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小説盆栽物語 17話 盆景日本初の茶の種を撒く、坂本、信楽、朝宮茶
盆景和尚の日本での仕事は盆栽を普及させることの他には茶の木の栽培と茶を飲むという文化の伝承もあった。これまで遣隋使から遣唐使まで数回に渡って茶の苗木や種を持ち帰り栽培を試されたが、どれも成功はしなかった。盆景和尚は中国での茶の発祥の地でもある福建省の岩茶研究所でも茶の修行をしていた。この岩茶を険しい山に登り見つけ持ち帰ったのも盆景が盆栽の修行をしていた八代目雅山の初代の雅山少年でもあった。その雅山少年が見つけた300年前(現在からすれば1200年)の岩茶の原木は今でも福建省の岩茶研究所に3本あり、その雅山少年が作った盆栽2鉢の内一鉢を日本に持ってきてそれは九常寺で常時展示されている。 この岩茶は元々烏龍茶の種類だったが、種や接ぎ木、挿し木から改良されて紅茶や緑茶になった。世界の茶の先祖はすべてこの雅山が見つけた岩茶になる。盆景和尚が日本に持ってきた茶は空海や最澄が好んで飲んだ緑茶が日本人には口が合うと緑茶の種を選んでいた。岩茶研究所で教わったことだが、この緑茶は椿が育つ土壌が好きでそれも根が真下に延びるので椿が育つ表面近くの土壌が地中1メートル以上ある土地が良いと聞いていた。 その話を元九常寺の住職の戒本に話をしていると、戒本は、 「私は比叡山で10年修行してきたが、最初に赴任した寺が比叡山の里坊坂本の恵光院だったが、この坂本の地は比叡山の麓から琵琶湖まで急な坂で里坊50ヶ寺院を建てるには段々畑のように琵琶湖側に約20~30段の石積み(穴太積み)が必要になります。そこに土を入れて平にします。そこに寺を建てて琵琶湖側に庭を作りますが、その庭には椿の種が土に混じりこんでいたのか、アチコチに椿の新芽がでますし椿も大きく早く成長します。その土は日吉大社の北側の山のものですが、その山には椿の大木が多く自生しています」 「ほう、椿の大木なら地中深く根を張るから茶の土壌に適しているかもわからない」 盆景和尚は戒本から恵光院の住職への紹介状を書いてもらい坂本に向かっていた。京から坂本までは約5里だが、国土が日本の10倍もある唐国で育った盆景和尚には5里ぐらいは寺子屋に行く程度の距離でおにぎりを3個持って出発した。三条大路から東山を越えて近江との国境の逢坂峠からは眼下に琵琶湖が見えた。元大津京があった大津港から琵琶湖の西側を北へ歩けば比叡山延暦寺の山門と里坊の町、石積みの町坂本に着く。 湖岸の琵琶湖から比叡山延暦寺根本中堂までは急坂で約一里だが、先に戒本が修行していた恵光院の住職を訪ねた。恵光院の庭からは琵琶湖が一望できる。その庭にはたしかに椿の木が多い、住職は、 「この土を取った山はもう平地になり今は日吉大社の敷地になっています」 「そうですか、それなら椿が自生している山はありませんか?」 「いや~それはもう坂本にはないが、この庭でその茶の木を育てて下さい。幸いこの寺には修行僧が3名いますからその僧侶に世話をさせます」 盆景和尚と3人の僧侶で琵琶湖の湖面からの日の反射がよく当たる石積み際を耕して盆景が持って来た約100粒の種の内50粒を撒いていた。この茶の木は新芽から4年~6年しないと茶の収穫はできないので盆景和尚の日本への留学中には茶摘みはできないのでこの茶の栽培のすべてを住職と3人の僧侶に託していた。 この住職の恵光は近江の国甲賀信楽朝宮村の出身でこの朝宮村にも椿の大木の岩谷山があることを盆景和尚に教えていた。