結婚記念日

副作用で髪が抜け、まつげも眉毛も抜け、爪は黒ずみ、顔は浮腫み、ﾊﾞｹﾓﾉのようなﾜﾀｸｼになりましたが、夫はいつも優しかった

その優しさに応えようと、必死に治療を続けるﾜﾀｸｼでしたが、再発したがんは1mmも小さくならず、副作用が酷く、抗がん剤治療が中断する残酷な現実に耐えきれず、「ﾊﾞｹﾓﾉみたいになっちゃった…苦しいばかりで良くならない！やっぱり抗がん剤なんてやらなきゃよかった！こんなﾊﾞｹﾓﾉみたいなﾜﾀｸｼと再婚してｱﾅﾀ損したと思ってるでしょ？別れたいと思ってるでしょ？」と悪態をつき、号泣する醜いﾜﾀｸｼに「俺はね、けいこと結婚して本当に良かったと思っているよ…そうだ…前からやってみたかったマラソン…やってみような？」と夫は静かに言い、走り始めた。

実家のある群馬の大会にﾜﾀｸｼを連れて行ってくれた。両親に会えたことが嬉しかった。ゴールする夫や他のランナーさんから元気を貰えた。体調が戻ってきた。中断していた抗がん剤治療が再開した。でも、効果が出ないから薬を変える、とまたいろんな副作用が強く出て治療は中断する。合間に夫はマラソン大会で走る。ﾜﾀｸｼは応援する。で、また抗がん剤治療再開、中断、を繰り返す。そんな生活を1年続けたら、ﾜﾀｸｼの再発がんは消えた。どうやら抗がん剤が効いたらしい。