そもそも、大変だったってことを、ことばにすることに抵抗があるからな。
書きにくいけど書いてみる。
そうだ。
その頃の自分に手紙を書く感じで。
子育て真っ最中。
36歳のあなたへ
子育て、ぶっちゃけ大変だよね。
もっと言っていいんだよ。
大変だって。
だって、何でもかんでも、初めてだもの。
あなたはそもそも、学校で学級委員とかやっちゃう真面目な子だった。そこにやってきた息子は、ほんとに落ち着きなくて。大変だったよね。
親の言うこと、聞かなくて。いや。聞けなかったのかな。
保育園では、「元気な子」で済んでたんだけど、小学校となると違う。
まず、集団登校が、出来なかったよね。
最初は、集団登校の班長の親御さんから、息子が一緒に歩き出さなくて困っていると言われた。その親御さんも遠慮がちな言い方だったんだけど、他のひとから聞いた話では、班長さんがストレスで胃が痛くなっちゃったらしい。
班長さんが困ってると言う話を、今度は、地区の役員さんから何度か言われたよね。
そして、ある日の夕方、ピンポーンというチャイムの音に、あなたはビクッとしたよね。
その時思ったよね。あ、追い詰められてるって。
近所のひとから、困ってるって何度も言われて、わたしも息子に繰り返し言って聞かせるんだけど、変化はなくてね。
結局、息子とふたりで登校したよね。
よその子は、普通に集団登校してるのに、なんでその普通が出来ないの?って正直思ったよね。
その真っ最中は頭が一杯一杯で、追い詰められた気になるのもわかるんだけど、あんまり「普通」に振り回されることもないんだよ。
ふたり登校も、だんだん楽になってきたよね。だって、集団登校の集合時間に合わせなくて済むし、何とかして欲しいっていう近所の親御さんからの申し出もないし。息子とおしゃべりしながら、あ、時にはケンカしながら行ったっけ。それは嫌だったけど。
うん。あなたは頑張ってたね。
うん。頑張ってたよ。