STAND-BYロゴ
<1993年頃と思われるスタンバイ買い物袋に使われていたロゴ。 資料提供:元マッパー様>

 今回はかつてでんでんタウンに存在したスタンバイ(STAND-BY)というパソコンショップをポンバシ限定で振り返りたいと思います。

 スタンバイはポンバシにおいては1986年から2001年までの15年間営業されていました。

 15年と書くと短いようですが、最盛期である1997年には地下鉄恵美須町駅周辺に8店舗を展開されていて、コーポレートカラーであるグリーン色で埋め尽くされていた姿はまさに圧巻。

 当時関西のパソコンユーザーなら誰もが知るお店といっていいほど存在感のあるショップでした。

 スタンバイのグリーン。ソフマップのブルー。

 当時の写真1当時の写真2Hiroto's Homepage

 この2色が90年代のパソコンブームにおけるポンバシの主役だったと時間が経つにつれて強く感じています。

 スタンバイの店舗数が最大だった1997年の地図を作成してみました。

スタンバイ1997地図
<1997年にポンバシで展開してたスタンバイ。Ver.8が2店舗存在していますがゼンリン地図やネットで調べた限りでは表記ミスではないようです。Ver.8の2店舗の謎に関しては新情報がありましたので下記なんさん店のところで追記しています。結論としてポンバシにあったスタンバイの総数は8店舗となります。>

 地下鉄恵美須町駅ホーム上に8店舗、うち1店舗がなんさん通りに移転と計8店舗が展開されていました。

 ソフマップがポンバシ全体に広がっていたのに対して、スタンバイは当時ポンバシの中でもパソコン販売のメッカだった5丁目に店舗を集中させる戦略をとられていました。

 しかしその後は熾烈な価格競争により売上が低迷し、1998〜1999年にかけて店舗が次々と閉店。

 なんと7店舗がこの2年の間に閉店されVer3がただ1店舗残すのみ(1店舗となったためVer3の表記は消滅)となりました。

 その1店舗も2001年10月末に閉店

 スタンバイはこの日をもって廃業となりました。

 皮肉にも2001年はヨドバシカメラが大阪に進出した年でした。


 そんな激動の時代を駆け抜けたポンバシのスタンバイを紹介していきたいと思います。

スタンバイVer.1とVer.2

Ver1とVer2・2018-04
<Ver.1はヒロセビル、Ver.2はKMビル(現:ハロープロジェクトオフィシャルショップ大阪店)に入居されていました。 2018年4月撮影>

 この2店舗は地下鉄恵美須町駅東側のアーケードに位置し、Ver.1は1986年にオープンVer.2は翌年の1987年にオープンされました。

 オープン時についての詳細は過去記事をご参照ください。

スタンバイ198807
<1988年頃のVer.1(左)とVer.2(右)。 工学社・月刊I/O1988年7月号より引用>

 Ver.3がオープンされる1992年頃までの約5年間はこの2店舗での営業でした。

 ちなみに2店舗時代は「Ver」表記ではなく、Ver.1が「プロショップ」、Ver.2が「パート2」という呼び方だったそうです。

スタンバイチラシ1989-10・2
スタンバイチラシ1989-10
<2店舗体制だった頃(1989年10月)のスタンバイ広告。 資料提供:元マッパー様>


向かいの大きなビルにVer.3が誕生

Ver3・2018-04
<スタンバイVer.3があった桝本ビル(現:カプセルホテルヴァリエ恵美須町)。 2018年4月撮影>

 1992年頃にVer.3が登場します。

Ver3当時全景
<1992年頃のスタンバイVer.3。まだ左右にビルが建っていないので目立っていました。 
日地出版・大阪京都神戸奈良激安ショップガイドPart10より引用>

 この頃には「Ver」表記が定着していて、Ver.1はソフト専門店Ver.2は中古ハード専門店Ver.3はパソコン総合専門店となっていました。

Ver3店内
<1992年頃のスタンバイVer.3店内。 
日地出版・大阪京都神戸奈良激安ショップガイドPart10より引用>


Ver.4「モンキーランド」誕生

 1993年春頃にVer.4がファミコン専門店「モンキーランド」としてオープンします。

Ver4・2018-04
<スタンバイVer.4「モンキーランド」が入っていた盛岡ビル(現:Cafe&Barジオラマ103) 2018年4月撮影>

Ver4当時店頭
<1993年頃のVer.4「モンキーランド」。家庭用ゲーム専門店でした。 
日地出版・大阪京都神戸奈良激安ショップガイドPart11より引用>


Ver1・1993
<家庭用ゲーム専門のモンキーランドができたためVer.1はパソコンソフト専門店になりました。1993年頃。 
日地出版・大阪京都神戸奈良激安ショップガイドPart11より引用>


