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小説西寺物語 24話 西寺守敏僧都は最澄、空海、稲荷神社に騙されているのか?
官営西寺の官主は西寺塔頭30ヶ寺院の住職から必ず選ばれるが、選ばれれば日本国を代表する大僧正になり朝廷から官位従六位が授与されて晴れの貴族になれる。さらに国家の重要な式典などには全日本の僧侶の代表として参列できることで名誉と権力と金はついて回ることになる。この国営西寺の塔頭の8ヶ寺は東大寺、7ヶ寺の大安寺、残りの奈良仏教5大寺院はそれぞれ3ヶ寺になるので常識的には東大寺から次期の官主が選ばれることになる。 この東大寺の中堅幹部で次期東大寺の貫主に一番近いとされる権大も西寺塔頭の住職に内定していたが、順守の話を聞いて辞退していた。大安寺は筆頭塔頭には明心、順位二番手には順守を内定していたのでこれらには絶対勝てないと残りの5塔頭内定者も辞退していた。これで大安寺の塔頭7ヶ寺院の住職はすべて明心が内定した住職が決定していた。 これら内定者の辞退の情報が入る度に西寺建造工事に派遣されている僧侶は大歓声を上げていた。残り21塔頭の内定者も現在の別格本山や有力寺院、有名寺院の住職という裕福な座を捨ててまで西寺塔頭の住職にはなりたくないと次々に全員内定を辞退してきた。これで明心が内定した全員が西寺塔頭の住職に本決定になっていた。 それらの最終情報は順守自らが西寺に持って来た。その夜、明心は塔頭工事僧侶350名全員を食堂に集めて大集会となったが、もちろん西寺官主に内定している守敏僧都も参加していた。そして守敏は、 「西寺の官主に内定していた私も東寺の官主に内定していた空海も平城天皇の愛妾の薬子さまから官位を剥奪されたが、内定の取り消しはされていない。それは何を意味するかというと、奈良仏教も比叡山仏教も次に官営西寺東寺の官主になる僧侶を育てて来なかったことに尽きる。比叡山はまだまだ新興宗派でやむを得ないが、私たちの奈良仏教の大幹部はすべて後期高齢者で京の都まで歩いては来られない。中堅幹部は大幹部の忖度部隊で我が身の保身ばかりで「民衆を救済をして、幸せにする」という仏教の根本を忘れた烏合の衆になっていることさえ分からない集団になっています。さすがの薬子さまも私の内定を取り消して奈良仏教の誰かを指名できなかったと薬子さまに近い貴族から聞いています。幸いこの中堅幹部のすべてからこの西寺塔頭の住職を辞退されましたのでここにいる僧侶が明心が決めた塔頭30ヶ寺院の住職及び僧侶になります。そして官営西寺の建造工事が再開されて西寺が完成すればこの西寺の運営はここにいる僧侶が行います。したがってこれから先は塔頭工事部隊と布教部隊に別れて修行いたします。そして布教した村々の寺院は西寺塔頭の末寺とします。つまり、我々は奈良仏教西寺派として本山を官営西寺に置きます。まぁ~いわば奈良仏教六宗派七大寺院から「奈良仏教七大宗派八大寺院」になるのです」 この守敏僧都の大演説を聞いていた順守は、心の中で、 「たしかに官営西寺は奈良仏教から独立した寺であって西寺官主が塔頭寺院を支配できるのはわかるが、奈良仏教西寺派というのは少し行き過ぎではないかと兄の明心に聞いている」 明心は順守に、 「たしかに西寺派は行き過ぎだが、ここにいる350名の僧侶はもう奈良仏教から二回も破門を受けている。これは各僧侶が本山から派遣されている身分だから本山から破門と言われれば従うしかないが、西寺の僧侶と認められれば我々を破門できるのは西寺の官主しかない」 「そか、しかし、守敏僧都も空海や最澄の屁理屈に似てきたが、明心もそうなのか?」 