世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●ちょいと変 浮かれてリスクを忘れた株式市場

2019年04月21日 | 報道

●ちょいと変 浮かれてリスクを忘れた株式市場

改元、新札、新天皇即位、G20,オリンピック、万博……。

安倍政権は、ふたつの統一地方選、そして、本番の参議院選までの間、兎に角、自分自身の活躍をNHKを核とするテレビ局に追いかけるよう命じているようだ。

そうすることで、日本の政治には、自民党、延いては安倍晋三と「こんな人たち」しかいないような、「空気」を作りだしている。

世界全体の経済は、米中経済摩擦、英国ブレグジッド、中国経済の減速、トランプの保護主義と、客観的に見て、良い方向ばかりとは言えない。

経済界では、AIだ、ロボットだ、自動運転だ、ips治療だ、5Gだ、ブラックホールだと、手を変え品を変え、次なる時代の経済成長のエンジンはこれだ、と囃し立てる。

この先々の夢物語は、姑息な安倍晋三のトラップ、改元、新札、新天皇即位、G20,オリンピックなどと、或る意味で変わらない臭いがする、などと、皮肉な筆者はいつも思う。

あやふやな安倍のイベント攻勢や、あやふやな21世紀のテクノロジー賛美と云う現象は、或る意味で似ているのだろう。

世界の株価は、未だにマネーの吹き溜まりとなり、経済を反映する指標から、幾弾も遠のき、経済指標として、説明できる段階を失った。

毎日新聞にエコノミストの熊野英生氏が以下のように述べている。


≪ 回復する日米株価「でも皆さん楽観的過ぎませんか?」
2019年2月27日 熊野英生 / 第一生命経済研究所 首席エコノミスト

 日経平均株価は、昨年末の12月26日に直近の安値1万8948円(取引中の安値)をつけた時は、「2万円割れして株価はどこまで下がるのか」と心配させた。

 それが一転、最近は2万1000円台まで回復している。株価急落前の高値は昨年10月4日の2万4247円(取引中の高値)で、これからみるとまだ半値戻しに過ぎないが、年末年始の悲観からは抜け出したようにみえる。

 こうした株価の変動は、ニューヨーク株価とも連動している。ニューヨーク株価の方がより堅調で10月初の水準近くまで回復している。日本株が相対的に回復が遅れているとしても、ニューヨーク株価に次第に追い付いていく公算は大きい。

■株価を支えているのはFRBなのか
 株価回復の理由は次の三つが挙げられる。(1)米中貿易協議への楽観的期待(2)米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げ停止に動いた(3)トランプ政権が大胆に動きにくくなった--である。

 米中協議を巡ってはさまざまな思惑が交錯する。米国産品の輸入拡大や人民元安誘導の制限など閣僚級協議で合意できた部分もあるが、知的財産保護問題のように前進しない部分もある。ただ、ここにきてトランプ米大統領は、3月中にも習近平・中国国家主席と首脳会談を開き、さまざまな問題をトップ会談で解決させたい意向を示している。ニューヨーク株価の回復は、協議の前進を好感するものだろう。

 しかし、仮に米中貿易摩擦問題が解決の方向に向かったとしても、これまでの経済悪化が進んでいく流れが改善するとは思えない。

 深刻なのは、米国よりも中国だ。特に中国の対米輸入は、2019年1月は前年比41%減と著しい。7月から8月にかけて制裁関税が課され、9月に2000億ドル相当の中国製品へ10%の関税がかけられたことへの報復関税が効いている。こうした打撃が、協議がうまくまとまったから即座に改善するとは思えないことには留意が必要だろう。

 だとすると、株価を支えている影の主役は米国の金融政策なのか。FRBは、利上げをいったん停止して様子見する姿勢に変わった。6月から再度利上げを再開するという見方があるが、もう利上げを打ち止めにするという見方が支配的になってきている。

 米長期金利は、3%近くから2.6~2.7%へと低下した。利上げ打ち止めの観測は、景気を減速させる要因がなくなるという意味で株価にプラスである。また、米国の利上げはドル建て債務のコスト上昇を通じて新興国の利払い負担を高める懸念もあったが、そうした懸念をやわらげる効果もある。

■鈍る「トランプ外交」はプラスに作用
 昨年はトランプ大統領は大暴れだったが、中間選挙で、下院で共和党が多数派を失ってから微妙に変わってきた。

 一見このことは、経済に悪影響とみられやすい。トランプ大統領が議会での主導権を失うのだから経済にもマイナスという見方である。しかし、少し時間がたつと、トランプ外交が自由度を縛られることは株価にもプラスの側面があるように思えてきた。

 例えば、日米物品貿易協定(TAG)交渉は、当初の1月から春先の4月ごろまでずれ込みそうだ。米国内でトランプ大統領が議会調整に力を奪われて、18年ほどは外交に集中できない。

 貿易交渉では、日本や欧州連合(EU)との交渉をできるだけ簡単に済ませて、中国に集中する構えである。否、議会で民主党に足かせをはめられた今、中国との貿易交渉も早期結着させるプレッシャーがかかっている。

 株価は、トランプ外交が思ったほど強権を振るえなくなったことを見透かして、貿易交渉のソフトランディングを予見しているのかもしれない。

■米国の小売りは「期待を裏切る」
 日米株価が年末からリバウンドしてきたのは、最悪の事態からの回避に反応したもののように思える。だが、四半期決算が予想以上に悪く、中国経済の減速が日米企業の業積をさらに厳しいものにしていくとみるならば、株価は再び悪化する可能性もある。

 好調が予想されていた米国の小売売上高は期待を裏切った。米政府機関閉鎖の悪影響は必ずどこかに表れてくるとみられる。悪材料が注目されにくい理由は、投資家心理が悪い条件に驚かなくなり、政策面での期待の方に敏感だからであろう。この状態を「楽観的」という。経済が悪化するとまたFRBが助けてくれるという期待も楽観しすぎだ。

 結論として、筆者は日米株価の回復には懐疑的である。「回復が続く」に3割、「もう一度下落が進む」7割といった感じであろう。明言できないのが苦しいが、みな少し楽観的だと思う。
 ≫(毎日新聞:熊野英生の「けいざい新発見」)


熊野氏の株式展望は、テクニカルにも正鵠を得ている。

筆者の場合、NY株式市場に関しては、米国社会のファンダメンタルから考えて、マネーの動きや、株式市場の動きは、テクニカルに考えて問題はないと思う。

しかし、東京市場の株価については、日銀やGPIF等のマネーが湯水の如く投入され、日経平均で5000円は下駄を履かされている事実を見逃すことは出来ない。

つまり、日経平均が2万2千円であれば、実質は1万7千円と考えておけば良い。

この数字は、日銀が債務超過に陥る株価の線上を、未だに綱渡りしていると云うことだ。

また、アメリカ社会にも、トランプ爆弾と云う不安材料はあるが、産業構造の変化は確実に進められており、人口構成上の不安も大きくはない。

白人人口の比率云々問題はあるが、白人が絶対的に優勢なわけでもないのだから、世代間バランスは許容範囲だ。

しかし、官製相場で株式を大きく膨らましている日本の市場は、本質的に違う。

無論、根本的、人口減少社会が鮮明なわけだから、NY市場と連動する局面もあるだろうが、或る閾値を越えたとき、そこからの連動を期待するのは間違いなのだろう。

東京市場が、幻の22,000から23,000円を保持している間に、日銀がいくばくかでも、売り抜け、身を軽くしてくれれば良いと願っているが、スーパーコンピュータの監視の中では無理なことだろう。

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