Ver2・1993
Ver.2は中古総合専門店になっています。1993年頃。 
日地出版・大阪京都神戸奈良激安ショップガイドPart11より引用>

ハロースタンバイ地図部分
<1994年3月の案内地図。 ハロースタンバイVol.12より引用>


駅ビルにスタンバイVer.5が登場

Ver5・2018-04
<スタンバイVer.5が入っていた恵美須町MTビル。 2018年4月撮影>

 1994年9月、地下鉄恵美須町駅直結の恵美須町MTビルにスタンバイVer.5がオープン

 これによりVer.4、Ver.5、Ver.3と3店舗が並ぶ形となりました。

Ver5店内
<1994年頃のVer.5の店内。 
日地出版・大阪京都神戸奈良激安ショップガイドPart12より引用>

 Ver.5の登場により次のように各店舗の取扱商品が変わりました。

・Ver.1はテレビゲームソフト専門店「スーパーモンキー」
・Ver.2はパソコンゲームソフト専門店「ゲームズブレイン」
・Ver.3は新品パソコン専門店「WIN'S(ウインズ)」
・Ver.4はMacやワープロ専門店「Mr.Mac(ミスターマック)」
・Ver.5は中古パソコン専門店「U−Comトレードセンター」



Ver.6・Ver.7・Ver.8と出店ラッシュ!

Ver6とVer8・2018-04
<Ver.6があった瀬川ビル(現:ジェネシスビル)とVer.8があった場所。 2018年4月撮影>

Ver7・2018-04
<Var.7が建っていた場所(現:三吉ビル)。 2018年4月撮影>

 1994年から1995年にかけてVer6〜Ver8まで一気に登場

8店舗・月間ハロスタ1995・9月号
<1995年9月頃の店舗紹介。 ハロースタンバイVol.30より引用>

Ver7店内
<1995年頃のVer.7店内。 
日地出版・大阪京都神戸奈良激安ショップガイドPart13より引用>

 Ver.7はTVゲーム専門店としてフロア面積、在庫数ともに当時日本最大級の規模を誇っていました。ちょうどプレイステーションやセガサターンが全盛期の頃で店内は人でいっぱいだったそうです。

 1995年11月にはWindows95発売に合わせてVer.3がWindows95専門店にリニューアルされました。


なんばにも出店「スタンバイなんさん店」

 1997年にはVer.8がなんばの「なんさん通り」に移転されます。

Ver8なんさん・2015-12
<なんさん店が入っていた小池ビル(現:auショップ日本橋なんさん)。 2015年12月撮影>

 こちらの店舗は、モバイル機器専門店→PC98専門店→携帯電話専門店と移り変わられたようです。

 このなんさん店ですが、コメント欄(元なんさん店の人)によりますと当初はVer.8表記のない状態で出店され、閉店間際の約2ヶ月だけVer.8と表記されていたそうです。

 なので当初はVer.8が1997年のゼンリン地図上に2つ存在することで店舗数が一番多い時は9店舗と考えていましたが、ゼンリン地図は1年かけて更新されるためラグがあることを考慮し実質5丁目のVer.8が移転されてきたという解釈でよいかと思います。

 つまりVer表記どおり日本橋での最大店舗数は8店舗ということになります。(2020年4月追記)



 




 情報提供のソースとして記載していただきましたURLにはかつてのスタンバイの公式サイトがアーカイブされていましたので1997〜1998年頃と思われる店舗写真を引用させていただこうと思います。

1
<Ver.1>

2
<Ver.2>

3
<Ver.3>

4
<Ver.4>

5
<Ver.5。この頃はアニメ系専門の「あにまにあ」になっています。>

6
<Ver.6>

7
<Ver.7>

n3
<なんさん店>


当時の熱気を振り返る

 80年代は小学生、90年代前半は中学生、90年代半ばは高校生と好奇心旺盛だった僕はパソコンブームで年々店舗が増えるスタンバイやソフマップの盛り上がりの中で育ててもらったと感じるほど夢と希望に満ちたワクワクの毎日でした。

 Windows95発売の時、スタンバイVer.3の店頭にズラリと並べられたWindows95日本語版の箱を、
連日のWindows95やマルチメディアを解説するニュースに影響されマジマジと見ていく近所の主婦やお爺さんを見かけては、いよいよ僕のようなマニアだけじゃなく一般層にもパソコンが広がっていくんだと心が踊りました。

 そして一般層に広がるのだから、でんでんタウンはもっともっとすごい最先端の近未来的商店街に発展していくと信じていました。

 まぁ現実は察しの通りなのですが…(苦笑)

 でもそうした栄枯盛衰を多感な時期に間近で見てきたからこそ、あのパソコンブームの熱い時代が今なお忘れられない貴重な思い出になっているんだと思います。

 あらためて楽しい毎日を提供していただいたスタンバイに感謝。

 ではまた(^^)/