その場所は平城京の離宮があった紫香楽宮に近くその当時の公卿が椿が好きで植えたものだが、廃宮になりそのまま椿は大木になったという。この山は天台宗朝宮寺の裏山になるのでここにも残りの種を撒こうと決まっていた。 その夜は恵光院に泊まり盆景のおごりで3人の僧侶とともに般若湯で宴会をしていた。明くる日には信楽に行く予定だが、坂本から信楽までは約12里ほどあるが、道も山また峠の連続で到底唐国の盆景では行けないと2人の僧侶が道案内をすることになった。信楽は山里だが、紫香楽宮跡や甲賀寺もあり農家の数も多くて朝宮寺の屋根は瓦葺の立派な寺だった。 盆景のまだあやふやな日本語に代わり恵光院の僧侶が朝宮寺の住職に茶の栽培の説明をしたので住職の香山はすぐに納得して寺の裏山の日当たりが良く水はけが良い南側斜面を茶畑に貸してくれた。そしてこの茶の唐国での由来を説明してから、香山に、 「私はこの茶の栽培には参加できないが、もし4~5年先に茶葉が収穫できたら真っ先に比叡山の最澄と空海に報告してほしい、その先は比叡山から天皇に献上する日本国最初の茶になります。そしてこの茶は「朝宮茶」と命名してほしい」といいながら盆景は香山に銀一枚を手渡していた。 ★17話のあとがき=住職の香山は朝宮村の農民に朝廷に献上する「朝宮茶」を栽培することは名誉なことでこの茶を村民一同で育てようと激を飛ばしていた。盆景和尚が茶木の育て方と茶葉の収穫方法や茶葉の蒸し方、乾燥方法まで描いた水墨画に書面は100枚以上に及びこの書面は朝宮寺が厳重に保管して村外持ち出し禁止となった。 やがて5年の月日の後に朝宮村と坂本の恵光寺の茶は育ち村民の手で加工されたが、失敗の連続で盆景和尚に聞こうと思っても盆景は809年の遣唐船で唐国に帰国していた。813年の八十八夜に収穫した茶葉でやっと成功した日本初の緑茶は比叡山の最澄と空海に報告され嵯峨天皇に献上された。これを歴史上は最澄と空海が唐国から持ち帰った茶とされているが、盆景和尚の名前は日本史からなぜか?消えていた。 この朝宮茶の種や苗木は高く売れたが、それが朝宮村の隣村の宇治田原、宇治に広がり、やがて全国に広がったが、この茶を唐国から持ち帰った最澄、空海には農民が感謝して天台宗と真言宗と茶の栽培が爆発的に全国に増えたのは盆景のおかげだと空海は唐国の盆景和尚に感謝の手紙を送っていたが、そのころの盆景和尚は唐国一で首都長安の西明寺の貫主大僧正宗景に出世していた。 ★★★★★新連載小説をはじめました。 小説盆栽物語 1話 空海唐から盆栽50鉢持ち帰りへ 小説盆栽物語 2話 宗景造園業に弟子入りで盆景和尚となる 小説盆栽物語 3話 盆景(盆栽)のルーツ、雅山少年が発見 小説盆栽物語 4話 宗景、玉林の禁断の恋から若者たちが盆景を爆買い 小説盆栽物語 5話 玉林、宗景皇帝に祝福され結婚…豆盆栽 小説盆栽物語 6話 日本茶のルーツは武夷岩茶の盆景になる 小説盆栽物語 7 話 椿の盆景が明懸尼寺を再興させた 小説盆栽物語 8話 玉林(ユーリン)に赤ちゃんが! 桓武天皇崩御 小説盆栽物語 9話 空海屁理屈禅問答で盆栽は戦争をなくす 小説盆栽物語 10話 玉林、盆景和尚長安での最後の別れの夜 小説盆栽物語 11話 最澄、空海官位剥奪の上5年間謹慎処分 小説盆栽物語 12話 遣唐船嵐でニ隻難破、空海長崎で説法会 小説盆栽物語 13話 空海真言宗を開山、1月7日は「盆栽の日」に制定 小説盆栽物語 14話 盆栽無事京の都に、その夜、比叡山燃える 小説盆栽物語 15話 東寺、日本大観覧盆栽・植木市へ 小説盆栽物語 16話 第一回東寺盆栽展、大植木市大盛況 ★★★ 小説西寺物語 1話 守敏と空海の因縁の争い・西寺跡発掘調査・女装小説家 オカマのイナコ 小説西寺物語 2話 九条葱が西寺を救った 小説西寺物語 3話 守敏、芹と葱で大僧正に! 