「日を追うごとに問い合わせが減っている」。

緊急事態宣言発令後の4月中旬、神奈川県内の不動産仲介会社は不安を吐露した。3月以降、マンション市場は文字どおり「凍結」状態に陥った。新築マンションのモデルルームはまさに「三密」の空間で、大手デベロッパーを中心に営業を自粛。中古マンションでも仲介店舗の閉鎖や内覧のキャンセルが相次ぎ、新築・中古マンションとも取引が大幅に縮小した(下図)。

完全回復には時間

緊急事態宣言が全面的に解除された5月下旬以降、販売現場は順次再開した。モデルルームの客足は「コロナ前の8~9割の水準に戻った」(中堅デベロッパー)が、完全回復にはまだ時間を要する。

外出自粛やリモートワークなど、逆風に揺れる不動産業界の針路に迫った。

「日を追うごとに問い合わせが減っている」。

緊急事態宣言発令後の4月中旬、神奈川県内の不動産仲介会社は不安を吐露した。3月以降、マンション市場は文字どおり「凍結」状態に陥った。新築マンションのモデルルームはまさに「三密」の空間で、大手デベロッパーを中心に営業を自粛。中古マンションでも仲介店舗の閉鎖や内覧のキャンセルが相次ぎ、新築・中古マンションとも取引が大幅に縮小した(下図)。

完全回復には時間

緊急事態宣言が全面的に解除された5月下旬以降、販売現場は順次再開した。モデルルームの客足は「コロナ前の8~9割の水準に戻った」(中堅デベロッパー)が、完全回復にはまだ時間を要する。

外出自粛やリモートワークなど、逆風に揺れる不動産業界の針路に迫った。

売り主の多くが個人である中古マンションについてはどうか。東京の湾岸地域で不動産仲介を行うケイズワンの藤田祥吾氏は、「この数年は相場より5~10%ほど高めに売り出した物件でも成約していた。コロナの収束が長引けばその分が下がるのでは」と推測する。

中古マンションは売り出しから成約まで3カ月が目安。現在売り出し中の物件がいくらで成約するか、秋口になれば見えてくる。

居住用マンションは結婚や出産、転勤などライフイベントが購入の動機となることが多い。業界には「家を持ちたいという需要は消えていない。外出自粛で購入時期が先送りになっただけ」(大手デベロッパー)という楽観論が漂う。