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補正予算合計事業規模230兆円でGDPは?

2020年05月28日 22時05分00秒 | 経済
補正予算合計事業規模230兆円でGDPは?
 安倍政権の日本経済への関心は異常に強いようですね、新型コロナがいかに猛威を振るおうと、何が何でも成長路線を維持しよう、という事のようです。

 ケインズ政策を画に描いたような政府支出の大盤振る舞いで、安倍さんは「世界最大の補正の規模と言っています。(内、政府支出=真水は60兆円ほど)
 尤もこれは勘違いで、アメリカは2兆ドル(200兆円)近い真水(国家予算)の補正のようで、FRBの融資枠を含めると600兆円以上という事です。

 それはそれとして、政府の言う、事業規模230兆円というのはどういう事でしょうか、平たく言えば、政府が60兆円使えば、それに刺激されて(それに加えて)、民間が170兆円「消費や投資」に金を使うだろう、だから合計で230兆円という事でしょう。

 もし政府の言う数字が当たっているとすれば、それでは日本経済はどうなるのでしょうか。
 いま日本経済の規模は570兆円です。正確に言いますと、政府経済見通しによれば、2019年度が558.3兆円、2020年度が570.2兆円です。名目成長率は2.1%、実質成長率は1.4%です。物価上昇率(GDPデフレータ0.8%)という事です。

 しかし、民間のシンクタンクは、実質0.5%成長と見ていて、 政府の見通しは希望的観測と見られていました。
 このブログでは、成長率とインフレ率を高くしないと、財政再建目標に達しないからという理解でしたが、結果的に、新型コロナ問題が発生、成長率は10%~20%落ちる可能性も出て来てしまいました。

 お陰で、1年後に、「政府経済見通しは高すぎて、当たらなかった」という汚名を着せられる可能性は消え、政府はホッとしたはずです。

 その上に、新型コロナ禍を防ぐためには、財政再建などには構っていられない、国民の生活を救うためには、赤字国債でもいいからどんどん出すべきだ、という事になって、政府経済見通しは消し飛び、財政再建も消し飛び、プライマリー・バランス達成には歳入が2兆円か3兆円か足りないなどという議論も消し飛び、今度の第2次補正予算では32兆円の国債発行(うち23兆円は赤字国債)を、国民も容認することになるのでしょう。

 コロナ克服という大義名分で、大甘の経済見通しや財政についての不業績は不問になるのでしょう。安倍政権にはまさに「救い」のコロナ禍という事でしょうか。

 ところで、230兆円の規模の補正予算の合計は2019年度のGDPの何%でしょうか? 計算すればすぐ出ますが、230兆円/558.3兆円は41%です。

 これはどういう事かと言いますと、事業規模230兆円の2次にわたる補正予算が、すべてGDPの縮小を埋める「最終需要」として有効に働いた場合、2020年度のGDPが41%マイナス(GDPが前年比51%まで縮小する)としても、GDPは前年度の水準をキープできるという事です。

 コロナ禍で、放っておけば、GDが1割も2割も落ちる(縮小する)という見方はないではないですし、このブログでも3割減という事も考えないではないですし、産業・企業によってはもっとひどいケースも出ないとは言えないでしょう。
 しかし、全産業を総合してみれば、また、1年12か月を通してみれば、縮小幅には限度があります。

 冷静に見れば、GDPの41%という事業規模の補正予算は、異常に大規模という事でしょう。そこまでやって、1年たって、2020年度のGDPがいくらになるのでしょうか。
 
勿論、コロナ禍でGDPがいくら縮小したかは推計するしかないのですが、41%も落ちることはないでしょうから、かなり余りそうです。(余った分はどうなる・・?)

安倍政権の杜撰な経済見通しや財政再建についての不業績は、膨大な財政赤字を残しつつ、「コロナの惨禍がこの程度でよかった」などという中で、忘れられる事になっていくような気がするのですが、こんなことを考えるのはまだ早いのでしょうか。

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