教育カウンセラーの独り言

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ホーム 山内康一ブログ 『 蟷螂の斧 』 政治の動きと分析 衆議院の統一会派について

2019年08月20日 08時53分37秒 | 国際・政治

衆議院の統一会派について

立憲民主党は、8月5日に国民民主党、社会保障を立て直す国民会議、社会民主党に対し、衆議院での統一会派の結成を呼びかけました。私は正しい方向性だと思います。

参院選は与党勝利に終わりました。参院選の街頭活動中に聞いた街の声、支援者の皆さんの声の中には「野党がバラバラでは安倍政権を倒せないから、野党は協力すべき」という意見が多かったです。

福岡県選挙区では、立憲民主党と国民民主党の両党が候補者を立てたことも、民主党時代からの支援者には不評でした。福岡県選挙区の場合は定数3なので、複数の野党が候補者を立てるのは当然ですが、それでも有権者から見ると「わかりにくい」と言われました。

参院選の反省を踏まえ、野党共闘をより深化させるべきだと思います。参院選ではすべての1人区で野党候補の一本化に成功しました。しかし、反省点としては早い時期から一本化すべきでした。

参院選1人区で野党候補が勝利した選挙区では、比較的早い時期から候補者を一本化したケースが多いようです。選挙の直前に一本化しても、支持者に浸透させる時間がありません。できるだけ早い時期から候補者を一本化し、野党間で相互に支援することが重要です。

次の国政選挙は衆議院議員選挙です。衆議院選挙の小選挙区は「すべてが1人区」ということです。野党候補の一本化がカギになります。早い時期から小選挙区の候補者の一本化を進めるべきなのは言うまでもありません。

衆議院選挙の小選挙区の候補者一本化を進めるためにも、衆議院で統一会派を組むというのは重要なステップだと思います。もしすべての政策が一致するなら、合流して1つの政党になればよいことです。しかし、一定の差異を認めつつも、巨大与党に対抗するためには、政策合意を結び、統一会派として議会で行動をともにするというやり方は現実的だと思います。

枝野代表が他の野党に衆議院の統一会派結成を呼びかける前に、党内で両院議員総会が開かれました。そこで私は次の趣旨の発言をしました。

 1.参院選中に多くの有権者から、野党同士で争うことなく、野党で協力して安倍政権に対抗してほしいと言われた。特に民主党時代からの支援者の多くから、元民主党の仲間だった国民民主党と協力してほしいと言われた。

2.次の衆院選で立憲民主党の単独政権をめざすということにはならないだろう。立憲民主党を中心とした連立政権をめざすことになるだろう。将来の連立政権を想定すれば、早い時期から他の野党と協力関係を築く必要がある。衆議院の統一会派は、将来の連立政権に向けた第一歩として望ましい。

3.立憲民主党よりも小さな政党を連携する際には、少数政党に配慮して、少数政党の声を十分に聴きながら議会活動を進めるべき。例えば、ポストの配分や質問時間の割り振りでも、第一党の立憲民主党が少し譲って、少数政党に配慮するべき。

国民民主党とも、社会保障を立て直す国民会議とも、社会民主党とも、政策が完全に一致するわけではありません。政策が完全に一致するなら合流して1つの政党になればよいのですが、ある程度の違いを前提にするならば、統一会派という選択肢が望ましいと思います。

統一会派をスタートラインに、将来の連立政権に向けた大きな枠組みをつくるべきです。「敵の敵は味方」というシンプルな原則は重要です。安倍政権の暴走を止め、自民党政治の流れを変えるには、野党が連携するしかありません。

たとえば、原発政策に関しても、原発の新増設をめざす自民党に比べれば、2030年代までの脱原発を認めている国民民主党の方が「政策的距離」は近いはずです。立憲民主党の「即時原発ゼロ」という政策を捨てるわけではありませんが、少なくとも原発の新増設を目論む自民党政権をストップするために、国民民主党と組むという選択肢は十分に現実的です。

大雑把にいうと、イデオロギー的に右の勢力は細かな差異は気にせず、融通無碍に連携します。自民党と公明党の政策的距離はそんなに近くないはずですが、権力を維持するために違いに目をつぶって連立政権を組んでいます。右派は、小さな差異どころか、大きな差異にも寛容です。

他方、同じく大雑把にいうと、イデオロギー的に左の勢力は、まじめな理想主義者が多いせいか、細かな差異にこだわり過ぎて、内ゲバ的な争いを起こしがちです。右派の「いい加減さ」を少しみならい、「敵の敵は味方」というプラグマティックな発想を持ち、小異を捨てて大同につく選択をしなくてはいけないと思います。

たとえば、れいわ新選組のような政党は、左にウイングを広げ、棄権しかねない無党派層を投票所に足を向けさせる力があったと思います。立憲民主党が政権に就くためには、そういう勢力とも連携しつつ、従来からの支持基盤である中道左派(社会民主主義)を固め、さらに中道層を自民党から奪うことを考えなくてはいけません。

立憲民主党は、現実的かつ即効性のある政策パッケージを提示し、右でも左でもない真ん中あたりの有権者にとっても魅力的な政党にならなくてはいけません。立憲民主党を中心とする連立政権ができるとすれば、社会民主主義から穏健な中道保守までを含む連立政権になると思います。

そのための最初のステップとして、元民主党系の3つの会派で衆議院で統一会派を結成するというのは意義があります。世界経済の雲行きがあやしくなり、アベノミクスのメッキがはがれつつある今こそ、政権交代の受け皿づくりを急がなくてはいけません。そのための統一会派に期待します。

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