芝(現・TOSHIBA)、花王石鹸(現・Kao )など一社がスポンサーの番組って結構ありましたよね。

 

桜木健一さんは、2019年に公開された『劇場版 おっさんずラブ 〜LOVE or DEAD〜』に天空不動産会長・速水禮次郎役で出演されていて、僕は劇場で観ていて、「あっ、桜木さんだ」と呟いたのを覚えています。

 

『刑事くん』

第25話、タイトルは「ちぎれた愛」です。

放送日:1973年/10月1日

脚本:長坂秀佳さん

監督:加島昭さん

出演:桜木健一さん、西城秀樹さん、戸島和美さん、三浦友和さん、中山麻理さん、守屋俊志さん、名古屋章さん、風見章子さん 他

 

◎ストーリーです。

強盗傷害犯・山岸進を追う鉄男(桜木健一さん)は、その舎弟・野毛山三次をマークしていました。

 

野毛山を目撃したという洋品店の店員・牧原和美(戸島和美さん)の情報により山岸の潜伏先を知った鉄男は山岸を逮捕します。

 

山国育ちの為に今まで海を見たことがなかった和美は、恋人・西垣基樹(西城秀樹さん)と共に海へデートに行くのを楽しみにしていましたが、その当日、山岸の逮捕が和美の通報によるものだと知った野毛山が和美の前に現れます。

 

基樹を庇った和美は野毛山に刺殺されてしまうのです。目撃者の情報で現場に駆け付けた鉄男でしたが、そこには基樹の姿も和美の遺体もありませんでした。

 

復讐に燃える基樹は野毛山を拉致し、和美の遺体と共に、行くはずだった海の見える別荘へ向かいます。基樹は和美の前で野毛山を殺害し、復讐を果たした後に、和美と二人で海を見たかったのです。

 

駆け付けた鉄男がそれを阻止しますが、隙を見つけた野毛山は基樹を刺し逃走します。

 

逃げる野毛山を鉄男は必死の追跡で逮捕します。基樹は傷ついた身体で和美を抱え上げ、海を見せてあげるのでした…。

 

感動した〜泣けました〜。

30分といってもCMが入りますからドラマは正味25分くらい。それでこの充実感と見応えにちょっと感動しました。昭和のドラマって魅力ありますよね〜。

 

そういうことを言うと、CG全盛のこの時代の映像や作品が好きな人から、「昔の物の方がハートがあって手作り感が良いなどと言ってノスタルジーに浸っているだけ」なんて言われたれすることがありますけれど、別に好きなんだからいいじゃないですか(笑)。

 

僕は新しい物も好きですよ〜。

 

このドラマが放送された1973年の秀樹さんは、『情熱の嵐』『ちぎれた愛』 『愛の十字架』と、3作連続してヒットを飛ばし大ブレイクを果たした年です。

 

ドラマのサブタイトルにもなった『ちぎれた愛』は初のオリコン・シングル・チャート1位に輝き、年末の『第15回日本レコード大賞』では初の歌唱賞を受賞されました。

 

後に「絶唱型」「熱唱型」などと呼ばれる西城さんの歌唱法は、『ちぎれた愛』が最初ですね。

 

郷ひろみさん、野口五郎さんに比べキャラクター面でも今ひとつ特徴がなかった西城さんでしたが、前作「情熱の嵐」が完成した際、スタッフ陣が「秀樹は情熱的でセクシーな男性路線で行く」と方向性を決めたそうで、それが見事に結実した曲が「ちぎれた愛」での絶唱型スタイルだったんです。

 

作詞は初起用された安井かずみさん、作曲は3作目「チャンスは一度」から編曲を手掛けてこられた馬飼野康二さんが作曲でも初めて起用されました。

 

曲間に入る「僕の気持ちを信じて、君を離すもんか、好きだ、好きだよ、好きなんだよー!」と絶叫する秀樹さんの声の切なさ、激しさ、想いの深さ…。秀樹さんにしか表現できない世界「魂の歌唱」だと思います。僕はこれを聞くといつも涙が滲みます。

 

現在では、日本のロック・ヴォーカリストの源流の1つとまで言われるようになった西城秀樹さんのヴォーカル・スタイルが日本の音楽シーンに与えた影響は計り知れません。

 

そのルーツがこの『ちぎれた愛』の歌唱スタイルなのではないでしょうか。

 

秀樹さん『ちぎれた愛』を歌った当時、まだ18歳ですよ〜。信じられます?

 

ドラマ『刑事くん・ちぎれた愛』はこの楽曲のイメージに沿ったシナリオで、秀樹さんの演技は初々しく、何事にも一生懸命に取り組まれた秀樹さんの若さ、清らかさ、可愛らしさがすべて画面から伝わるようでした。

 

47年前の秀樹さんが目の前にいる…。

 

それだけでファンとしては感無量のひと時でした。東映チャンネルさん、ありがとうございました。映像の持つ力を改めて感じることができました。