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小説盆栽物語 18話 坊主が太ろうと思えば、まず農民を太らすこと(最澄)
盆景和尚は朝宮村と坂本の恵光院で唐国から持って来た茶の種100粒を撒いて比叡山坂本の登り口から最澄の延暦寺に向かって歩いていた。根本中堂までは約一里ほどだが、かなり険しい山で九十九折の峠からは琵琶湖が一望できるかと思えば京の都も一望できる近江と京の境界線に比叡山はあった。 これから会う最澄とは最澄と空海が遣唐船で明州の港に着いた日に最初に中国人と話をしたのが盆景になる。その夜は盆景の寺で3人で言葉は分からないのに般若湯で大いに盛り上がったが、それからこの3人で1500キロ離れた唐国の首都長安まで歩き、また、日本へ帰る遣唐船の中でも、博多で空海と別れた瀬戸内海の船の中までの約2年間は最澄と盆景は一緒に般若湯を飲まなかった日は数えるほどしかなかった。 まだ山の中腹までしか歩いてはいないが、前から歩いて来る僧侶のなんと多いことか、僧侶らは二人一組で盆景を見つけると立ち止まり手を合わせ深々と御辞儀をしてくれる。盆景も同じようにするが、もうかれこれ30組と挨拶している。ある僧侶に聞くとこれらの僧侶は京の都の洛中、洛外の村々をたずねては比叡山仏教の布教をしているという。これらの村の農民は平安京遷都以後に京の洛中、洛外に移民して来た農民らでもう移民して10年が過ぎて生活も落ち着き村全体に余裕ができて村に寺が必要になっているという。 しかしながら、これらの農民のすべては元は奈良仏教系のどこかの寺の檀家で比叡山仏教とは縁がなかった。奈良仏教が良くても悪くてもこれら農民の先祖から続く宗派であり先祖が眠る寺の本山はやはり奈良仏教になる。その奈良仏教は村に寺ができれば村の方から僧侶の依頼があると偉そうにふんぞり返って布教活動すらまともにしてこなかった。 これは農民だけでなく平城京から長岡京を経由して京の都に移転してきた公卿や貴族、それらの御用商人、宮大工に米屋に塩、味噌、酒屋から魚屋まで奈良仏教のどこかの宗派の寺の檀家だった。しかし、それは最澄と空海が唐国から帰国して空海が官営東寺の官主に内定したことから元奈良仏教の信徒も遠い奈良仏教よりも都から北東の山を見上げればそこには比叡山が目の前に見える。そして比叡山の修行僧の1000名が山から下りて托鉢や布教のために一斉に洛中、洛外の農民、商人、庶民にふれあったために都での布教活動は見事に成功していた。 とはいっても奈良仏教は全国に2500ヶ寺院の末寺を持ち、比叡山仏教は天台宗の250寺院、空海の真言宗が150寺院と大きく水を開けられているので、まだまだ、踏ん張ると盆景和尚に熱く夢を語る修行僧の姿に盆景は最澄と空海の違う魅力を発見していた。盆景和尚が知る最澄と空海は酒飲みで時には賄賂もコネも使い、人脈、屁理屈を巧みに使う策士でまた遣唐使として20年間の修行を朝廷に申請をして20年分の滞在費を朝廷から引き出し唐国での贅沢三昧で金がなくなったとして2年で帰国したことから詐欺師と呼ばれて朝廷から官位剥奪の上5年間の謹慎を命令された生臭坊主だったが、あれは唐国だけの最澄と空海の姿で日本では品行方正な僧侶なのかと今夜また一緒に般若湯を飲む時に聞こうと楽しみにしていた。 盆景和尚が根本中堂に着くと門前には正装した最澄が笑顔で迎えてくれた。お付きの幹部の僧侶30名に盆景和尚は唐国一の首都長安の西明寺の次期貫主で現在は真言宗九常寺の住職と紹介してくれている。すぐに根本中堂で盆景和尚のための読経が行われていたが、この雄大で厳かな根本中堂の主で比叡山仏教を開祖したのが盆景と唐国の西明寺宿坊で連日連夜般若湯を飲んでいた最澄と同じ人物かと思うと比叡山仏教とは恐ろしい僧侶を排出する宗派かと思っていた。 