明心は弟からの質問には答えずただ笑っているだけだった。 その夜、珍しく明心は守敏僧都を誘わなく順守と二人きりで般若湯を飲みたいと誘っていた。明心はまだ順守が守敏のやり方が符に落ちないのはわかっていた。この明心もかつては奈良仏教の裏切り者として守敏の首を取るために源光寺に武器を持って押しかけていたが、今では守敏を師と仰ぎ尊敬をしていた。 順守は、 「兄者はなぜ?、守敏僧都を師として仕えているのか?」 「いや、私は守敏僧都に仕えたことはない、ただ、洛中、洛外の農民たちから絶大な支持を得ている姿は美しい。守敏僧都が東大寺の貫主の権藻に連れられて西寺建造工事に入ったが、権藻は農民に見向きもしないばかりか公卿や貴族との癒着に力を入れた。守敏僧都は九条ネギやセリの栽培や稲の品種、土壌改良に力を入れて農民の生活は奈良時代から比べ物にならないはど裕福になった。そして各村の寺も板の屋根から瓦葺きの立派な寺になった。今、源光寺には僧侶と見習い僧侶を入れると250名ほどいるが、これらの米から味噌、塩、野菜、そしてこの般若湯まで農民が自主的に寄付したものだ」 「たしかにそうなるが…奈良仏教が100年以上かかって貯め込んだ60万貫の大金を守敏僧都のためだけに使うのはやはり私は符に落ちない」 「しかし、もし奈良仏教が西寺の塔頭を放棄していたら空海は東寺の官主に西寺は最澄が官主になっていた。そうなると奈良仏教は地方の一宗教団体にしかならない」 「たしかに兄者の理論は分かるが、私には兄者が守敏僧都や最澄、空海、それに稲荷神社の伊呂具に騙されているのかと心配しています」 「そう、私も同じことを思って守敏僧都に聞いたことがある」 「さすれば、守敏僧都はなんと答えた?」 「守敏僧都は私は今の生き方は正しいと思っているが、明心が私の生き方は間違いだというならそれも真実になると言われました」 「ほう~兄者はなにか符に落ちないことはないのか?」 「そもそも私が西寺塔頭建造の責任者で守敏僧都の次の西寺官主になるが、それに順守が奈良仏教を代表する全権大使として今ここにいるのが、これは私自身が符に落ちないことになったと思っている。守敏僧都は歴史は自分では作れない、時には神様の悪戯もあると言っていた」 「私も何故ここにいるのかが分からない」 「符に落ちないことを詮索するより一日も早く立派な西寺塔頭を建造すればすべての問題が解決する」 「わかった兄者、私も守敏僧都に騙されます」 ★★★★★新連載小説をはじめました。 小説盆栽物語 1話 空海唐から盆栽50鉢持ち帰りへ 小説盆栽物語 2話 宗景造園業に弟子入りで盆景和尚となる 小説盆栽物語 3話 盆景(盆栽)のルーツ、雅山少年が発見 小説盆栽物語 4話 宗景、玉林の禁断の恋から若者たちが盆景を爆買い 小説盆栽物語 5話 玉林、宗景皇帝に祝福され結婚…豆盆栽 小説盆栽物語 6話 日本茶のルーツは武夷岩茶の盆景になる 小説盆栽物語 7 話 椿の盆景が明懸尼寺を再興させた 小説盆栽物語 8話 玉林(ユーリン)に赤ちゃんが! 桓武天皇崩御 小説盆栽物語 9話 空海屁理屈禅問答で盆栽は戦争をなくす 小説盆栽物語 10話 玉林、盆景和尚長安での最後の別れの夜 小説盆栽物語 11話 最澄、空海官位剥奪の上5年間謹慎処分 小説盆栽物語 12話 遣唐船嵐でニ隻難破、空海長崎で説法会 小説盆栽物語 13話 空海真言宗を開山、1月7日は「盆栽の日」に制定 小説盆栽物語 14話 盆栽無事京の都に、その夜、比叡山燃える 小説盆栽物語 15話 東寺、日本大観覧盆栽・植木市へ 小説盆栽物語 16話 第一回東寺盆栽展、大植木市大盛況 小説盆栽物語 17話 盆景日本初の茶の種を撒く、坂本、信楽、朝宮茶 小説盆栽物語 18話 坊主が太ろうと思えば、まず農民を太らすこと(最澄) ★★★ 小説西寺物語 1話 守敏と空海の因縁の争い・西寺跡発掘調査・女装小説家 オカマのイナコ 小説西寺物語 2話 九条葱が西寺を救った 小説西寺物語 3話 守敏、芹と葱で大僧正に! 