角灯と砂時計 

その手に持つのは、角灯(ランタン)か、砂時計か。
第9番アルカナ「隠者」の、その俗世を生きる知恵を、私にも。

#285 「世の中には“邪悪な人間”がいる」・・・でもって、それを解らない(フリをする)人がいる。

2019-01-27 06:26:48 | メディア論
元来、ワタクシ性善説の人です。運勢やら性格やらの占いから、現実の交友関係においても「人を信じすぎて騙される、疑うことを覚えなさい」みたいなことをずっと言われてきました。

そんなワタクシですが、昨今の、韓国政府・メディアの振る舞いには、さすがに言葉がないと言うか開いた口が塞がらないと言うか、でして。ついつい、昔読んで「そうなのかなあ」と思った本を引っ張り出して読み返してしまいました。


はい、世の中には「平気でうそをつく人たち」が確かにいるんですね。

あるいは、自分の非を認めるくらいなら嘘をついた方がマシと考える人達と言うべきでしょうか。


世の中には、何があっても嘘をついてはいけないと考える人(多くの欧米人?)、人を思ってのことなら嘘が許される場合もあると考える人(多くの日本人?)がいたりするんだけれども、それとは別に、自分を守るためなら嘘をつくのも正しい行為だと考える人(大陸や半島に住む多くの人々??)もいるようでして。

だからなのか、(あまり多くを知ってるわけではありませんが)お隣の国で作られたドラマや映画では、目的は正しいと信じて嘘を重ね、けれど、結果としてその目的すら果たせなくなった人が自殺してオシマイ、みたいな展開が多いような気がしますね。現実のニュースでも、とにかく被害妄想と責任転嫁のオンパレードでして、実際に自殺してしまう人もいたりして、真善美、感動するだろうところ、共感するだろうところには、いささか彼我の違いを感じてしまいます。


なのに! それでも!!


近々の日韓関係悪化について、なお、こちらにも責任があるかのように言う、ワタクシ以上のお人好しもいるっていうんですから、世の中捨てたもんじゃありませんね。そう、天の声を人の言葉にして語ることができるらしい、日本の某新聞社です。その社説によると、

〈もちろん、日本側にも関係の悪循環を断つ責任はある。現場での国際規定を守るのは当然として、韓国側の訴えにも配慮する方策を考えるべきだろう〉

ということになるのだそうです。


いやいや、一般論としては喧嘩両成敗おおいに結構。高みからモノを言ってりゃ気分も良いでしょうけど、件の火器管制レーダー照射事案以降の悪循環の原因は、一部の曇りもなく、100%アチラに原因があるんですから、コチラは責任の取りようがありませんよ。いかにも場当たり的な言い訳をするし、完璧でっちあげの別件を持ち出すし、自己正当化のためとはいえ、もはや巧妙でも隠微でもない、すぐにソレと分かる嘘を繰り出してくるし、そういう集団を相手に一体どんな「配慮する方策」があるとこの御仁は仰るのでしょうか。「気持ちは分かる」とでも言えば良いのでしょうか。

こと、安倍さんや安倍さんのオトモダチに関しては、その悪意を印象付けようとやっきになる割に、半島の方々については、とことんその邪悪さを解らないフリをする・・・慰安婦やら徴用工やら、長年にわたって彼の国の人々を応援してきた(というか、彼らを焚き付けて日本政府を困らせることこそが、本当の目的だった?)だけのことはありますね。


ホント、世の中には“世の中に邪悪な人はいないと信じてるフリをする邪悪な人間”がいるんだな、と思ったりする大寒の日々です。

・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・

冒頭画像『平気でうそをつく人たち 虚偽と邪悪の心理学』草思社(1996)です。

帯に、

世の中には“邪悪な人間”がいる―
自己正当化のため巧妙かつ隠微なうそをつく
邪悪な人たちの心理とは?「人間の悪」の本質に迫る
スリリングな書。全米ベストセラー!