小説西寺物語 4話 稲荷神社のお告げで長岡京遷都決定 小説西寺物語 5話 寺と村落ぐるみ乗っ取り大作戦 小説西寺物語 6話 東大寺権操、守敏長岡京へ抗議の旅 小説西寺物語 7話 東大寺僧兵300名稲荷神社と戦へ 小説西寺物語 8話 農民稲荷神社炎上を救う 小説西寺物語 9話 守敏僧都、都を代表する名僧に! 小説西寺物語 10話 最澄、空海唐へ、守敏奈良仏教から破門 小説西寺物語 11話 僧侶不足で奈良から僧侶引抜き大作戦 小説西寺物語 12話 神野親王武家源氏を旗上げ 小説西寺物語 13話 巨大権力(奈良仏教)には経済封鎖を 小説西寺物語 14話 皇太子の不倫…人妻・薬子の変 小説西寺物語 15話 平安時代の美魔女薬子の野望 小説西寺物語 16話 平安時代のスーパースター光源氏誕生 小説西寺物語 17話 薬子の限りない野望…その1 小説西寺物語 18話 807年空海真言宗を立ち上げる 小説西寺物語 19話 最澄罪人ながら凱旋門から入城、比叡山へ 小説西寺物語 20話 即戦力になる奈良仏教の僧侶改宗大作戦 小説西寺物語 21話 奈良仏教稲荷神社の仲介で金銀三十万貫を比叡山へ 小説西寺物語 22話 西寺東寺塔頭60ヶ寺建造工事着工へ おかげさまで、この「伏見稲荷大社の物語」が大ヒット中で連日100ほどのアクセスで読まれています。さらに100話まで書く予定です。 無料の電子書籍…お笑い歴史コラム…「伏見稲荷大社の物語」~85話まで書けています。目次機能で好きなタイトルを探してゆっくりお読みください。 このコラムが少しでもおもしろかったら↓↓↓の画像をワンクリックしてください。ブログランキングに参加しています。現在5~7位どす。。。あなたの愛のワンタップが私に生きる勇気を与えてくれます。1位まではあと少し…よろしくおねがいいたします。 小説家ランキング ★★★…完全無料の大人気の電子書籍…ダウンロードしてゆっくり完読してください。 http://p.booklog.jp/book/108339/read ★…長編小説「トラック3姉妹・ダンプ姉ちゃん理恵」…31話・運輸・建設の職場には賃金の男女差別はなく高賃金でもう男なんどに頼らなくても子育てできる運輸業界、建設業界を確立した理恵社長の物語。女性に大人気の小説になっています。 ★…「働く女性たち 駆け込み寺居酒屋ポン吉」 1話2分で読める、51話まで書けている、少しHだが女性に大人気。目次機能がありますから好きなタイトルを探して読んでください。 ★…中編小説「天使の恋~美幸…明美…真弓…梨香…美雪…早苗…香奈~7名の恋の物語」…すべて京都のタクシードライバーが主役になっている少しHな若い女性のドラマ、女性に大人気で静かなヒット作になっている。二つの書籍から ★…天使の恋~美雪、早苗、香奈…3人の恋の物語も大人気 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年03月27日 08時01分33秒
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