小説西寺物語 4話 稲荷神社のお告げで長岡京遷都決定 小説西寺物語 5話 寺と村落ぐるみ乗っ取り大作戦 小説西寺物語 6話 東大寺権操、守敏長岡京へ抗議の旅 小説西寺物語 7話 東大寺僧兵300名稲荷神社と戦へ 小説西寺物語 8話 農民稲荷神社炎上を救う 小説西寺物語 9話 守敏僧都、都を代表する名僧に! 小説西寺物語 10話 最澄、空海唐へ、守敏奈良仏教から破門 小説西寺物語 11話 僧侶不足で奈良から僧侶引抜き大作戦 小説西寺物語 12話 神野親王武家源氏を旗上げ 小説西寺物語 13話 巨大権力(奈良仏教)には経済封鎖を 小説西寺物語 14話 皇太子の不倫…人妻・薬子の変 小説西寺物語 15話 平安時代の美魔女薬子の野望 小説西寺物語 16話 平安時代のスーパースター光源氏誕生 小説西寺物語 17話 薬子の限りない野望…その1 小説西寺物語 18話 807年空海真言宗を立ち上げる 小説西寺物語 19話 最澄罪人ながら凱旋門から入城、比叡山へ 小説西寺物語 20話 即戦力になる奈良仏教の僧侶改宗大作戦 小説西寺物語 21話 奈良仏教稲荷神社の仲介で金銀三十万貫を比叡山へ 小説西寺物語 22話 西寺東寺塔頭60ヶ寺建造工事着工へ 小説西寺物語 23話 西寺建造僧侶350名の大ストライキ おかげさまで、この「伏見稲荷大社の物語」が大ヒット中で連日100ほどのアクセスで読まれています。さらに100話まで書く予定です。 無料の電子書籍…お笑い歴史コラム…「伏見稲荷大社の物語」~85話まで書けています。目次機能で好きなタイトルを探してゆっくりお読みください。 このコラムが少しでもおもしろかったら↓↓↓の画像をワンクリックしてください。ブログランキングに参加しています。現在5~7位どす。。。あなたの愛のワンタップが私に生きる勇気を与えてくれます。1位まではあと少し…よろしくおねがいいたします。 小説家ランキング ★★★…完全無料の大人気の電子書籍…ダウンロードしてゆっくり完読してください。 http://p.booklog.jp/book/108339/read ★…長編小説「トラック3姉妹・ダンプ姉ちゃん理恵」…31話・運輸・建設の職場には賃金の男女差別はなく高賃金でもう男なんどに頼らなくても子育てできる運輸業界、建設業界を確立した理恵社長の物語。女性に大人気の小説になっています。 ★…「働く女性たち 駆け込み寺居酒屋ポン吉」 1話2分で読める、51話まで書けている、少しHだが女性に大人気。目次機能がありますから好きなタイトルを探して読んでください。 ★…中編小説「天使の恋~美幸…明美…真弓…梨香…美雪…早苗…香奈~7名の恋の物語」…すべて京都のタクシードライバーが主役になっている少しHな若い女性のドラマ、女性に大人気で静かなヒット作になっている。二つの書籍から ★…天使の恋~美雪、早苗、香奈…3人の恋の物語も大人気 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年04月06日 07時51分57秒
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