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2019年11月11日
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小説西寺物語 ３話守敏、芹と葱で大僧正に!
守敏が九条村の農民から信頼が厚い理由は他にもあった。それは村長の常吉の娘「お種」を守敏が妻にしていた経緯がある。この当時の奈良仏教は妻を娶ることは建前ではできなかったので守敏の自坊の岩渕寺八条別院での同居はできなかった。そのためにお種の部屋は常吉の屋敷内に離れとして建てられ守敏が夜な夜な通うという通い婚になっていた。 やがて、お種が身ごもり可愛い女の娘が無事産まれてきた、その娘は「真子」と命名されていた。この当時には守敏は奈良仏教を代表する守敏ではなく京の都を代表する有名人気僧侶になっていた。この先、同じ官営の東寺と西寺があるが、西寺の方が格上で守敏も従七位の官位があるからこそ貴族からも信頼を得ていた。そうなればこの真子はいずれ朝廷から官女、侍女とお呼びがかかり最低でも高級貴族の正妻に、これが運よく天皇の目に止まり天皇の王子を妊めば真子は皇太子の母、そして天皇の母にもなる大きな夢を守敏も常吉も九条村のすべてが抱いていた。 九条村に九条葱の栽培を指導した守敏は岩渕寺の檀家でもあり、また西寺建設工事に労役の協力をしてくれている西七条村にもなにか恩返しの農業指導を考えていた。この西七条村は元々湿地帯で沼も多く村中どこを掘っても水が湧き出ていた。水田には最適の土地だが、少し雨が降ると田畑が水没して九条葱には適していなかった。 そこで守敏は修行をしていた岩渕寺境内の小川に自生していた芹を思い出して弟子3名にその芹の苗や種を持ち帰るように命じていた。この芹は奈良仏教がまだ栄えていたころ奈良の僧侶数名が遣唐使に派遣されていたが、その時に種を持ち帰っていた。その種から芹を奈良の農民が栽培を試したが、奈良の土が合わなかったのか栽培されずに忘れられてもう10年が経っていた。 守敏はその後寺の前の小川で自生している芹を発見してこの芹は水の中で育つ植物だと思いながらも奈良の農民に教える機会もなく忘れていた。この芹の種と苗が来たと同時な守敏は西七条村の農民を岩渕寺八条別院に集めて芹の栽培を指導していた。農民らは九条村の葱の栽培の成功と高値で取引されるのを嫉妬と妬みで時には九条村への農水路の水を意地悪から止めたこともあった。この芹の栽培が見事に成功したことへの感謝として西七条村の農民の西寺建設工事の公的労役60日の他に30日の自主労役を守敏に申し入れていた。 守敏が西寺建造の副造寺司に赴任してから5年経っている。もう35歳になっていたが、貴族の橘氏の血を引くのか色白の細面の公家顔で背丈も五尺九寸と長身だが細身で法衣を着て歩く姿は凛々しく守敏を一目見ようと朝早くからお参りの女子は農民の娘から貴族の嫁まで日の入りまで絶えなかった。京の都も長岡京から公家、貴族はもちろん商人や職人まで都への引越しは終わり都の人工は10万人を超えていた。 守敏とお種の間に生まれたた「真子」も元気に育っていたが、その後、お種には子供が授からなかった。そこで西七条村の村長で岩渕寺八条別院の檀家総代でもある留吉はお種が子供を産めないなら側女をと進言してきた。守敏は奈良仏教の教えからしてその様なことは出来ないと丁寧に断わっていたが、留吉は、 「でもね～守敏さま、西寺が完成するまでに30年とも50年とも言われています。守敏さま一代では到底無理て寺を完成させるにはどうしても守敏さまの血筋の男子が必要になります。もし男子ができなかったらこの寺の後目を狙って奈良仏教はもちろん、比叡山も横槍を必ず入れて来るのは目に見えています。そうなれば京の都は奈良仏教と比叡山の宗教戦争が起こり西寺も東寺も焼かれてしまいます。我々西七条村も九条村もこれから先西寺が完成するまでの工事を孫子の代まで引き継ぐ決意ですが、是非、側女を…なんならお好きな娘を5人でも20人でも男子が数名生まれるまでお世話させていただきます」 守敏はこの話しにいい返事はしなかったが、村長の留吉と松尾神社宮司の酒公と共謀して西寺西門から北へ三町(約360メーター)の場所に松尾神社の西七条御旅所の社殿を造り、その敷地に守敏専用の屋敷を作っていた。その屋敷には留吉の孫娘でまだ15歳の「清子」を行儀見習いという名目で守敏の側女として置いていた。この当時の成人とは男女とも15歳であったからこれはこれでなにも問題はなかった。 守敏にすればこの西寺建立に命を賭けていたので西七条村民の89世帯成人男子221名、九条村民78世帯成人男子168名の自主労役30日、1年間述べ11670名の労働力を失うことができなかった。やがて守敏が清子に足しげく通う姿に村民は安堵していたが、その後、1年が経っても清子は守敏の子供を身ごもらなかった。その話しは西七条村民や九条村村民ばかりか朱雀大路に店を構える油問屋、米問屋などの大商人までが娘や孫娘を守敏のお世話側女に置いほしいとの話しが次から次へと舞い込んできた。 このころの守敏は西寺の「完成にはどうしても男子の後取りが必要」だと側近からしつこいほどの暗示をかけられていたのでその申し入れのほとんどを受け入れていた。このお陰で今まで岩渕寺の檀家のすべてが農民の檀家だったが、娘や孫娘を差し出した宮廷御用達の大商人も競って檀家になっていた。さらに西寺建立のために木材や瓦までが寄進されたので守敏は奈良仏教の代表から都を守る国営西寺、東寺両寺の代表造寺司従七位大僧正の地位を確立していた。 小説 「西寺物語」 1話 守敏と空海の因縁の争い・西寺跡発掘調査・女装小説家 オカマのイナコ 小説 西寺物語 2話 九条葱が西寺を救った   おかげさまで、この「伏見稲荷大社の物語」が大ヒット中で連日100ほどのアクセスで読まれています。さらに100話まで書く予定です。 無料の電子書籍…お笑い歴史コラム…「伏見稲荷大社の物語」～８５話まで書けています。目次機能で好きなタイトルを探してゆっくりお読みください。 このコラムが少しでもおもしろかったら↓↓↓の画像をワンクリックしてください。ブログランキングに参加しています。現在５～７位どす。。。あなたの愛のワンタップが私に生きる勇気を与えてくれます。１位まではあと少し…よろしくおねがいいたします。小説家ランキング ★★★…完全無料の大人気の電子書籍…ダウンロードしてゆっくり完読してください。 http://p.booklog.jp/book/108339/read ★…長編小説「トラック３姉妹・ダンプ姉ちゃん理恵」…３１話・運輸・建設の職場には賃金の男女差別はなく高賃金でもう男なんどに頼らなくても子育てできる運輸業界、建設業界を確立した理恵社長の物語。女性に大人気の小説になっています。 ★…｢働く女性たち 駆け込み寺居酒屋ポン吉｣ １話２分で読める、５１話まで書けている、少しＨだが女性に大人気。目次機能がありますから好きなタイトルを探して読んでください。 ★…中編小説「天使の恋～美幸…明美…真弓…梨香…美雪…早苗…香奈～７名の恋の物語」…すべて京都のタクシードライバーが主役になっている少しHな若い女性のドラマ、女性に大人気で静かなヒット作になっている。二つの書籍から お気に入りの記事を「いいね！」で応援しよう
最終更新日
2019年11月11日 08時25分46秒
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