盆景は最澄が生活する宿坊に案内されて例によって最澄と盆景、それに幹部僧侶30名の盆景和尚歓迎大宴会が始まっていた。料理は山薬(牡丹鍋)で若い修行僧がテキパキと働いていた。最澄は般若湯と山薬の説明を盆景に説明している。 「この般若湯は奈良から蔵ごと京の都の洛中に10軒、洛外の伏見周辺に13軒も移民した蔵元から運ばれてきた元奈良で今は京の地酒になります」 「ほう、これは旨い!、しかし、なら、奈良から蔵元が消えれば奈良の経済も冷えこむが…」 「そう、これらの蔵元からの半強制的な奈良仏教への献金がなくなって蔵元は喜び、奈良仏教は滅びる」 「これも桓武天皇が京の都に遷都した理由になるのか?」 「その通りでこの一連の作戦はもう20年前に私と稲荷神社の宮司の伊呂具と考えたものだ!。ただ我々はこの般若湯の原料となる酒米を生産している近江や丹波の地には必ず比叡山仏教の末寺があり、この酒米の育成や病気の対策、それに灌漑用水路の土木工事から品種改良の専門学者僧侶を毎年丹波と近江に100名ほど派遣している。その結果酒米の生産は5割り増しで酒の醸造も5割り増しになり朝廷に入る酒税も5割り増しで農民も蔵元も国も栄える。その生産高のわずか一分~五分(1%~5%)の酒、いや、般若湯が蔵元の自主的な考えで比叡山に献上されたのが、この祝宴の酒、いや、般若湯になる。だから比叡山の見習い修行の僧侶を除いての僧侶はいつでも節度を考えて般若湯を飲める環境になっている」 この最澄の屁理屈にも取れる比叡山理論は盆景は長安で何百回も聞いているから日本に来て久しぶりに笑い楽しく最澄節を聞いていた。さらに最澄は、 「この猪は近江の山里で増え過ぎて農作物に甚大な被害が出ていたが、我が比叡山仏教の野生動物研究所学者僧侶が駆除した物である。この獣害から野菜を守り大豊作になった野菜類の一部を農民が比叡山に自主的献上したのがこの鍋の野菜になる。つまり「坊主を太らせようと思えば、まず農民を太らすこと」になる」 「なるほど…坊主が先に太ろうとしたのが奈良仏教ですね?、それで坊主憎ければ袈裟まで憎いになったのですね?」 「その通りだ、まず先に農民を太らせるというのが、比叡山仏教の根本思想の「民衆を救い、幸せにする」になる」 これら最澄の屁理屈理論は幹部僧侶を通じてすべての僧侶に浸透していた。その僧侶が太るという意味には僧侶自身が村々を布教して、その寺の住職になれば農民も太り僧侶も太ると布教活動に力を入れていた。この比叡山仏教では10年間の修行期間中は山から下りられず読み書きからそろばん、各専門分野(医療、薬学、農業、土木、建設、気象学、地質学、天文学など)を専攻してそれぞれ学者級にならなければ般若湯も飲めないし、住職にもなれなかった。最澄はこの10年の修行さえ耐えれば薔薇色の人生があると若い修行僧の前で般若湯をたら腹飲んでいるという最澄の屁理屈が大好きだった。 ★★★★★新連載小説をはじめました。 小説盆栽物語 1話 空海唐から盆栽50鉢持ち帰りへ 小説盆栽物語 2話 宗景造園業に弟子入りで盆景和尚となる 小説盆栽物語 3話 盆景(盆栽)のルーツ、雅山少年が発見 小説盆栽物語 4話 宗景、玉林の禁断の恋から若者たちが盆景を爆買い 小説盆栽物語 5話 玉林、宗景皇帝に祝福され結婚…豆盆栽 小説盆栽物語 6話 日本茶のルーツは武夷岩茶の盆景になる 小説盆栽物語 7 話 椿の盆景が明懸尼寺を再興させた 小説盆栽物語 8話 玉林(ユーリン)に赤ちゃんが! 