心が満ちる山歩き

美しい自然と、健康な身体に感謝。2019年に日本百名山を完登しました。登山と、時にはクラシック音楽や旅行のことも。

南アルプス・光岳(5) 面平から易老岳へ

2020年02月21日 | 中央アルプス・南アルプス


光岳(2,592m) (つづき)


 「~ 面平から易老岳まで地図では点線の道がついているが、実際は案内人さえ間誤つくほどの深い密林で、わずかに鉈目をたよりにして、踏跡らしいものを辿るといった風だ。しかも算を乱して倒れている唐桧・白桧の大木を、潜ったり跨いだりしての登りだから、相当疲れる。 ~」
 (深田久弥『山岳展望』(朝日新聞社))


 昭和10年代の当時、易老岳への道はこのような状況だったようです。
 面平は、「白薙から登ってきた道とここで出会うのだ。」と書かれています。この時は、面平まで二通りの登り道があったのです。
 現在は、易老岳への道はしっかりしており、大木を跨ぐところはあっても、潜るところはなかったと思います。
 相変わらず急な坂です。急斜面に展開しているのはまさに「密林」ですが、背の高い木の間から太陽がさし込み、苔むした地面を穏やかに照らしていました。
 ところどころ遠くの山が見えるのは、聖岳のようです。雲がかかってはいますが、間近で見るのは久しぶりです。南アルプスの南部に、3年ぶりに帰ってきたという感じがします。
 易老岳は標高2,354mですが、「易老岳」という名前の三角点(三等三角点)は手前の2,254m地点にあります。ここから易老岳へは水平距離で1kmあり、間にはちょっとした岩場もあります。
 ここまで来るとシラビソの森が広がっています。標高が高くなり、自然環境が厳しくなってきたのか、立ち枯れも見られます。
 仙丈ヶ岳の、登山口から少し登った場所に雰囲気が似ています。仙丈ヶ岳はいきなりシラビソから始まるのに、光岳はそこまで歩いて6時間もかかります。
 その間、森林の様相は何回も変化しています。たったの6時間で目まぐるしく変わっているとも言えます。





 (登頂:2019年9月中旬) (つづく)



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