とありますが、参考までに目次を。

はじめに―取り扱いに注意
第1章 悪魔と取引した男
第2章 悪の心理学を求めて
第3章 身近に見られる人間の悪
第4章 悲しい人間
第5章 集団の悪について
第6章 危険と希望



ときに「第5章 集団の悪について」は、ベトナム戦争におけるソンミ村虐殺事件を題材にしたものなんですが、個人の悪と集団の悪、集団の責任といったことに触れていて、ここのところの韓国政府・メディアの有り様について頷くところ大でした。

以下、抜粋しておきます。

 〜〜〜しかし、こうしたナルシズムの利用は―無意識のものであろうと意図的なものであろうと―潜在的に邪悪なものである。邪悪な個人は、自分の欠陥に光を当てる全ての物あるいはすべての人間を非難し、抹殺しようとすることによって内省や罪の意識を逃れようとする。同様に集団の場合にも、当然、これと同じ悪性のナルシズムに支配された行動が生じる。(p275)


 通常、われわれは、証拠をつきつけられたときには、ナルシズムが傷つくことにも耐え、自分の考えを改める必要性を認め、自分のものの見方を修正する。しかし、ある種の個人に見られるものと同様に、国家全体のナルシズムもまた、ときとして通常の限界を超えてしまうことがある。そうしたことが起こると国家は、証拠に照らして自己の考えなり行動なりを修正するかわりに、その証拠を隠滅しようとしてかかる。〜〜〜(p296)


 あらゆる人間の悪の根源が怠惰とナルシズムにある、ということが子供たちに教えられるようになることを私は夢見ている。人間一人ひとりが聖なる重要性を持った存在である、ということを子供たちに教えるべきである。集団のなかの個人は自分の倫理的判断力を指導者に奪われがちになるが、われわれはこうしたことに抵抗しなければならない、ということを子供たちに教えるべきである。自分に怠惰なところはないか、ナルシズムはないかと絶えず自省し、それによって自己浄化を行うことが人間一人ひとりの責任だということを、子供たちが最終的に学ぶようにするべきである。この個人の浄化は、個々の人間の魂の救済のために必要なだけでなく、世界の救済にも必要なものである。(p310)




*草思社:平気でうそをつく人たち
http://www.soshisha.com/book_search/detail/1_741.html

・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・

本文中触れた朝日新聞社説はこちらです。有料会員でないと読めなくなってしまうので、(反則かもしれないですけど)一応全文引用しときます。

日韓防衛問題 冷静に摩擦の収束を 

 国防の活動において最も肝要なのは冷静な思考である。この隣国間の不毛なあつれきを、ただちに収束させるべきだ。

 日韓防衛当局間の摩擦が止まらない。海上自衛隊機へのレーダー照射問題に続き、今度は韓国側が新たな抗議を発表した。海自機が韓国の艦艇に繰り返し威嚇飛行をしたとしている。

 日本政府は否定しており、やはり双方の主張は食い違う。

 懸念する事案が発生したというのなら、相手に伝え、事実関係を調べるのは当然だ。ところが今の両国当局間では、そのための対話も円滑に進まない。

 その憂うべき事態のなかでも今回の韓国側の発表は、明らかに穏当さを欠いている。国防相が記者団の前で、海自機への実力行使までをも示唆したのは極めて不用意な発言である。

 これに先立つレーダー問題での協議は平行線をたどった。日本側は批判の応酬を避けるためとして、協議を打ち切った。

 後味の悪さは残るものの、今後の関係を考えるとやむを得ない判断と言うべきだろう。だが韓国側は納得せず、協議の継続を求めている。

 両防衛当局はこれまで、北朝鮮問題の緊張が高まるたびに、米軍と共に協力を深めてきた。2016年には、曲折の末に日韓の協力を明文化した軍事情報包括保護協定を結んだ。

 遅々としながらも前進してきた防衛協力を、無為に損ねてはならない。最近の朝鮮半島での緊張緩和を背景に、韓国側で万一、対日協力への関心が薄らいでいるとすれば、未来志向の信頼関係は築けまい。

 もちろん、日本側にも関係の悪循環を断つ責任はある。現場での国際規定を守るのは当然として、韓国側の訴えにも配慮する方策を考えるべきだろう。

 日韓は排他的経済水域が重なるほど距離が近い。偶発的な事故や誤解を生まないためにも、平素から独自のルールを定め、認識を共有する防衛交流を深めることが有効ではないか。

 スイスでの外相会談では、この問題や徴用工問題などを話しあい、意思疎通を緊密にすることを確認した。いまの大半の問題は、背景に政府間の風通しの悪さに伴う不和がある。

 来月下旬には米朝の首脳会談が計画されている。結果がどうあれ、日韓が結束してあたる必要性が高まるのは自明だ。

 隣国関係を大局的に見据える政治のかじ取りが必要だ。こじれる諸問題を座視してはならない。安倍首相と文在寅(ムンジェイン)大統領は今こそ直接対話し、両国民に協調の価値を説くべきである。


*朝日新聞デジタル:(社説)日韓防衛問題 冷静に摩擦の収束を 2019年1月25日
https://www.asahi.com/articles/DA3S13863591.html?ref=editorial_backnumber


最新の画像もっと見る

コメントを投稿