桓武天皇崩御 小説盆栽物語 9話 空海屁理屈禅問答で盆栽は戦争をなくす 小説盆栽物語 10話 玉林、盆景和尚長安での最後の別れの夜 小説盆栽物語 11話 最澄、空海官位剥奪の上5年間謹慎処分 小説盆栽物語 12話 遣唐船嵐でニ隻難破、空海長崎で説法会 小説盆栽物語 13話 空海真言宗を開山、1月7日は「盆栽の日」に制定 小説盆栽物語 14話 盆栽無事京の都に、その夜、比叡山燃える 小説盆栽物語 15話 東寺、日本大観覧盆栽・植木市へ 小説盆栽物語 16話 第一回東寺盆栽展、大植木市大盛況 小説盆栽物語 17話 盆景日本初の茶の種を撒く、坂本、信楽、朝宮茶 ★★★ 小説西寺物語 1話 守敏と空海の因縁の争い・西寺跡発掘調査・女装小説家 オカマのイナコ 小説西寺物語 2話 九条葱が西寺を救った 小説西寺物語 3話 守敏、芹と葱で大僧正に! 小説西寺物語 4話 稲荷神社のお告げで長岡京遷都決定 小説西寺物語 5話 寺と村落ぐるみ乗っ取り大作戦 小説西寺物語 6話 東大寺権操、守敏長岡京へ抗議の旅 小説西寺物語 7話 東大寺僧兵300名稲荷神社と戦へ 小説西寺物語 8話 農民稲荷神社炎上を救う 小説西寺物語 9話 守敏僧都、都を代表する名僧に! 小説西寺物語 10話 最澄、空海唐へ、守敏奈良仏教から破門 小説西寺物語 11話 僧侶不足で奈良から僧侶引抜き大作戦 小説西寺物語 12話 神野親王武家源氏を旗上げ 小説西寺物語 13話 巨大権力(奈良仏教)には経済封鎖を 小説西寺物語 14話 皇太子の不倫…人妻・薬子の変 小説西寺物語 15話 平安時代の美魔女薬子の野望 小説西寺物語 16話 平安時代のスーパースター光源氏誕生 小説西寺物語 17話 薬子の限りない野望…その1 小説西寺物語 18話 807年空海真言宗を立ち上げる 小説西寺物語 19話 最澄罪人ながら凱旋門から入城、比叡山へ 小説西寺物語 20話 即戦力になる奈良仏教の僧侶改宗大作戦 小説西寺物語 21話 奈良仏教稲荷神社の仲介で金銀三十万貫を比叡山へ 小説西寺物語 22話 西寺東寺塔頭60ヶ寺建造工事着工へ 小説西寺物語 23話 西寺建造僧侶350名の大ストライキ おかげさまで、この「伏見稲荷大社の物語」が大ヒット中で連日100ほどのアクセスで読まれています。さらに100話まで書く予定です。 無料の電子書籍…お笑い歴史コラム…「伏見稲荷大社の物語」~85話まで書けています。目次機能で好きなタイトルを探してゆっくりお読みください。 このコラムが少しでもおもしろかったら↓↓↓の画像をワンクリックしてください。ブログランキングに参加しています。現在5~7位どす。。。あなたの愛のワンタップが私に生きる勇気を与えてくれます。1位まではあと少し…よろしくおねがいいたします。 小説家ランキング ★★★…完全無料の大人気の電子書籍…ダウンロードしてゆっくり完読してください。 http://p.booklog.jp/book/108339/read ★…長編小説「トラック3姉妹・ダンプ姉ちゃん理恵」…31話・運輸・建設の職場には賃金の男女差別はなく高賃金でもう男なんどに頼らなくても子育てできる運輸業界、建設業界を確立した理恵社長の物語。女性に大人気の小説になっています。 ★…「働く女性たち 駆け込み寺居酒屋ポン吉」 1話2分で読める、51話まで書けている、少しHだが女性に大人気。目次機能がありますから好きなタイトルを探して読んでください。 ★…中編小説「天使の恋~美幸…明美…真弓…梨香…美雪…早苗…香奈~7名の恋の物語」…すべて京都のタクシードライバーが主役になっている少しHな若い女性のドラマ、女性に大人気で静かなヒット作になっている。二つの書籍から ★…天使の恋~美雪、早苗、香奈…3人の恋の物語も大人気 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年04月03日 08時12分55秒
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